BLACKBELL’S WEBLOG

「黒鈴私的ブログ」から名称を変更しますた。色々とお試し中

WOW, HAPPY NEW YEAR!あと味爽やか『THE 有頂天ホテル』

2006-02-20 18:00:17 | 映画
年明け初回の映画は軽めで楽しいものがいいですね!
そんな事を実感させてくれた僕の2006年初の劇場映画は三谷幸喜監督の「THE 有頂天ホテル」。
やや遅れましたが観にいって参りました。


THE 有頂天ホテル
公開日:2006年1月14日
配給:東宝
製作国・地域:日本
上映時間:136分
監督:三谷幸喜
脚本:三谷幸喜
音楽:本間勇輔
出演:役所広司 、松たか子 、佐藤浩市 、香取慎吾 、篠原涼子 他
公式サイト:http://www.uchoten.com/




舞台は夜10時、あと2時間で年が明けるという状況の大晦日のホテル「ホテルアバンティ」。
そこに集う人々と、彼らが引き起こす様々な出来事を、実際の時間枠と上映時間を同じに尺にしてストーリーは紡がれています。
作中のホテルの名前の由来にもなっている、映画「グランドホテル」が引き合いに出されると思いますが、大晦日の同じホテル内の別の部屋での出来事を並列して描いた作品という点で、R・ロドリゲス、Q・タランティーノら4人の監督の短編で構成された「フォー・ルームス」と較べてみると、4話全編に登場するベルボーイの視点で統一された「フォー・ルームス」に対し、「有頂天」はあくまでホテルに集った人々全員が主役であり、脇役であるという部分で異なるものになっています。


そんな年の瀬のホテルは様々な人でごった返しており、その人々を前代未聞の豪華キャストが演じているこの映画。
もう既に言い尽くされてますが、これだけのキャストを集められるのは三谷監督を於いて他になく、これだけのキャストをそれぞれの個性を活かしたまま使うのも三谷監督を於いて他にないと言えるでしょう。

たどたどしくもコミカルな二面性を演じる役所広司と手馴れた二面性を披露する生瀬勝久。
人間臭いヨゴレ役を演じさせたらハマりにハマる佐藤浩市と、その脇にいてもなんら違和感のない、しかし女優としての存在感が増した篠原涼子。
サイドストーリーにてハキハキした良演が光った松たか子。
推理小説から抜け出したような出で立ちでニヒルな推理を展開し、三谷作品のワンピースにピッタリと収まってきた石井正則。
いつ「アフ○ック」と言い出すか気が気でなかったダブダブ。
そして出オチの伊東四郎。
その他にも数多の俳優が盛りだくさん。よくぞ使い切りました。
しかし最後スタッフロールを確認すると、気付かなかった方もまだまだいたので、2度目3度目も十二分に楽しめるはず。


それにしても、通常ならご都合過ぎると辟易してしまうような展開でも、三谷作品にはそれを納得させる構成力と雰囲気があります。
同時に起こる色々なハプニングが解決するどころかますます混乱していく年の瀬が、12時に向かって一気に収束されていく。
締め括りはまさにハッピーニューイヤー。
あと味スッキリの爽快感はお正月映画にピッタリといえるでしょう。



「笑の大学」に引き続き(大学はバリバリの舞台脚本でしたが)、舞台向きの脚本をスクリーンで存分に表現した三谷監督には今後も期待せずにいられません。


余談ですが、「THE 有頂天ホテル」を英語表記すると「THE WOW-CHOTEN HOTEL」。
この描写は開幕のタイトルロールで出てきますが、何故「WOW」なのかは最後になんとなくわかります。
「WOW-CHOTEN」なので、「THE」の発音も「ジ」ではなく「ザ」で正解というわけ。
こういうコネタが粋ですねェまったく!

