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2019年は書店員としてのお仕事のめくるめく素晴らしい日々を。時々エレカシ・ミッシェル・Suchmosなど

対岸の彼女

2008-03-11 | 小説・映画など

 

 

おとうさん、なんであたしたちは何にも選ぶことができないんだろう。

 

何かを選んだつもりになっても、ただ空をつかんでいるだけ。

自分の思う方向に、自分の足を踏み出すこともできない。

 

ねえおとうさん。

もしどこかでナナコがひどく傷ついて泣いていたら、あたしには何ができる?

駆け付けてやることも、懐中電灯で合図を送ることもできないじゃないか。

 

なんのためにあたしたちは大人になるの?

大人になれば自分で何か選べるようになるの?

大切だと思う人を失うことなく、いきたいと思う方向に、まっすぐ足を踏み出せるの?

 

 

 

 

 ここ数日 日々 何度も何度も読み返してしまうのです

葵がとめどなく 涙をながしつつ 心の中でさけんでいるこの言葉

 

 

自分の経験を 葵のこの姿に、ダブらせているわけではないのですが・・

 

胸にせまってきて 涙がぼたぼた落ちる

私の遠い記憶のどこかに 似たようなことがあったかな、と 記憶の糸を一生懸命に手繰り寄せてみたりしても・・  う~ん  たどりつけない

 

もしかして、今の私にとって 状況などなどは異なっているけど 誰かのことをこんな深刻に感じていることがあるのだろうか・・・   はてな?

 

と、自分の心の中を さぐっています  

 

こたえは出ないままです

 

そんな訳で、この数日 日に何度もこのページを読み返すのでした

 

角田光代 著 「対岸の彼女」

心うちふるえた小説でした

 

こんなとき、最高に幸せだなと思います

 

 

対岸の彼女 (文春文庫 か 32-5) 角田 光代

 

嗚咽とともに 涙をほとほとと流す

そのあと なぜだかとても 健やかな心になっているような気がします

これも 幸せなんだろうな

 

 

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