朱禪-brog

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を書いてます。たまに映画も。

関西学院戦について【消えてましたので再掲します⠀】

2021-09-05 10:35:01 | ラグビー










昭和63年(1988年)11月
京都原谷グランドにおいて
全勝同士、勝った方が優勝に王手をかける戦いが始まる。
長い歴史を持つ定期戦でもある。

相手はBリーグ優勝筆頭株
関西学院大だ
FW陣のスクラムとドライビングモールと堅い防御でここまで圧倒的な強さで勝ち上がってきた。

下馬評は、関西学院の圧倒勝利の一択だったろう。
私達の代はOBからは捨て駒と呼ばれ、
次の世代に期待をかけているのはわかっていた。

しかし、私個人では1回生の時
吉祥院グランドで当時Bリーグ優勝チーム京都大に負けAリーグから陥落した事を最終学年になるまで忘れられなかった。

京都大戦の前に合宿を張ったのだが
40度を超える熱の為にその入れ替え戦に出れなかったからだ。
---
アップを終え部室に戻る
「ここがあの薄汚れた部室か?」

部室はプレハブ/トタンの安易なものだった。
が、その日の部室は完璧に整理整頓され
塵一つなく掃き清められており
蛍光灯も新品に替えられていた。
1回生と4回生が私達を送り出す為に
心を込めて整えてくれていたのだった。

円陣を組み部歌である
「グレーター立命」を吼えるように歌う。

全身からアドレナリンが吹き出し
髪の毛が逆立つ
4年間の私達の血と汗を吸ったグランドへ歩む。

前半開始15分
関西学院得意のパターン、ドライビングモールで呆気なくトライを奪われる。

強力なパッキングとまとまりで防御も為す術がなかった。

「強いな、こいつら…」

スクラムでもサイズに劣る私達であったが、8人全員の固いパックと低いスクラムで押し負けることはなく、逆に相手ボールスクラムに押し勝ちサイドを奪ったことも多々あった。

が、決定的なチャンスは互いになく
一進一退で前半を終える。

スコアは3対6
ワントライで逆転の射程圏だ

ハーフタイムでの監督の指示は
「俺は君たちを信じてます!!」だった。

後半の笛が鳴る

敵陣でのプレーが続いており
怒涛のような関西学院FWのラッシュに
まとまりが欠けていき
相手方にやや疲れが見える
恐らくだが、下馬評通り圧倒できると
思ったはずが取るに取れない事への
焦りを相手方の疲れと感じたのだと思う。

ここで敵陣に攻め入っていたが
ボールを奪われて大きくゲインされた。
「まずい!ここで取られたら負ける!」

その時、スタンドオフ10番だったが
この時はウィング14番でスタメン出場していた副将が相手のトップスピードに乗った下半身目がけて、強烈なヘッドオンタックルで止めた。

ヘッドオンタックルとは頭からタックルにいくもので、この恐怖はやったもののみぞ知るタックルだ。

そして、初めてのウィングでそのタックルをした副将はタックルに難ありと言われ、ウィングでの出場に物議を醸した男でもあった。

脳震盪で気を失い、副将は担架で運ばれた。

ラグビーはタックルで勇気を貰うことが往々にしてある。
何故ならば?
タックルは恐怖との戦いと正確な技術に基づくものだと知っているからだろう。
私達はその勇気に背中が泡立った…

「いける 絶対こいつらには負けん」

メンバーの顔つきをみてもわかった。

残り時間5分
敵陣でのマイボールスクラム
好機到来だ
FW陣に声をかける
「相手は死ぬ気で押してくる
絶対押し返せ、FWで取るぞ(トライ)」

スクラムでワンプッシュかけると
相手は下がる
更にプッシュをかけると防御にギャップができる
ギャップができたと見るや
味方NO8がサイド攻撃を仕掛ける。
4番ロックだった私はスクラムから離れる際にプロップをワンプッシュして
フォローに回る

ゴール直前で相手のタックルに合うが、
綺麗なダウンボールをして
味方にボールを見せてくれていた。
相手のディフェンスより一歩早かった私がボールを拾い、インゴールに走り込む。

グランディングした際に激痛が走ったが
ボールは離さなかった。

高校最後の試合でもまぐれのトライを
したが、今回もまぐれである。

しかし、絶対にここで取ると思った心境は違った。

トライ後のコンバージョンキックも決まりノーサイドの笛が鳴る。

10対6
勝てた

激痛の元を見ると
左人差し指の爪がスパイクで蹴られて
根元の爪だけでブラブラしていた。

この日、親友と祝杯をあげたが
ウィスキーボトル2本空けても激痛で酔わなかった事が走馬灯のように甦る(笑)

試合に出れなかった4回生を含めた
全部員と私達を信じてくれた監督とで
勝ち取った勝利だった。

この後、最終戦にも勝利し、捨て駒と呼ばれた私達は全勝優勝となり
次のステージである花園ラグビー場での
入れ替え戦切符を手にした。
そして宿敵ブルーライオン「京都大」
尻尾を掴んでいた。

12月の花園への切符

ここまで読んで頂きありがとうございます。

本日もどうぞ良い一日をお過ごしください🍀





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