飛来飛去 ~風の吹くまま~

中国・遼寧省瀋陽在住歴十数年。
最近ネタぎれ気味ですが、何気ない、でも誰かに話したい日々の発見を綴ります。

チケット騒動記

2012年11月23日 | 中国・瀋陽 暮らしの中から

11月もあっという間に下旬。

そろそろ年末年始のことを考える季節になってきた。

私も冬休みになったら、一時帰省をしようと考えている。

瀋陽-福岡は中国南方航空の直行便があり、いつも同じ代理店でチケットを買っている。

電話で予約すれば、無料で配達してくれるのだが、私は電話が苦手で、細かい交渉になると、中国語も自信が無いので、面倒だが、事務所まで出向くことにしている。

そして、3ヶ月前にチケットを買うと、割引でお得なので、なるべく早く予定を立てるようにしている。

 

10月の連休が終わるか終わらないかの頃、いつものようにバスを乗り継ぎ、チケットを買いに行った。

あらかじめ希望日を書いた紙を担当者に見せ待っていると....

「この時期の割引チケットはまだ発売されていませんよ。今買うと、通常料金になりますね」とのこと。

「えっ?!でも、いつも3ヶ月前に安いチケットを買ってるんですけど...」と聞いてみたが、結果は同じ。

「時期が早いかもしれませんから、もう少し待ってみたらどうですか?」と言われたので、納得できないまま、帰宅した。

ここの代理店には、もう長いことお世話になっていて、いつもの担当者ではなかったが、それでも親身になって、丁寧に対応してくれるから、嘘は言ってないと思う。

“例の問題”で日本便の割引チケットが無くなったのか?日本へ行く人はまともな料金を払えということか?

そんなことを考えたりしたが、しょうがないので、しばらく待つことにした。

 

以前の経験で、60日前までは安いチケットがあると知っていたので、またその頃、連絡を入れてみた。

すると、通常料金よりは安いチケットがあることが分かった。

昨年帰った時よりは高かったが、まあ許容範囲だったので、そのチケットを買いに行くことにした。

代理店に着いて、希望日をつげると、また担当のお姉さんがカチャカチャとキーボードをたたき出した。

「帰りの便は安いチケットがあるんですが、行きの便は、この日は無理ですね~」

「えっ?!昨日電話で、この値段で大丈夫だと聞いたんですけど...」と、意外な展開にまたまた不安になった。

詳しく聞いていみると、私が希望した日の割引チケットを買う場合、一度申請して(たぶん南方航空に?)OKだったら、安く買えるというシステムらしい。

搭乗日によって、割引チケットが確実に買えるかどうか違うようだ。

日程を変えて確実にチケットが買える便を選ぶか、申請して結果を待つか...

一度チケットを確定すると、変更は難しいし、費用もかかるということで迷ったが、申請結果は1~2日で分かるということだったので、とりあえず、第一希望で申請することにした。

家に帰るだけだから、「絶対この日じゃなきゃダメ」というわけではないが、福岡便は火曜と土曜なので、滞在できる日の平日と週末のバランスをつい考えてしまう。

 

ドキドキしながら迎えた次の日。・・・・・結果は、OK!

希望通りの日程で割引チケットが取れ、ホッとした。

早速、発券手続きをし、お金を払って、チケットを手にすることができた。

それから、とりあえず、家族に連絡し、日本でのスケジュールをあれこれ考え始めた。

 

これで年末までの準備も1つ終了!というわけで、のんきに過ごしていたある日のこと。

夫の携帯に1本の電話が...

「1月の福岡便の飛行機が全部キャンセルになったって」

 

実は、11月、12月の福岡便も全てキャンセルになっていた。

政治の直接的な影響なのか、それとも、それに伴い乗客が減り、採算が合わなくて飛ばせないのか、どんな事情があるのかは分からない。

しかし、今年の2月には、週2便に減らされていた飛行機が、週3便に復活したばかりなのに、全便欠航なんて、信じられない。

 

とにかく、私はどうすればいいのか? 相談するために、またもや代理店へ足を運んだ。

福岡がダメなら、東京(成田)か大阪(関空)に飛ぶしかない。

最初は頭が真っ白になったが、その後の日本での予定や乗り継ぎ等など、いろんなことを考えて3つの案を提示した。

その日は土曜日だったので、代理店は開いていたが、南方航空の担当は休みだった。

代理店のお姉さんは、あれこれ手を尽くしてくれたが、結果は月曜日以降ということに...

 

月曜日、代理店のお姉さんから連絡があった。

私の代替案はどれも可能で、変更の費用もかからないが、手続きは南方航空の事務所へパスポートを持って行かなければならないとのこと。

次の日も、その次の日も授業があるので、電話を受けた私は、すぐに地下鉄を乗り継いで、南方航空へ行くことになった。

 

結果、順調に変更手続きは出来たのだが、チケット1枚買うために、何往復させられたことか。こんなことは初めてだ。

広い瀋陽で「ちょっとそこまで」というのは、小一時間かかる。

私はある程度瀋陽の地理も分かっているし、こういう事態にも慣れているので、何とかスムーズに対応できたが、それでも、どこにもぶつけられない不安や不満でいっぱいだった。

考えてみれば、福岡に住んでいる私が恵まれているだけで、多くの人たちは、中国国内でも日本に戻ってからも乗り継ぎ、乗り継ぎで家に帰られている。

瀋陽-福岡だって、ひと昔前まで直行便は無く、韓国経由で入っていた。

でも、人間は、一度便利なものを覚えてしまうと、やっぱり元の不便さを、なかなか受け入れられない。

福岡に入るまで、いつもより時間もかかるし、お金もかかると思うと、「どうして?」という気持ちが沸いてしまう。

 

何より、どうしようもない事態で、ふるさとへ続く道が断ち切られたような、そんなやりきれない気持ちだった。

私の影響なんてちっぽけなもので、もっともっと大変な思いをしている人もいるだろう。

一日も早くお互いに行ったり来たり自由に出来る日になるよう願ってやまない。