多重債務道３４ 嘘

今日も督促の電話が鳴る。朝礼時に、ここ３日間は毎日来ている。

自分が電話に出ると話の内容は「いつ払うんだよ！、どうするの？、会社にかけて欲しくなかったら早く払ってよ～。こっちだってしたくねぇんだから～」と言ってくる。

自分からは「すみません。今度の給与日には入れますので。はい、分かりました」と平謝りしている自分を見て、自分に対する従業員の目が以前より変わって来た。

毎朝来る電話に対して、毎回出る従業員もいら立ちを感じていたらしく、ある朝、お決まりの朝礼時の督促で「毎回この時間電話してくんなよ。迷惑なんだよ。後で直接本人に言えよ。」と従業員がキレていた。

向こうの督促担当者も暴言を吐いていたらしい。その激しい電話のやり取りに、次第に部長、部長補佐も、ただ事じゃないとお互いに会話を交わしていた。

朝礼が終わり督促の電話を自分で取り話が終わると目の前に部長補佐が立っていた。

「gomi君、昼休みの１２時半から話を出来る？部長と私とgomi君、３人で話をするので食堂に来てよ。」と言われた。

自分の所属している部長は誰からも「怖い、キレやすい」と社内でも要注意とされている部長だったので、３人で話すと言うことだけで自分はかなり萎縮してしまった。

督促の電話そのものより、恐怖を感じる自分。

質問の内容はもう大体分かっていた。答えも「大丈夫です。ボーナスて払えます。借金は１００万です。今だけの現象ですので今後会社には迷惑かけません」等、ウソをついて自分を良く見せる言い訳を多数考え用意していた。

借金をして１０年近く。ずっと身内にも家族にもウソをついて生きていた。この場ぐらい何とかする自信はあった。

昼休みになり緊張で多少手が震えたが、部署の自分の机で弁当を食べ食堂に向かった。

会社の食堂はそんなに大きいとは言えないが、１００名ぐらいは一度に食べれる食堂になっている。

約束の時間となり食堂に入ると部屋の真ん中ぐらいの席に部長と部長補佐がコーヒーを飲みながら座っていた。

その席に向かい

「おまたせしました。gomiです」と言った瞬間に・・・

「パコォーン」といきなり部長に丸めた雑誌で頭を叩かれた。

一瞬、周りが静まり返った。

響き渡る音。

自分は痛みなど感じず余りの展開に唖然とした。

部長が口を開く「そこに座れ！！」

・・・・

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