キャシャーンは華奢でないと

2006-02-14 17:59:54 | 映画
日曜洋画で放映していたキャシャーンを観てみた。



2時間放送だと思ってたら、2時間半もありました。
そのあたりちょっとウンザリしてきてたのですが、最後のカットはすごくよく出来ていたと思います。
というか、宇多田ヒカルの曲が流れ始めてからだけでいいんじゃないのかってくらいまとまってたよね。


多少メッセージ調が強かったですが、言いたい事・伝えたい事はよくわかったし、どう見せたいのかというのも理解できました。
全編に渡ってこだわってこだわって、こだわりぬいて創ったんだと思います。
アニメっぽいカッチョよさを実写で表現したかったんだろうなあ。
そのような部分は純粋にカッチョ良くて、「スゲー」と感嘆しましたよ。
しかしこだわりが裏目に出て、完璧を追い求めたが故に詰め込みすぎという事態を引き起こし、結果長くなって、その上分かりにくくなってしまいウンザリしてしまう、というのが観客の感情だと思いました。

実のところあまり期待してなかった、というか半ばネタで見たのだけど、不快感みたいなのはありませんでした。
処女作という事を鑑みれば、結構イケてたと思います。
失敗した箇所が明らかな為に、これを次回作でどう改善してくるのかが楽しみになりました。
何かが足りないというのと違って巧く端折れば良い事なので、こういう部分は経験で埋まってくるのではないかと思いますよ。
なんかエラソーだな。申し訳ない。



そういえば好みの俳優さんたちは、どいつもこいつも個性でまくりでした。素晴らしい。

唐沢寿明は演説キャラがハマリ役。
ミッチーは吐血が板につきすぎてて開幕から死相が見えた。
寺尾聡は素晴らしいなあ。
小日向文世はニコニコぷり=仮面というイメージが定着してきてる。



■DVD CASSHERN
■DVD オリジナルアニメーション キャシャーン
■DVD 新造人間キャシャーン COMPLETE DVD-BOX ~ALL EPISODES OF CASSHERN

素材ふんだんな重箱おせち映画「キング・コング」

2005-12-19 02:58:43 | 映画

ピーター・ジャクソンは天才か!





※最初に断わっておくと、僕はオリジナルの方を観ていません。なので、オリジナルと違う描写や追加されたシーンの区別がつきませんので、比較やなんかは一切していません。そこのところ、よろしくです。



12月17日公開初日。
六本木ヒルズでキング・コングを観て来ましたよ。
何の前知識も無しに観に行ったわけですが



いやあ、ナメてましたね。
恐るべきはピーター・ジャクソン!





何が凄いってその構成ですよ。
3時間超に及ぶ長編映画なのですが、内容は大まかにパート別に区切られています。
そのひとつひとつをダイジェスト形式&黒鈴的感想を交えてご紹介してみようと思います。


第一部はプロローグ。
未知の島へ旅立つまでの経緯を、各人のエピソードを交えて、何故行くことになったのか、を綴ります。時代背景なんかはここで刷り込まれます。


第二部。
ここが冒険編。大海原へと漕ぎ出していく航海モノ。そして未知の島への上陸と、そこで遭遇した不気味な原住民との戦いです!怖すぎだよ、この原住民~。


続く第三部は島内部の探検モノ。
原始の世界を目の当たりにする現代人。そこは生物の王者・恐竜が大地を闊歩する太古の世界!さながらジュラシック・パーク!?ヤバいと思っててもカメラの前だけはゆっくり歩くバクスターさんや、カメラ片手に爆走する「まさにプロ!」な前田建似の監督がナイス!


第四部は怪獣大決戦!
巨大生物のガチンコバトルは迫力満点!ここは純粋に見どころです!!!


第五部は、VS.インセクト!
今までのような巨大生物のバトルではなく、元々が小型であった生物の巨大化ヴァージョンとの戦い!まあスターシップ・トゥルーパーズです。生理的にダメな人も出てくるかもしれないのがこの部分。ていうか、バクスター、お前どこでスタンバってた!


第六部は今までの前半パートの締め。
この前半後半の繋ぎ部分は強引しきりなのですが、何故かさほど気になりません。何故だ、何故なんだ!一体どうやって運んだんだ!


第七部は、文明に囚われた野生の王。
しかし大都会を舞台にその猛りを存分に発揮。車道を駆けビルを跳ぶ!姉歯建築事務所設計では耐え切れなかった事うけあいのアクション。そして街中で容赦なく発砲する軍隊との激戦は、さながら特撮モノであります!


