GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

東京タラレバ娘が面白いよ

2017-01-26 02:58:09 | BOOK/COMICS
東京タラレバ娘が面白い。
このドラマを「人ごとじゃないぞ」って見てる人もいるだろう。「あぁ、こうなる前に結婚しててよかった」と思って見てる人もいるだろう。

実際いるのよ、こういった女の人。
今まで何人も見てきた。お客様の中にもいる。友人にもいる。だから面と向かっては口が裂けても言えないのだが、このドラマはフィクションではない。(東京タラレバ娘は東村アキコさんの漫画が原作のフィクションだけどね)

早々と寿退社する同期を内心せせら笑い、焦らなくてももっといい男と出会うはずなのにもったいない、もっと独身生活楽しんでからでいいのにねって。家庭や男に縛られるより、好きなことやってある程度遊んでから結婚したらいいやって。こいつにしとこうかななんて思った人もいたが、なんとなくスルーしてたら、気がついたらやばいぞ私。

気がつきゃいい歳だ。このままだとどうなる。あれ?おかしいなぁ、どこで歯車狂ったんだ?

流行りの服を着て、メイクを決めて、昼はお洒落なカフェでランチして、夜はフレンチやイタリアンレストランでワイン。夜景の見えるラウンジでカクテル・・・。してたよなぁ。
外資系の男、横文字の仕事の男、ベンチャーやIT、商社マン・・・どれでもよりどりみどりだったよな。全部友達よ〜なんて言ってたら、気がつきゃ女友達と生ビールやチューハイ飲んでる自分がいる。ヤバいぞ私。

女友達は優しい。自分のことしか考えてないような男より楽。
女友達は話を聞いてくれる。自分をできる系と勘違いした下心丸見えの男より楽。
そう、女友達は楽なのだ。
化粧バッチリしなくていいし、何着ていくかも悩まなくていい。相槌も愛想笑いもしなくていい。

何かとそうやって集まってたら、気づけば、あれ?いい男はどこへ行った?まぁいいや、女同士で気楽に飲もうよ。

気取っても仕方ないからワインなんかよりビールでしょう。シャンパンは高いよ。泡が出るんならチューハイで十分。
テリーヌだのムニエルだのはもういいや。バター味よりはしょうゆ味。おでんはほっこりするねぇ。からしはたっぷりね。焼き鳥は串のままがぶりといこうよ。ここはもつ煮込みが美味しいのよ。家では作れないしね。サラダも栄養のために頼もう。葉っぱとドレッシングよりポテトサラダがいいよね。お兄さん熱燗おかわりね。

そうやって居酒屋でたむろしてる30くらいの女の人グループは多い。(原作では33歳だが、ドラマでは30歳に設定されてる)
賑やかだ。若いうちは許されたのだろうが、うるさいと言われたり店員から注意されてたりする。飲み放題をオプションでつけてるので時間がきたら去っていく。

飲み方は豪快だ。もはやおっさんだ。まだ飲み終わってないうちから追加で頼む。手酌で飲む。早々と焼酎お湯割とか頼んでる。
あて(肴)も渋い。サングリアとアヒージョとかを経験してきた世代だからか、マリアージュ(相性)を考えて頼む。ビールなら枝豆やポテトフライ。地魚には地酒。おでんなら熱燗。冷酒なら珍味。

ドラマでは吉高由里子と榮倉奈々が、同じように洒落た店で飲み食いするの飽きて、大島優子のお父さんがやってる居酒屋で、たらの白子とレバ刺しで飲んで愚痴ってる。あの時あの男で手を打ってたら(今頃)。あの時こうしてれば(今頃)。って酔ってはしゃいでるところを坂口健太郎に「うるさいよ。このタラレバ女。ずーとそうやってタラレバ言ってろ。」と言われ、言い返せない。

