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メメント・モリ

このブログでは司法試験関連の受験日記・講座・書評について色々掲載していきたいと思います。

問題集:辰巳論文実況中継シリーズ 民法 伊藤進教授

2004-10-05 23:55:04 | 司法試験:問題集
 今日は民法の教授解説本です。
 辰巳は民法の過去問解説に関しては伊藤教授と貞友先生の2冊を発行しています。「どちらを買えばいいのか」というのが購入予定者の知りたいところでしょう。結論をいうとこれら2冊の本はそれぞれ読者のレベル、解答例・解説の参考になるところが全く違うので、時間的に余裕がある方は両方を購読された方がいいです。

 ただ「最初の一冊は?」と聞かれると、迷わず伊藤教授の方をおすすめします。

 貞友先生が当該問題に関する論点を徹底的に突き詰めて考えるのと異なり,伊藤先生はまず、司法試験民法において、どのような思考過程をもって臨めばいいのかを教えてくださいます。そして、基礎的概念の操作においてどこが採点のポイントになるのかをしっかりと説明してくださいます。よく「基本から考える」という理念の重要性が叫ばれますが、この本を読めばその意味が「じーん」と伝わります。極当たり前であることを伝えることの大切さが、この本からは読み取れます。

 もっとも、問題の解説をした後に、平成後期の問題については受験生の再現検討までするため、取り扱う問題の数は少ないです。したがって、この本をしっかり学習すれば「他の問題はどう考えればいいか」ということが気になり、物足りなくなってくることがあります(初版は18問、最近第2版が出版されましたが、先生答案作成スタイル・エッセンスは変わりないので,あえて買い換えの必要は無いです)。更なる知識の欲求が生じる段階になったら、貞友民法を購入しましょう。

 


問題集:辰巳論文実況中継シリーズ 憲法 棟居教授

2004-10-03 00:30:56 | 司法試験:問題集
 今日からは辰巳の解説実況中継シリーズの紹介を致します。
 第1回は憲法、棟居(むねすえ)教授です。
 以前先生の判例スピードマスター講義のことをお話ししましたが、その講義に触発されてこの本を購入しました。この本は司法試験に留まらず、憲法を初めとする法律科目の思考パターンを随所に呈示してくれています。

 例えば・・・
 「エベレストに登るのは大変だが、先人が作った階段をつかえば何も絶壁を登る必要はない。難しい問題も使える知識は判例でも何でも利用して結論を出せばいい。最初から最後まで自力で道を切り開こうとするようなことはしなくていいし、誰も要求していない。」
 「法律解釈学はアナロジーの学問である」
 「司法試験は法律家たちにとって自己増殖の作業に他ならない。自分たちと波長が合う者をテストで見つけ出すことを目的としていて、法律家に仕立て上げるプロセスについては試験の主催者側は何の責任をも感じていない」
 「(憲法答案は)一個のことしか聞いていない。あれこれどうでもいいことを書かずに一番大事な論点に全力投球すべきだ」など。

 先生は司法試験合格者ではない(だろう)し、試験委員経験者でもないので、こういう発言については訝しげに思う方も当然いらっしゃると思います。
 しかし、5回この試験を受けてきた私の個人的な感想からすれば、前2者だけでなく後2者の過激な意見もおおむね正しいと感じています。
 本試験の研究対策を進めるにつれ、典型的な教科書・問題から離れたところにある採点ポイントが明らかになってきましたし、統治に関しては「単一論点だ」との先入観を持っても本試験の評価は悪くならないことも個人的には実証されました。
 この本を読んで、司法試験の答案全体について考えさせられることが多々ありました。

 また、先生独特のくだけた表現で、わかりやすく卑近な例で高度な問題を解説してくださるので、憲法に親しみがもてました。

 もっとも、本試験の合格答案作成という観点からすれば、やや割り引いて理解すべきではないか、と思われる箇所もありました。
 例えば、平成6年1問を3項プロパーの問題と捉えたり、2重の基準を踏まえた議論を「念仏」と一蹴したり。 先生は学者のタイプで言うと、少数派の意見を汲むパンクロッカーですので「落ちにくい答案」を目指す観点からは危険極まりない判断をされることがしばしばあります。

