BLACKBELL’S WEBLOG

「黒鈴私的ブログ」から名称を変更しますた。色々とお試し中

ゾンビになるまでのプロセスを体感できるフェスティバル

2005-08-28 22:51:19 | 映画
みなさまこんばんは。
今日はすっかり秋めいてきた夜半にお届けしますよ。黒鈴です。



そんな冒頭とは裏腹に、今日は夏に相応しく背筋の凍る恐怖と、立ち込める腐臭のアンサンブルのお話です。


先だって紹介したこの夏公開のホラー映画、「ランド・オブ・ザ・デッド」がいよいよ公開されました!
その初日公開前夜、日比谷ではこのようなイベントが行われていたのです。


■ランド・オブ・ザ・デッド 夏のゾンビ祭り開催!


みうらじゅん氏、中原昌也氏が、ゾンビについて熱いトークを繰り広げるトークショーと、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(最終版)」と「ゾンビ@ダリオ・アルジェント監修版」、そして新作「ランド・オブ・ザ・デッド」が一夜にまとめて公演されるという、まさにゾンビ祭り。
ゾンビ三部作の三作目である「死霊のえじき」はどうなったんだ、という疑問はスルーして、スクリーンで原点となった作品を見れることに惹かれ、この血色の悪そうなイベントに参加してきた次第です。


トークショーからある種独特のグダグダ感が漂いまくり、その雰囲気はゾンビコスプレコンテストで最高潮に。
いやあ、あのヤマンバどもにはマイッタ。
みうらじゅん氏が居なかったら、あのトークショーはどんなことになっていたのか、想像するだに恐ろしいですね。



そんなところで恐怖を感じながら、いよいよ最初の映画「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」を観賞。
僕はこの最終版というものは初めて見たのですが、どうも冒頭部と中盤、結末にオリジナルカットが加えられているみたいですね。最初に挿入されたカットは、最初に現れたゾンビがどういう経緯で徘徊していたゾンビになったかというのが分かるものでした。あとはうろ覚えなのですが、主人公が逃げてきた経緯や集まってくるゾンビと戦う描写が加えられているように感じました。結末のカットは作品の印象をまるっきり変えてしまうもので、違う作品としてみると新鮮ですが、前に見たあの原点である「ナイト~」を大画面で見たい、という人にはガッカリしたのではないでしょうか。
まあ僕の観賞後の感想は、「女は非常時にマッタク使えないなぁ」という初版の感想と同じでしたけどw。まあバイオハザードみたいに、主戦力になりすぎるのもどうかと思いますけどねw
あと、トークショーで「最初に家に侵入してくるゾンビが田中邦衛に似てる」というトークがあったこともあり、そのゾンビ登場シーンで笑いが巻き起こったのは印象的でした。
しかし他の笑いどころは会場と僕とではズレていたようで、例えば、最初から登場する女性がヒステリーを起こして無茶苦茶な事を言っているところを主人公がグーで殴るシーンで会場では笑いが起こっていたのですが、僕には何故おかしいところなのかわかりませんでした。後で友人に聞いたら、グーで殴ることがやり過ぎな感じでおかしいんだよ、との教えてくれましたが、僕があの状況ならやっぱりグーで殴ってると思うんですよね。だからまったくおかしくなかった。
(追記:ちょっとフォローしておきますが、女性蔑視してるとかではないんですよ。どっちかていうとフェミニストよりですよ。でもこの状況はですね、助けてもらった初対面の人相手に急に激昂して「兄さんがいるのよ!あなた助けに行って!」とか言われても。外にはゾンビがウロウロしてるんですよ?兄さんだって墓石に頭ぶつけてぐったりしたの見たでしょうに。それでも助けに行きたい家族愛はわかりますが、それに命の恩人を巻き込むうえにせっかく作ったバリケード破壊されそうになったらどうしますか。外に追い出さなかっただけ、主人公は良心的であったと思うのです。)


次は邦題「ゾンビ」洋題「ドーン・オブ・ザ・デッド」を観賞。
この映画は僕が観た初ゾンビ映画ということで、感慨深いものがあります。相変わらずの唐突な開幕っぷりといい、何の鎮圧をしているのかわからないSWAT隊といい、やっぱゾンビ映画はこうでなくちゃ
僕はこの映画に出てくるゾンビが一番好きですね。単体の脅威というものは少ないけど、数の脅威を感じることが出来ます。顔がワザとらしいメイクですぐに見分けがつくのも趣深くて良いですし、死後硬直で動きに制限がかかっているのも良い感じです。この作品のゾンビたちは、演じている人たちがホント巧い。パイロットの人なんて、ゾンビになった時の方がインパクトありましたよ。ゆっくりと、しかし確実に迫る恐怖を感じることができるので、ゾンビは緩慢な動きがベストです。アクティブすぎる「28日後…」やリメイク版「ドーン・オブ・ザ・デッド」のゾンビもいいですけど、やっぱゾンビはこうでなくちゃ。機敏に動くにしても、せめて「死霊のえじき」レベルのダッシュにしてください。しかしこの映画はかなり長いうえ、上映時間も相まって見ていてかなり精神力を必要としました。