うーん、東村アキコさんの言葉のセンスに脱帽。
能年玲奈が主演した映画「海月姫(くらげひめ)」も絶妙だったが、今回の「東京タラレバ娘」も秀逸なタイトルだ。


これがただの「タラレバ娘」じゃダメだ。東京という都会で背伸びして無理してお洒落に過ごした女の人じゃないとタラレバ娘にはならない。
これが田舎の女の人なら親戚から勧められた縁談とか、幼馴染と結婚ってパターンが想像できるし、居酒屋行っても下手すりゃ客全員が知り合いだ(店も少ない)。
女同士で愚痴ろうにも、隣は同級生だった男とかいたりして結局みんなでワイワイ。
東京で暮らす女だからこそ、疲れた時に同郷の女友達と集まって飲んでタラレバ言ってしまう。しかも自分はまだ若いつもり、まだイケてるの、気持ちは娘のつもりなのよ。だから「東京タラレバ娘」が正解なのだ。

現在二話目だが、これからどんどん面白くなる。観てない人のために1,2話目のあらすじとこれからの展開をちょっと。

売れない脚本家の吉高由里子は、駆け出しの頃告白してくれた男(鈴木亮平)が今やプロデューサー。改めて告白されるのかとドキドキしてたら自分のアシスタントと付き合い始めた。落ち込んでる時に慰めてくれる女友達(榮倉と大島)と今日は酔うぞ〜って騒いでたら金髪の若い男(坂口健太郎)に叱られる。嫌な奴だと思ってたらKEYという名前の売れっ子モデルだったことが後で判明。

榮倉奈々はネイリストで親にお金を出してもらってネイルサロンを開業してる。東京に出たての頃に付き合った彼氏は売れないミュージシャン(平岡祐太)。同棲してたが先の見えないアーティストに見切りをつけ出てった。鈴木の誘いで連れてってもらった今人気のBUMKEY'Sというバンドのライブ。そこには売れっ子ミュージシャンになった彼が。再会を喜ぶ彼には今、モデルの彼女がいるのだが・・・。

三話目では大島優子が店に来た男に一目惚れする。大島の好みに、ど・ストライクの彼。久しく恋をしていなかった大島は友達にアドバイスを求め・・・。

口は悪いが何かと気にかけてくれる坂口健太郎(ツンデレか)と一夜を共にしてしまった吉高・・・。能天気にはしゃぐ元彼にやけぼっくいに火が付いてしまった状態の榮倉・・・。大島の相手も実は・・・。

おっと、これ以上言ったらネタバレになってしまうな。さぁ、今後はどうなるのでしょう。
原作漫画を読んでる者としては今後の展開も予想はつくのだが、このドラマは原作をうまく構成しなおして脚本されてるからね。演出やセリフもちょっと弄ってて、それがまた原作のイメージを壊すどころかさらに膨らませていいのよ。
言葉に傷つくシーンでやが次々と刺さる吉高。現実に打ちのめされる榮倉はハンマー(鉄球)でぶっ飛ばされる。のだめカンタービレのような大げさな心情表現も面白いよ。

都会を颯爽と生きる女性を描くドラマもいいんだけど、こんな等身大の女性を描くドラマの方が、同世代は好感が持てるのではないかな。

ちなみに40-50代の独身女性はBarに居ます。バブル時の名残かカクテルやシャンパンを一人飲みしています。バーボンやスコッチをロックで飲んでる酒豪もいます。メイクも服装も極めてます。会話も大人です。油断も隙もありません。こんな人はこのドラマを見ても「ふっ、甘いわね。焦っても無駄よ」と思うかもしれません。

その世代の結婚して子育てもひと段落ついた世代は、サイゼリアやファミレスで昼間からグラスワインで女子会やってます。以前「女子会じゃなく婦母会じゃないのか?」と言ったら怒られた。セカンド人生を満喫しております。この人たちはこのドラマを見ると「バカねぇ、チャンスの神様は髪の毛3本なんだからその時掴まなくちゃ」と思うかもしれません。ドロドロの不倫ドラマやイケメンとかジャニーズ系がでてるドラマの方が好きでしょう。

まるで光と影を見てるようです。