 さらに、法律的議論の部分は充実していますが、学者らしくあてはめにはあまり意識がいっていません。これは一般的な合格答案のイメージからは欠落するところです。

 とはいえ、完全な教科書・問題集など、この世には存在しません。私が指摘した不足点に注意しながら読み進めれば、必ず憲法的素養が培われることでしょう(即効性はあまりないと思います)。

問題集:各予備校論文過去問集徹底比較

2004-10-01 19:57:19 | 司法試験:問題集
 択一ほど重要視されていませんが、論文の過去問を何度も検討し、過去の出題の趣旨を探ることは論文試験の合格可能性を挙げるのに必須の事項です。そこで、論文本試験の過去問集が教材として必要になります。

 網羅的に過去問が収録されているものにはLEC発売の「論文本試験過去問徹底解析シリーズ」とセミナー発売の「新論文過去問集」とがあります。 前者は司法試験開始当初の昭和24年から、後者は昭和38年から掲載されています(但しLECの方は出題可能性の低い問題については解答例がありません)。
 これらの本は広く受験生に使われていて、定番的存在といえます。しかし、使用した方はご存知でしょうが、必ずしも解答「例」足りえる質が維持されているとはいい難いのが実情です。すばらしい答案ももちろんありますが、内容が高度だが問に答えていない答案、やたら論証が長い答案、あてはめがない答案など、実戦的でない答案が多く掲載されています。

 どちらが良い(悪い)のか、ということが購入予定者の知りたい情報でしょうが、こればかりは「問題による」といわざるを得ません。というのも、これらの過去問集に掲載されている解答集は作成者もその時期もバラバラの寄せ集めだから、統一感がまるでないのです。私を含め多くの受験生は「ほかに網羅的な過去問集がないから仕方なく使っている」というのが現状です。
 したがって、これらを基軸に過去問検討するのはやめてください。ただ、他に解答例が見つからない場合、或いは他の過去問集の構成に疑問不満がある場合に比較対象資料として所有する必要と価値はあります。

 また、ほかには辰巳法律研究所が発行している過去問本(平成の論文過去問~現場思考ぶんせき本)もあります。この本は合格者(チームでしょう)が鉄則をまず呈示した上でその方針にしたがって答案作成しているので、理解が伝わりやすく、答案のスタイルというものもつかみ易いです。ただし、合格者にありがちなように、特殊な構成・認定をして「これが正しい」と思い込む答案(ex刑法H9-1)も散見されます。「解りにくいな」と思ったら他の本と比較することをおすすめします。また、タイトルにもあるように平成の問題(13年まで)しか掲載されておらず、いかんせん問題量が少ないのが弱点です。

 その他、私が使わなかった本としてはセミナーのパラダイムシリーズ、スタンダード100やマスター論文シリーズなどがあります。これらの評価は使わなかったのでしようがないですが、やはり網羅性に問題があります。
 
 網羅性という点では伊藤塾が応用マスター時に配る過去問集はそこそこの量があってしかも答案の質が一定しているとのことですが、これも未確認です。ただ、いくつかみた限りではそれほどいいものでもありませんでした。

 と、欠点ばかりが目に付く市販の過去問集です。どこかがそこそこ答案が良くてしかも量がある過去問集を出版してくれれば受験生はみなそっちに流れるのですが、どうして作らないんでしょう?
 
 結局、過去問集は市販のものを組み合わせたり、答練の付録についてくるもの(辰巳のものは相対的によい)をせっせと集めて自作するしかないのでしょう。メンドウですが、予想答練の寄せ集めよりはよほど頼りになります。

 今日は長くなったので、まとめを置いておきます。

 LEC・セミナーの過去問集:資料用
 辰巳平成の過去問本:おすすめ、但したまに変な答案あり
 伊藤塾応用マスター:割と人気、しかしこのためだけに講座を取るほどの価値は?
 
