「原子力」の歴史を語るのならば、本当はキューリ―夫妻の話
から始めなければならない。 近頃では世間一般で
日常的に用いられる用語になった放射能の単位は
SI単位系のベクレル(Bq)だが、以前は
実用単位の、キュリー(Ci)を用いていた。
その名称は研究者の名前から来ていて、
1(Ci)が、(ラジウムRa:1gの放射能の強さ)で、
370億ベクレル(37GBq)に相当、することは、
▲放射線関係の物理量単位:[A-129]
に書いた通りであり、 今でも、例えば
“ベラルーシのある村は放射能が1平方キロあたり
10キュリー(Ci)まで低下したので人が住んでいる“、
などと報道される方が、3.7兆ベクレル(TBq)と
表現するよりも、 実情が理解し易い。
{ = 3.7(Mbq)/平方m、である}
.
「原子力」が科学技術を超えて、人類の歴史に直結する
ようになったのは、原爆、原発の出現以来である。
その当初の話題については、
▲広島原爆60周年(3) :[A-16]、
▲広島原爆60周年(2) :[A-15]、
▲広島原爆60周年(1) :[A-14]、
▲パウエル氏の悔恨:[A-118]
▲人類滅亡論[3]自然科学の進歩:[C-4] [05/4/12]
などに書いてある。
其処に紹介されている旧来の知識に加えるべき情報が
最近出版された本に有るらしいことを書評で知った。
「原子力。その隠蔽された真実」
(ステファニー・クック著、飛鳥新社)
の書評が1/15日の新聞にあったので、引用してメモを残す。
.
★ ★ ★ ★ ★
.
アチソンとリリエンソールがオッペンハイマーの指導のもとに書いた
『原子力の国際管理についての55頁の報告書』、
が有るのだという。
アチソンは米国の国務長官だったし、リリエンソールは
TVA(テネシー河流域開発公社)で有名な人物。
(オッペンハイマーについては、上に引用した私の記事に詳述)
.
この報告書の書かれたのは1946年3月であり、 その内容は、
原子力の平和利用と軍事利用は分けられないこと、従って、
核分裂物質の採掘、加工等のすべてを、新たに作られた
国連が管理し、各々の国や企業がこれを行うことを禁ずる、
というものだった。
米国が独占している原子力の支配を自ら手放し、国際機関
のもとに置き、封印することを意味するのだが、
それが核の脅威から人類を守るための唯一の道であると
この人たちは考えたのだ。
理想主義が支配ていた戦後の米国ならでは、である。
.
だが、この報告書はバーナード・バルークによって
修正された。 バルークは国連原子力委員会の米国代表
だが、自由放任の資本主義が正しいと考える
(今日のフリードマンのような)人間であり、
インサイダー取引を自由に行って財をなし
政界に進出した人物。
.
この修正を知り、これでは核拡散の危機が起こると
オッペンハイマーは絶望した。
1953年のアイゼンハウアー大統領の国連での
原子力の平和利用演説は、このバルークの線上のもの
であり、これに依って原子力発電と共に核の拡散の
危険性が世界に進むことになる。
.
1954年に、ソ連のモロトフ外相は米国の
ダレス国務長官とジュネーブで会談したときに、
『原子力エネルギーの産業利用は、軍事利用拡大の潜在性
を排除しないばかりか、それに直結する可能性がある』、
と批判したという。
このモロトフの考えは、アチソン・リリエンソール報告書
の主張と同じであり、モロトフはソ連の5人の科学者
からの報告に基づきこの主張をして、この会談で
ダレスを追い詰めている。
従来知られていない事実である。
.
原子爆弾の開発や投下の事情は、このステファニー・
クックの本にも、上に引用した私の記事に紹介して
あるのと同様に書かれているが、
それ以後の流れのマッカーシの赤狩りの騒ぎの中で、
アチソンとリリエンソールも共産主義の
同調者とされていく記述もあるらしい。
.
★ ★ ★ ★ ★
.
ステファニー・クックの本には、上記の開発当初の話
だけでなく、原子力発電所の二大事故、スリーマイル
とチェルノブイリについてもそれぞれ一章がある
ほかに、日本版のために、「3.11巨大地震襲来」
の別章が付け加えられている、という。
また、仏、英、イスラエル、中国、インドが核保有国
になる経緯も書かれている、という。
.
