バス運転士のち仕分け作業員のち病院の黒子 by松井昌司

2001年に自分でも予想外だったバス運転士になり、2019年に某物流拠点の仕分け作業員に転職、2023年に病院の黒子に…

コインセンサJAMエラー!

2015年08月14日 21時29分39秒 | バス運転士
あるバス停で乗った一組の母子… お母さんが運賃箱に硬貨を入れて先に行き、100円玉1枚を手に持った男の子が「これ、どこに入れるの?」とお母さんに聞いた… その時、運賃箱が「プププッ!(投入金不足!)」と答えたので、私は「すいません、あと10円お願いします」とお母さんに呼び掛けた。

戻って来たお母さんが財布を取り出して10円玉を探している最中、再び男の子が「ねぇ、どこに入れるの?」と尋ねたのだが、お母さんは黙って10円玉を運賃箱へ投入… そして、運賃箱が「ピンポ~ン!(毎度ありぃ~!)」と答えると同時に、お母さんが男の子に「ここへ入れて」と言ったので、私は慌てて“子供ボタン”を押し… 「ピンポ~ン!(ありがとさぁ~ん!)」と、めでたく精算完了した。

と、思ったら… すぐに運賃箱が「ウィ~ン… キュルキュル… カランコロン… ガコガコ…」と、うめき声をあげ始め… 表示画面に“開”と言う文字が点灯して… すぐに消えて… その後“計数ダメ印”が点灯してしまったのである。それを見た私は「計数ダメ印… かつて完全弊社のバスで見た“硬貨計数エラー”と同じ意味ならば、それは硬貨を数えられないということで… つまり、お釣りも出ないということだな!」と理解した。

そこで、運転カードを確認したところ… 様々な系統のバスが某総合駅へ向かって合流する大きな交差点にあるバス停の発車時刻の横に“他系統バスが1分前に来る”という意味の数字が書かれていたのである。私は「やったぁ~! その他系統バスが、そこから某総合駅までの乗客をすべて乗せて行ってくれれば、とりあえず往路の危機は回避… 某総合駅で運賃箱を復帰させられるかもしれない!」と思った。

んが! 他系統バスが行ってから僅か1分後なのに…(実際、前方に他系統の某総合駅行きバスが見えているのに…) なぜかバス停には乗客がチラホラ… それでも、途中まではICカードやフリーパスばかりだったので、「このまま終点まで行けるか!?」と思ったのだが… そんな甘い話はどこにもなかった。あるバス停で、娘さんを連れたお母さんが「これで大人2人お願いします」と言いながら、500円硬貨を出したのである。「大人2人=420円か… 運賃箱は、本当にダメなのか知りたいなぁ~ もしもダメだったとしても現金80円で済むし…」と思った私は「こちらへ入れてみて下さい」と言った。

私に促されて投入された500円硬貨は、カランコロンと運賃箱の底までストレートに落ちていったようで… 画面には投入金額などが一切表示されず… やっぱり“計数ダメ”だった。勉強した私は「いやぁ~ さっき急に機械の調子が悪くなっちゃって…」と言いながら“授業料”を差し出し、お母さんは「あらまぁ… それは大変…」と言いながら“釣り銭”を受け取った。

さて、某総合駅の待機場所にバスを止めた私は、予定通り“電気系トラブル対応の基本”である“主電源斬り… 否、切り!”をやってみたのだが復帰せず… 仕方がないので、もう一度“主電源切り”をやった上に、蹴ったり叩いたりしてみたのだが… まったく復帰する気配が感じられなかった。仕方がないので、私は営業所へ電話をして「駄目だこりゃ~」と伝え、某運動場へ戻ったところで車両交換することになったのだが… 幸い、逆向きは乗客も少なく、現金での支払いは1人だけで釣り銭も不要だった。

午後3時過ぎ… 営業所へ帰ってから、故障の原因を上司に聞いたところ、「10円玉の一部が波打つように曲がっていて… それが機械の中で挟まっていた」らしい。また、「それは機械の中で曲がったのではなく、投入する前に曲がっていたのではないか」という話だった。故障する直前に10円玉を投入したお母さんに、不審な動きは見られなかったのだが… ひょっとして、あの一瞬で10円玉を曲げてしまったのかもしれない。

というのも、実は私… テレビなどで「誰でも出来る!」と言われているスプーン曲げも出来ない人間で、「なんでだろう?」「つまらんなぁ~」と思っていたのだが… 半年くらい前のある日、自宅玄関の施錠をするためにキーを差して回した瞬間! なぜか「やわらかい」と感じてしまい… キーを抜いて見て驚いた。キーが“ねじれ曲がっていた”からである。「こりゃマズイ!」と思った私は、すぐにキーを差し込んで開錠する方向へ回し… 再びキーを抜いて見て、元に戻ったことを確認… 改めて施錠したということが一度だけあったのだ。そう、一度だけ… 何だったんだ、あれは…


最新の画像もっと見る

コメントを投稿