 なお、講義形式で論文過去問を検討する講義や書籍がいくつかあります。これらの内で、私が受講したものを次回からご紹介いたします。

問題集:司法試験短答過去問肢別本 辰巳法律研究所

2004-09-30 22:16:06 | 司法試験:問題集
 今日は肢別本の紹介です。
 肢別本は賛否両論で「使うな」という人と「使ってよかった」という人と様々です。要は使い方次第だということです。
 とある1回合格者は「肢別本なんか要らない、択一式受験六法を100回読んで覚えればいい!」といっていましたが、こういう意見は参考になりませんね(覚えられるかっ!)。

 肢別本がもっとも威力を発揮するのは民法です。民法はもっとも知識量が多いので、手っ取り早く本試験の既出知識を肢別本で暗記できるからです。
 たまに「肢別本で今年は14点取れた」とかいうような意見・報告を目にしますが、これはアテにしてはいけません。こういう意見を聞いた何も知らない初学者は、あたかも肢別本の肢がそのまま出るかのようなイメージを持つでしょうが、現在そのような状況は少ないです。肢がそのまま出るのではなく、過去に聞かれた判例、条文、論点やそれらに付随するものが形を代えて聞かれることを取り上げて、何点取れるという議論をしているので注意が必要です。したがって、肢別本でよく聞かれる知識領域については、教科書に戻って定義・論点・判例を確認する丁寧な勉強が効果的です。
 
 とはいえ、肢別本はいつでもどこでも手軽に択一の演習ができるので、使い方によっては教科書ベタ読みよりよっぽど有意義に時間が使えます。特に、民法は知識の拡充が得点力に直結するので時間が許すなら使うべきでしょう。
 ただし、そのまま使うと量が多すぎます。当たり前の知識・常識的な肢はどんどん削って以後見ないように消しましょう。なお、ここで注意が必要なのが「常識」の尺度です。学習し始めの頃は感覚的に結論を判断できたことも、数々の条文論点判例などで法律的な価値基準を学んだあとでは結論が変わることもしばしばあるからです。したがって、常識的に正解できると考える肢も、理由があやふやなら、しばし保留してまたあとで確認しましょう。

 また、2度目からはその結論がどの条文、判例といった理由から導かれるのか、を覚えておきましょう。余り理由がはっきりしない場合にはその肢は不要です。

 憲法については現在の傾向からすれば、肢別本はあまり効果ありません。しかし、憲法は傾向がコロコロ変わりますので、保険の意味で軽くといておくといいかも知れません(私の場合、その保険は5年間効果なしでしたが、平成13年の知識型なら肢別が威力を発揮してくれるでしょう)。

 刑法はいらない。

問題集:新実例刑事訴訟法

2004-09-27 09:17:37 | 司法試験:問題集
 事例形式で刑訴の応用を学ぶ本で全3冊。青林書院から発売されています。
 この本が、司法試験のネタ本として本格的に使われ始めたのは平成12年から。
 問題を参照していただければわかりますが、12年1問の「必要な処分」13年1問の「フロッピーの包括差押」同年2問小問一の「記憶喪失と2号前段」14年1問の「体内麻薬の押収」2問の「訴因変更」15年1問の「写真撮影」(これはかする程度)16年2問小問二の「違法証拠の主張適格」など、相当数の事例・論点が引用されています。 出題可能性という点では既に紹介した本をはるかに凌いでいます。

 恥ずかしながら、私は平成14年の刑訴でパニックになってGをとってしまい、得意のはずの刑訴に対して恐怖感を抱いてしまいました。そこで、日練の講義中で紹介されたこの本を借りて読んでみると、14年の問題がほぼそのまま載っていることに驚きました。冬から春にかけてこの本を一通り読みました。

 もっとも、前述したように演習書は解答例がないため、読みこなすのに手間がかかります。しかも3分冊でボリュームも相当ある(東大出版の基本書サイズ)ため、ヘタをすれば刑訴はこれに掛かりっきりになる危険があります。

 さらに、私は14年の麻薬のインパクトからこの本に注目しましたが、本当にこの本を読まないと差がつくのか、といえばそうではないと思います。12,13年,14年2問の的中論点は百選判例で判例百選をちゃんと読んでいれば意味はわかる問題でした。15年以降はこの本からズバリ(この本しか)というような論点・事例は出題されなくなってきていると考えています。
 
 むしろ、中途半端に読み流すと引き込みの危険が増すだけです。16年の第2問も、主張適格の問題が的中したという考えもあるでしょうが、これはあえてこの問題を持ってくるまでもなく、他の要件「特信状況」で事例解決できるのでいらない論点といえます。せいぜい加点事由ではないでしょうか。