上に引用した私のブログ記事の程度のことでさえ、
多くの日本人(政治家、報道関係者)が無知である
のに毎度呆れるが、国の指導者たちは
この本に書かれている程度の歴史を学習しての上で
職務に当って貰えないかと思う。
から始めなければならない。 近頃では世間一般で
日常的に用いられる用語になった放射能の単位は
SI単位系のベクレル(Bq)だが、以前は
実用単位の、キュリー(Ci)を用いていた。
その名称は研究者の名前から来ていて、
1(Ci)が、(ラジウムRa:1gの放射能の強さ)で、
370億ベクレル(37GBq)に相当、することは、
▲放射線関係の物理量単位:[A-129]
に書いた通りであり、 今でも、例えば
“ベラルーシのある村は放射能が1平方キロあたり
10キュリー(Ci)まで低下したので人が住んでいる“、
などと報道される方が、3.7兆ベクレル(TBq)と
表現するよりも、 実情が理解し易い。
{ = 3.7(Mbq)/平方m、である}
.
「原子力」が科学技術を超えて、人類の歴史に直結する
ようになったのは、原爆、原発の出現以来である。
その当初の話題については、
▲広島原爆60周年(3) :[A-16]、
▲広島原爆60周年(2) :[A-15]、
▲広島原爆60周年(1) :[A-14]、
▲パウエル氏の悔恨:[A-118]
▲人類滅亡論[3]自然科学の進歩:[C-4] [05/4/12]
などに書いてある。
其処に紹介されている旧来の知識に加えるべき情報が
最近出版された本に有るらしいことを書評で知った。
「原子力。その隠蔽された真実」
(ステファニー・クック著、飛鳥新社)
の書評が1/15日の新聞にあったので、引用してメモを残す。
.
★ ★ ★ ★ ★
.
アチソンとリリエンソールがオッペンハイマーの指導のもとに書いた
『原子力の国際管理についての55頁の報告書』、
が有るのだという。
アチソンは米国の国務長官だったし、リリエンソールは
TVA(テネシー河流域開発公社)で有名な人物。
(オッペンハイマーについては、上に引用した私の記事に詳述)
.
この報告書の書かれたのは1946年3月であり、 その内容は、
原子力の平和利用と軍事利用は分けられないこと、従って、
核分裂物質の採掘、加工等のすべてを、新たに作られた
国連が管理し、各々の国や企業がこれを行うことを禁ずる、
というものだった。
米国が独占している原子力の支配を自ら手放し、国際機関
のもとに置き、封印することを意味するのだが、
それが核の脅威から人類を守るための唯一の道であると
この人たちは考えたのだ。
理想主義が支配ていた戦後の米国ならでは、である。
.
だが、この報告書はバーナード・バルークによって
修正された。 バルークは国連原子力委員会の米国代表
だが、自由放任の資本主義が正しいと考える
(今日のフリードマンのような)人間であり、
インサイダー取引を自由に行って財をなし
政界に進出した人物。
.
この修正を知り、これでは核拡散の危機が起こると
オッペンハイマーは絶望した。
1953年のアイゼンハウアー大統領の国連での
原子力の平和利用演説は、このバルークの線上のもの
であり、これに依って原子力発電と共に核の拡散の
危険性が世界に進むことになる。
.
1954年に、ソ連のモロトフ外相は米国の
ダレス国務長官とジュネーブで会談したときに、
『原子力エネルギーの産業利用は、軍事利用拡大の潜在性
を排除しないばかりか、それに直結する可能性がある』、
と批判したという。
このモロトフの考えは、アチソン・リリエンソール報告書
の主張と同じであり、モロトフはソ連の5人の科学者
からの報告に基づきこの主張をして、この会談で
ダレスを追い詰めている。
従来知られていない事実である。
.
原子爆弾の開発や投下の事情は、このステファニー・
クックの本にも、上に引用した私の記事に紹介して
あるのと同様に書かれているが、
それ以後の流れのマッカーシの赤狩りの騒ぎの中で、
アチソンとリリエンソールも共産主義の
同調者とされていく記述もあるらしい。
.
★ ★ ★ ★ ★
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ステファニー・クックの本には、上記の開発当初の話
だけでなく、原子力発電所の二大事故、スリーマイル
とチェルノブイリについてもそれぞれ一章がある
ほかに、日本版のために、「3.11巨大地震襲来」
の別章が付け加えられている、という。
また、仏、英、イスラエル、中国、インドが核保有国
になる経緯も書かれている、という。
.
上に引用した私のブログ記事の程度のことでさえ、
多くの日本人(政治家、報道関係者)が無知である
のに毎度呆れるが、国の指導者たちは
この本に書かれている程度の歴史を学習しての上で
職務に当って貰えないかと思う。