これまでほとんど読んだことがなかった。
とある方からのお薦めを受けて、短編連作形式の
「大きな鳥にさらわれないよう」を読んだ。
こうした短編連作は嫌いではない、
というか、かなり好きだ。
最初はバラバラに見える
いろいろな視点からの話が、
だんだんと絡み合ってゆき、
最後に全体像がぱっと見えると、
とても快感がある。
すぐに思いつくのは
井上ひさしさんの「12人の手紙」だが、
福永武彦さんにも、不朽の名作「忘却の河」がある。
(これは、暗いけど)
物語の最後が最初につながる循環形式も大好き。
あまり良い例ではないが、
京極夏彦さんの「絡新婦の理」や、
「鉄鼠の檻」も良かったなぁ・・・
個別の話については、超能力ものは
ちょっと共感できなかったし、
最後のネタばらしがとっても味消しだったり、
と、いろいろ気になるところはあったが、
全体としては、とても楽しめた。
一番印象に残った章は「Interview」。
進化によって光合成能力を身につけた人間が
インタビューに答える、というものだが、
確かに、光合成能力があって、
おひさまと水があれば、
あくせくしなくても良いのだなぁ・・・
子供の頃に読んだ恐怖漫画に、
人が樹になってしまう、というものがあって、
そのときはすごく嫌だったのだが、
生来のなまけもので、
日向でぽかぽかと日向ぼっこするのが
好きになった老人としては、
樹になるのも悪くはないかもしれないと思う。
というか、そのあたりにある樹は、
実は、太古の人間なのかもしれない・・・
なとど思うと結構楽しい。
それにしても、よくもこういう話を
書けるものだ。
ご本人が、自分の作品を「うそばなし」と呼んで、
いかにもありそうな嘘ならいくらでも書ける、と
おっしゃっているようだが、
巫女系の方なのだろうか?
他の作品も読んでみたいのだが、
なぜか、Kindle で読めるものが少ないのが
不思議で、とても残念だ。
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