朱禪-brog

自己観照や心象風景、読書の感想
を書いてます。たまに映画も。

焼き鳥屋②

2021-09-01 04:47:21 | 雑記
群馬県桐生市
桐生競艇場近くにある
とある町工場での打ち合わせを終える。

モーターボートの推力の一つである
プロペラの削り出し加工中のビビり
(加工面のガタツキ)を抑える工具での
試作加工もうまくいった。

それにしても暑い一日だった。
前橋、高崎も暑いが桐生、太田も暑い
さて、国道50号に出て東北道佐野IC経由で帰ろうか
19時30分 大森
ふぅー
龍に行こうか…

--
バチンッ、バチンッ!!
「お?やけに跳ねやがるな、
今回の炭は水分を吸いすぎかな?」

(音でわかるの?)

「ええ、もともと備長炭には無数の
小さい穴が空いてましてね、その穴に加熱した空気が入ると跳ねるんでさ、
保存時に水分を多く吸うと超跳にもなりやす」

(ふーん)

「そんな時はなるべく炭を均等に並べて炭同士の間隔を詰めて酸素も均一になるようにして、小さい火からおこすと跳ねは出にくいんでさ」

あれから何度か通い
すっかり親爺とも気軽に話すようになった。

当時の親爺は75歳
私は37位だったろう
山男から70歳で突然「焼き鳥屋」になると言い、自宅の1階を独りで
内装、カウンター、厨房の工事を行い、店を造った。

1年ほど、近くの鶏肉屋に通い肉の捌き方や串打ちを習ったようだ。

「肉屋のやつが意地悪でね(笑)」
と一言…
あまり良い印象はないらしい。

「今日は何にする?」

(あ、そやな 焼きもんの前に造り(刺身)もらうわ)

「造りだったら、赤とバネがあるね」

(あ、ほなそれにする)

赤は鶏肝
バネはサエズリ(食道.気道)のことだ。

若いころから山で猟をして自炊生活を
送っていた親爺は、サエズリや背肝(腎臓)、鶏肝などの内蔵はやはり焼きより、生の造りがうまいと言う。

親爺の仕入れる鶏肉は確か鳥取県の養鶏場で地べたを歩かせた自然鶏だった
名称は忘れたが…

造りの
鶏肝はごま油と塩
サエズリは溜まり醤油と生姜の千切り
で頂こうか。

親爺の店の酒類には、ビール、サワーの定番以外に日本酒と焼酎がある。

日本酒は「白馬錦」
焼酎は「くろうま」
この二択だ。
白馬だけならおもしろなかろうと
黒で調べたらくろうまがあったからだと(笑)


白馬錦はやや甘口で口に含むとどっしりとした重みがある純米酒
くろうまは後味がほんのり甘く感じる
爽やかな麦焼酎だ

業務用で仕入れず一升瓶で酒屋から
取り寄せていた。

(くろうまにするわ)

「あいよ」

アサヒビールのグラスに
なみなみと焼酎を注ぐ
正味一合が350円。
ここはほんまに東京か?
と最初は驚いた。

鶏肝は弾力の固まりであり
噛むと肉の弾力が歯に跳ね返り
じわと甘みが出る

サエズリはコリコリとした食感で
鶏肝の濃厚さではなくさっぱりとした
後味だ

宮崎の銘酒「くろうま」で舌を洗いながら、親爺渾身のアテを食す。

(うまい…)
言葉がでない

それにしても
クーラーをつけない工場での
打ち合わせは暑かった

今日もよくはたらいた
大井町の夜は静かにふけていった…

ここまで読んで頂きどうもありがとうございます。

ぼちぼちと親爺を偲び書き起こしたいと
思います。

本日もどうぞ良い一日をお過ごしください🍀

朱禪記す


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