妻に督促の葉書で借金がばれてしまった。
妻は一切自分に目を合わさずにこう言った。「いったい全部でいくらあるの?」自分は一瞬の出来事から推測し考えた。
「タキフジ」の葉書しか妻が見ていなければ答えは「100万円」である。
正直に200万以上と言うのか、それとも100万というのか迷ったが、自分の面子を優先して「100万」と答えてしまった。
それから自分は30分間、妻に向かい事実と嘘を織り交ぜて . . . 本文を読む
「生命保険の解約手続きが終了しました」との封書が家に来た。
自分名義だったのでもちろん開けられた形跡も無かった。
解約金が口座に約6万円振り込まれ、13年間給与から天引きされ払い続けていた生命保険が終止符となった。 天引き分1万4千円は給与の手取りとして反映される事になったが、同時に自分と妻の死亡、病気、怪我等の保証も消失した。
「近年、ふたり共、たいして病気も怪我も無かったんだ。これから . . . 本文を読む
今の給与では毎月最低でも6万の赤字だった。
最近、今までよく見た事が無かった「生命保険の便り」に書いてある『契約者貸付金』という制度に興味が沸いていた。 毎月給与で天引きされている、生命保険の解約した時に貰えるお金の範囲内でお金を借りられる制度だった。
借金ではなく毎月払っている自分の生命保険なので誰に文句言われる筋合いが無い。
闇金以外貸し出してくれる所が無い自分にとって「助かった」と言 . . . 本文を読む
販売2課に移動となり、係長に降格した自分だが、2課の課長はこないだまで一緒に研修や会議を受けていた自分の同期だった。 もちろん今までお互いにタメ口を言っていた間柄だったが、直属の上司になったことが大変悔しかった。
何をやっても、けなす言葉しか言ってこない同期課長だった。
口癖が「俺と同じ課長だったくせにそんな事も出来ないのか?情けなくないのか?」と言い、わざと人前で怒鳴る事も多々あった。
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弁護人解任から2ヶ月経ったが、今はお金の問題よりも仕事の問題のほうが重大だった。
部長に借金をしていることを知られてしまい、社内の他の人達のほとんどの人が知っていた。
相変わらず同僚からは馬鹿にされ、課長として部下に対して威厳も信頼関係も無い物同然だった。もちろん部長もそんなことに気づいているに違いなかった。 数日後、月末に近い日に「就業終了後に必ずミーテイングルームに来てくれ」と言いに来た . . . 本文を読む
公開処刑から2週間が過ぎた。
4社の消費者金融には月3万ずつ入れる事でとりあえず許しが出た。
出勤した時に部長補佐に呼び止められ、就業終了後にミーティングルームで部長と面談を言い渡された。 最近の社内では自分の多重債務の噂が広まっているのか、数年付き合いのある事務員さんも自分との距離を置くようになった。
お互い「おはよう」と挨拶はするのだが、気まずい空気が流れている。これ以上の会話の進展は . . . 本文を読む
「お前、借金あるだろう」
この一言に、体の血の気が引くのを感じながら椅子に座り込んだ。妻にもまだ言われていないこの一言。
5年前ぐらいにも父親から言われたのを思い出した。
あの時は自分の親だったが、今回は仕事の上司と言え他人だった。
他人の事なので深く追求してくるはずは無いと思っていたが、思いもしない事を部長が言った。 「お前、財布を出して、中に入っているものすべてテーブルの上に出せ。」 . . . 本文を読む