第八部。再会と共にあった来たるべき運命。
その末にキングコングが取った行動と思惑が、人の心を揺さぶります。人のエゴと、野生の誇り。最後はグッとまとめ上げられ、「映画を観た!」という気にさせられました。




ざっとこんな感じであります。

この映画をこれからご覧になる方にアドバイスを送るとするならば、この作品は「ロード・オブ・ザ・リング」の監督の作品だと思ってみない方がいいかも、という事です。つまりはコッチ系です(ブレインデッド
あの大作のスタッフが再結集!と銘打たれているので大河ロマンを期待されると戸惑う面があるかもしれません。もちろんカメラワークや迫力あるシーンなど、技術面は流石の一言。その辺りを期待する人は必見です。
しかしながら、僕がこの作品に感じた魅力というのは、なんだかよくわからないジェットコースター感覚。随所に満載されたB級テイスト溢れるツッコミどころを、どうしてだか「まあいいか」と思わせてしまうBダッシュ状態。それでいて最後はしっかりとまとめる。恐ろしい、恐ろしいよ!

とにかく、ピーター・ジャクソンといえば、「指輪物語」以前の方が!という方には面白さ倍増なことうけあいかと思われます!


映画館を後にする僕にはこれ以上ない満腹感(膨満感?)がありました。
決してバケツのような容器になみなみと入ったポップコーンを食べたからではないでしょう。



というわけで、ピーター・ジャクソンがお正月前に贈る3段おせち映画「キング・コング」。
みなさまも是非、劇場に足を運ばれては如何でしょうか。



キング・コング
公開日:2005年12月17日
製作国・地域:ニュージーランド/アメリカ
上映時間:186分
監督:ピーター・ジャクソン
脚本:ピーター・ジャクソン 、フラン・ウォルシュ 、フィリッパ・ボウエン、他
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ナオミ・ワッツ 、ジャック・ブラック 、エイドリアン・ブロディ 、アンディ・サーキス 、他
公式サイト:http://www.kk-movie.jp/top.html




■DVD キング・コング プレミアム・エディション
■DVD キング・コングができるまで 製作日記
■DVD キング・コング(元祖)

■DVD ブレインデッド
■スターシップ・トゥルーパーズ
■スターシップ・トゥルーパーズ 2 コレクターズ・エディション
■ジュラシック・パーク
■ロストワールド/ジュラシックパーク
■ジュラシック・パーク 3
■ジュラシック・パーク トリロジー・ボックス

血を通わせないモノたちが綴る心の調べ「コープスブライド」

2005-11-07 18:03:10 | 映画
前回はチャーリーとチョコレート工場を観たわけですが、今回はそこで公開宣伝をやっていた、同じくティム・バートン監督作品「ティム・バートンのコープスブライド」を観て来ました。



ティム・バートンのコープスブライド
公開日:2005年10月22日
配給:ワーナーブラザーズ
製作国・地域:イギリス
上映時間:77分
監督:ティム・バートン、マイク・ジョンソン
脚本:パメラ・ペトラー 、他
音楽:ダニー・エルフマン
声の出演:ジョニー・デップ 、ヘレナ・ボナム=カーター 、他
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/corpsebride/



この映画は12年前に公開された「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」の後継的な位置付けとなっています。というのは、映画の作り方というか、ジャンルが同じであることが最たる理由だと思います。

この作品は「クレイムービー」、所謂「ストップモーション・アニメ」という手法で作られていて、これは映像の元となる人形や模型をほんの少しずつ動かして、ひとコマずつ撮影していき、最後にそれらを繋げて連続して映写するというものでして。一昔前の2次元アニメが、セル画のパラパラ漫画の仕組みであったように、それを3次元にしたものがこの「ストップモーション・アニメ」なわけです。動きを滑らかにする為には、そのひとコマずつの総数を増やせばいいわけなんですが、こんな言葉でさらっと流せるほど安易なものではありません。
この映画のように、ちょっとした表情の変化や仕草、動作を細やかに表現する為には想像を絶する作業が必要であったと思います。一秒作るのに半日を要したりする世界。上映時間は77分なので、普通に映画を見終わった後には「少し短い映画だった」と感じるかもしれませんが、一秒に半日かけたりする世界で77分の映画製作。途方もないねw
また、3Dなので、アニメセルのように前の絵と重ねて描くわけにはいかないので、これまた繋げてみないと分からない世界。
いやはや、創り手には頭が下がります。