 自戒の念を込めて言いますが、本試験でわからない問題に対処できなかった経験から、ネタ本を探し、出題予想をすることは、必ずしも自分にとって良い結果をもたらさないことがあります。
 問題に正面から向き合わず、そいつの出所を頭の中で検索すると「似て非なるもの」を引き出してくる危険がある。それよりも、普段から過去問や良問を素材に「問題文が何を書いてほしいのか」を徹底的に追及する勉強をした方がよっぽど本試験の難問対策になると思います。ただ、事例を知らないと適切な論点抽出ができないので、百選に載っている事例に関しては、すべて論点抽出をしておいたほうがいいです。これは出題予想というより、刑訴の基礎的な学習内容です。(私が14年刑訴で酷い点を取ったのは、ここを怠ったからです)。

 結論をいうと、この本をネタ探しとして読むことはおすすめしません。刑訴が好きで、教科書より深く知りたい、という趣味の領域ならば、いい本といえますが。

問題集:演習刑法(木村光江)

2004-09-25 17:51:14 | 司法試験:問題集
 現司法試験委員木村光江さんの演習書です。この本の画期的なところは解答例がついているところです。

 したがって、解答例がないと答案のイメージが湧かない初中級の受験生でも、違和感なく使えます。しかも解説がわかりやすいし、試験委員であるという安心感もある。問題も平成13年頃までの比較的新しい重要判例を下に作られているので、出題予想という点でも優れています。
 また、結果無価値といっても、行為無価値と解答内容が大きく異なるのは因果と違法性の問題くらいなので、通説の方でも十分使えます。

 但し、注意しなければいけないのは、解答例がいわゆる司法試験受験生の大多数が書くようなフォームではないということです。大多数の受験生は刑法では構成要件・違法・責任の順に書き、客観事情主観事情を分け、可能な限り条文趣旨を挙げつつ文言を解釈します。しかし、演習刑法の答案は、いわゆる論点をクローズアップした形で、条文や体系といったフォームはあまり重視していません。

 数々の合格答案を研究して、演習刑法のようなスタイルでも受かる、という確信を持っている方は別として,合格答案のイメージがない方が、この本を読んで「試験委員のお墨付きなのだから、こういう答案を書けば本試験も合格だ」と即断するのは非常に危険なことです。
 解答例は、あくまで「参考」答案です。そのまま書けば本試験合格ということは疑ってかかった方がいいです。

 余談になりますが、この本のうちの3割以上は私にとって見知った問題でした。というのも、先生が過去に解説された日曜答練の問題がそのまま載っているからです。おそらく、大学答練や日練の過去問を編集したものなのでしょう。

問題集:分析と展開・基礎演習民法

2004-09-24 22:52:20 | 司法試験:問題集
 14,15年と民法が足を引っ張ったので、今年の民法対策としてこの二冊を選びました。

 まず、分析と展開の方は、割と見馴れた問題が多く、とりたてて新たにストックするような問題は見当たりませんでした。債務不履行責任の拡大のように、論点を解説するためだけの事例もあり、あえて検討の必要がない問題もあります。 
 なお、Ⅱについては今年改訂がなされました。債権総論を中心に新しい問題が収録されていますが、将来債権の譲渡など良くある問題ですので、取り立ててこの問題集を求める必要はありません。 
 大部分は予備校の予想問題に引用されているので、いまやこの本を読むことで大きなアドバンテージは得られないのではないでしょうか。


 次に、基礎演習民法の方は、分析と展開よりも、事例の応用性が高く、頭をひねる問題が多いです。50問前後でボリュームもかなりあります。全然基礎じゃありません。ただ、明大平野教授の問題ほどは難しくないです(あれは細かすぎとの意見もありますが)。 解説がかなりあっさりの部分もありますので、知識のインプットとしては使えません。あくまで事例に対する法律構成を参考にする本と位置付けましょう。

 結論を言うと、どちらも中上級者向けの本ですが、解くべき問題がなくもてあましている方以外には私はおすすめしません。 こういうものより先に、民法なら貞友ライブや伊藤ライブなどの過去問をしっかり検討することをおすすめします。