そしていよいよ今回の眼目である「ランド・オブ・ザ・デッド」。
この時の時間は午前四時。まさに頃合いってヤツですか。栄養ドリンクを補給して出来うる範囲内での万全の状態で観賞に望みました。

そんなこんなで観賞後の感想をネタバレしない程度に少し。
ロメロゾンビ映画を3本続けて見たせいもありますが、これらの各作品には製作時期にかなりの時間の差があるので、特殊効果の進歩も十二分に感じることができます。個人的な嗜好はおいておくとして、やはり最新作のゾンビは適度な腐乱具合も見事に再現。この背景となる世界はゾンビが溢れてかなりの時間が経過した世界なので、あらゆる生態活動を停止した死体であるゾンビが新鮮な状態(?)でない設定はナイスでした。
余談ですが、ゾンビの食欲は空腹を満たすものではなく、単純な本能に従っているにすぎません。それは「死霊のえじき」で頭だけになったゾンビが人肉を欲しているシーンで描かれていました。胃袋なんかなくっても食べたいの!っていうアレです。
他にもゾンビに若干の思考力があるという「3」での設定が活かされているのもGOOD。
気になった点は、やはり社会性に目覚めたゾンビという部分。そうなってくると、もうゾンビじゃない気がしてくるんですよね。今回の目玉ともなるこの設定ですが、オールド・ゾンビが好きな僕にはちょっと残念でした。
が、これはロメロ節ってやつでしょうね。ただのクリーチャーであったゾンビが、段々と人間に近づいていく様。侵略者(=人間)が街を襲撃するまでは、平和に、それぞれが思い思いの行動をとるゾンビたち。来るはずのない車を待ってガソリンスタンドで店番をするゾンビ。かつての恋人と手を繋いで公園を歩くゾンビ。安らぎを与えるために楽曲を演奏するゾンビ。ソンビたちの世界は、競争や互いにいがみ合うことなど皆無。同種がやられたのを悲しむ描写や、こういった世界観は、いつまでも戦争をやっていたり互いに傷つけ合っている人間社会に対する皮肉でしょうね。これぞ、ロメロ節です。
故にわからなかったのが、ヒロインがゾンビの檻に押し込められて始まったゲーム。エサを与えてゾンビ同士戦わせるという設定のようですが、ゾンビはケンカなんかしませんよ。エサにあぶれたってその周りでおとなしく待ってたりするくらいなんです。取り合いくらいはするかもしれませんが、戦うなんてありえない。実にピースフルなヤツらなんです。

ざっと「ランド・オブ・ザ・デッド」の感想をまとめると、ゾンビ映画に欠かせない「やるせなさ感」というものがあまり残らない、サッパリ系の作品のように思いました。しかしながら、残酷さというものはかなりのレベルに達しています。生きたまま食べるという描写にこだわりを感じました。ゾンビ的にはぐずぐずしているとゾンビ化してしまうので、新鮮なうちに食べたいんでしょうけどね。頭を脊髄ごと引きちぎったり、かじった頚動脈を引っ張ったり、まさに食欲のみしかないというのが伝わってきて、それに恐怖を感じることができました。


これにて今回のゾンビ祭りは終了。
6~7時間をゾンビ漬け。
徹夜明けでフラフラした僕らが、ゾンビの如く早朝の日比谷を徘徊するという、世にもハタ迷惑なオチをつけて終焉を迎えました。
僕と友人ふたりは、そのまま徒歩で丸の内をゾンビ感想を語りながら抜けて東京駅に。
帰りの中央線では何故かゾンビ話でなく政治の話でしたが、オールナイトというのは初めての体験だったので良かったです。



P.S.
最後に、このイベントにはネット上でお知り合いの男爵ディーノの架神さんも訪れているというお話だったので来場者をチェックしていたのですが、うすうす感じていたにもかかわらず確信を持てたのが終盤だったので声をかけられずじまいでした。しかも確信もてた時って、僕の後ろの席にいるってことに気付いた時ですからね。なのに僕は小心者なので声をかけられませんでしたよ。ああーなんてこった、せっかくのお近づきになるチャンスだったのに。すみませんでした架神さん。
そんなナンパ帰りの反省会みたいなコメントでおしまい。_| ̄|○ il||




■ランド・オブ・ザ・デッド ディレクターズ・カット


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