そのようにして作り出されたこの映画の人形たちは、あたかも命が吹き込まれたかのように動き出し、細やかな表情でその心情を表現してくれます。


ここで注目したいのがその題材です。
映画の製作段階においても人形に生命を吹き込むという作業をしているのに、作中では死体までもが生命を持つかのように紡がれたストーリー。このあたり絶妙です。実にニヤリですよ。

作中の死者たちは、すでに死んでいるがゆえに生に囚われない自由な生き方(?)をしています。それが生者の打算や欲求といった俗世な部分を浮き彫りにさせていて、妙にシニカルですね。

そのような「人間を演じる」人形、「死体を演じる」人形たちが織り成す純粋な心のファンタジー。本来血の通わない、心を持たない人形や死体といった物体が、逆に生きている我々に、心の痛みや暖かさ、幸せを教えてくれる、そんな映画です。

細かいツッコミどころもあるのですが、こういう作品はその世界観に浸って観ることが楽しく観るファクターだと思いますので(この映画に限りませんが)、これからご覧になるみなさまも、この独特なる世界観に浸って観賞されると良いと思います。



ここで僕からひとつお願いが。

公式サイトにある「冥土 in LOVE」は流してやってください。

悪気はないんだと思います。


余談ですが、物語の核となる部分にはキリスト教における結婚という儀式性が前提として据えられています。我々日本人には誓いの言葉や指輪の儀式に馴染みがないので、その契約性に少々違和感が伴うかもしれません。



最後に追伸。
「命なき者に命を吹き込む」「クリエイターの技術の粋を集めた」という点では同じなのですが、その手法において対極に位置するこんな映画もあるので、較べて見るのもまた一興かもしれません。
■FINALFANTASY VII ADVENT CHILDREN(公式サイト)
■FINALFANTASY VII ADVENT CHILDREN(amazon)

最近のチョコレート工場の最新鋭ぶりときたら

2005-09-20 02:03:52 | 映画
みなさまこんばんは。
3連休、3営業、3連休。
このループが一生続けばいいと思っている黒鈴です。


さて、先日はこの映画を観て来ました。

「チャーリーとチョコレート工場」
製作年度:2005年
製作国・地域:アメリカ/イギリス
上映時間:115分
監督:ティム・バートン
原作:ロアルド・ダール
音楽:ダニー・エルフマン
出演:ジョニー・デップ、フレディ・ハイモア、デヴィッド・ケリー



観る前は、ティム・バートンのファンタジーということで、ある程度の苦味や受け入れられる人とそうでない人に分かれるであろうということを覚悟して観たのですが。

僕には最初から最後まで、珠玉のファンタジーに感じました!

観る前の懸念がウソのよう。
後味スッキリの素晴らしい作品です。

まず、個性溢れる魅力的なキャラクターたち。アレほどまでに様々なキャラが出てくるのに不必要な登場人物などひとつもなく、それぞれによって紡がれるストーリー。ジョニー・デップ扮するウィリー・ウォンカはひと際異彩を放っておりましたが、それがまた作品を魅力あるものに仕上げています。正直、アレほどまでにおかっぱが似合うキャラを、ブチャラティ以外でみた事がありませんよ。

そして要所要所のコミカルかつ、耳に残るミュージック。
この作品において、音楽は極めて重要な部分を担っています。これこそが、比較的長めの作品であっても、全体を引き締めているものだと思います。

この作品でも、好き嫌いが分かれるのでしょうか、と思うくらいスバラシイ出来映え。
チョコレートというアイテムが実に魅力的に描かれ、否が応にも童心に帰らせてくれます。
後に残るのはビターな苦味ではなく、ミルクチョコレートのまろやか感。
観賞の際には、是非板チョコ持参をオススメします!

僕は持って行ったのですが、映画に夢中で食べるタイミングが無かったですw


兎にも角にもティム・バートン完全復活。
ハロウィンに届けられるナイトメア・ビフォア・クリスマス系の作品、「コープス・ブライド」も非常に楽しみになってきました!


P.S.
コネタバレ注意↓
ところで、ウォンカが最初に工場を開いたとき、左手がハサミだった気がするのですが、あれってお遊び?


■チャーリーとチョコレート工場 特別版
■チャーリーとチョコレート工場