 なお、典型でない民法問題をお探しの方には、受験新法の誌上答練Bコースを(やや)おすすめします。バックナンバーを大学図書館などで探し、該当箇所をコピーして解きまくりましょう。大阪ですと、西長堀の市立図書館にあります(カウンター請求のこと、ハイローヤーもあり)。 但し、こちらにも解答例はありません。解説を読んで答案を想起できないと意味ありません。

問題集:択一問題集徹底比較

2004-09-10 19:20:43 | 司法試験:問題集
 早稲田セミナー択一問題集:セミナーから毎年発売される、前年度の択一答練の問題(全択を含む)を編集したものです。別名電話帳。各科目220問程度あったと記憶しています。体系別に並んでいるので、自分の苦手分野を潰すのに良いでしょう。模試を受ける費用が苦しい方は、まずこれで肩ならししましょう。書籍フェアを利用すれば思わぬ安値で買えることも。

 LEC択一の泉:これもセミナーと同じく、前年度の答練問題を編集したものです。したがって問題の質などは答練の比較と同じ結論になります。

 辰巳短答練習帳?:正式名称は確認できないのですが、辰巳も、オープン・総択を編集した問題集を2000年から2002年まで作っていました(現在は絶版のようです)。この問題集のいいところは、前二者と違い、60問形式で全5回分の問題が収録されており、自宅模試ができる点です(合推の目安もあり)。

 なお、3社とも共通して言えることは正答率10%以下の憲法、刑法の問題は解く必要がないということです。こういう問題を正解しなくても、余裕で50点以上とれるのですから、無理して手を広げる必要はありません。 
 ただ、民法は知識を増やしておいて損はないと考えるので(私見)私はよほどでない限り一応の復習をしていました。

問題集:司法試験論文の森

2004-09-09 12:09:48 | 司法試験:問題集
 99年に発売されたLECの答練問題を集めた問題集です。攻めの答案と守りの答案の2種類が用意されていて、レベルに応じた勉強ができるのがウリとされています。

 巷ではやたらに評価が高いですが、それほど手放しで誉める本ではないと思います。

 まず、攻めの答案守りの答案とありますが、単純に攻めは記述の量・論点の量が多いだけで、守りはそれを削っただけの答案です。しかし、量や論点を多くすれば本番の点数が上がる、と考えている実力受験生・近時の合格者は皆無でしょう。

 本試験で、「攻める」というのは設問の問いと既存の知識を照らし合わせて、出題ポイントを見抜き、メリハリのある答案を書くことです。この場合一般的に量は少なくなります。その分、論点落としや「ズレる」危険が伴います。
 これに対して、「守る」というのはいまいち聞かれていることがわからなくて、とりあえず問題になりそうな定義趣旨論点などを答案に「置いてくる」ことを言います。この場合一般的に量は多くなります。

 LECが想定している攻め守りのイメージは、昭和時代の司法試験のイメージです。もっとも、現在でも、誰が見ても論点が明らかな問題もいくつか出題されますので、その場合にはLECの「森」のような攻め方になることがあります。

 また、「攻め」と称してあえて少数説にたつ答案がありますが、今更少数説の紹介で点が加算されるとは思いません。 さらに、「守っ」ているはずの答案に論理の飛躍があることもしばしば。
 そこで、理想は攻めの答案の要らない記述を削り、少数説を通説に置き換えてストックするのがいいかと思います。くれぐれも「守り」だけを読まないように。

 このように、ここまで論文の森を叩いてきましたが、その問題数、網羅性は他の予備校が出している問題集よりもはるかに良い(費用対効果が高い)ので、買って損はないと思います。ですが、あくまで二次的利用です。メインは過去問検討、通常答練あるいは予想答練の復習においた方がいいと思います。

問題集:早稲田セミナー論文講座問題集

2004-09-09 11:48:32 | 司法試験:問題集
 論文講座はセミナーの通常期の大型答練です。実際に受講して書いた事はないのですが、問題集は99年00年と使っていました。

 感想は、いたって普通でした。答案例があって解説があって、普通に知識の拡充に使えます。ただし、たまにやたら細かい出題がなされます。99年後期には商法で会計帳簿閲覧請求(293条の7)の条文解釈なんかが聞かれていました。

 内容とは全く関係ないのですが、レイアウトが古臭いと感じます。(早稲田の講座は全てそうなのですが)