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聖書 新共同訳は典型的エキュメニズム、フランシスコ会訳も原典は非カトリック

2011-10-23 | 聖書
第16回「新改訳訳聖書」

日本聖書協会から出版された口語訳聖書が自由主義神学的傾向にあり、神やイエス・キリストの権威が弱められていると感じた福音派陣営では、日本聖書協会に対して説明と訂正を求めましたが、当時の日本聖書協会主事はこれに応じませんでした。

第17回「新共同訳聖書」

 20世紀後半に起こったエキュメニカル運動(教会一致運動)の流れの中で、世界各国でカトリック教会とプロテスタント諸派が共同で聖書の翻訳に取り組むようになり、日本でもこの流れを受けて、カトリック教会とリベラル派プロテスタントのメンバーからなる翻訳委員会が結成され、翻訳が開始されました。 

 その結果、1978年に「新約聖書 共同訳」が完成し、出版されましたが、固有名詞の表記や翻訳方針の問題などがあり、そのまま礼拝に用いることは難しいとして、キリスト教界から受け入れられませんでした。 

 固有名詞の問題というのは、共同訳では「原音発音表記主義」に立って、ギリシャ語の発音をそのまま日本語にした結果、例えば「マタイ」が「マタイオス」、「ルカ」が「ルカス」になったり、「イエス」が「イエスス」になってしまったことなどです。 

 特に「イエスス」については、原音表記ではなく、プロテスタントで用いられていた「イエス」と、カトリックで用いられていた「イエズス」を足して2で割るという折衷案をとるという中途半端な名称となったことは批判を浴びました。 

 また、翻訳方針として、字義訳ではなく、意味訳主義をとったため、原典への忠実さという点が問題となり、礼拝で使用するには相応しくないという意見が出されました。そのため、共同訳は最初から翻訳をやり直すことになり、1987年に旧新約が完成して出版されたのが「新共同訳」聖書です。 

 新共同訳では、旧約と新約の他に、カトリック教会や聖公会で用いられているアポクリファ(外典)も「旧約聖書続編」という名称で翻訳され、「続編あり」「続編なし」の両方の版が出版されています。そのため福音派からは、聖書正典の厳密さが曖昧にされているという批判が起こり、プロテスタント諸派の中で新共同訳を使用するのは、もっぱらリベラル派の教会が主体となり、福音派の教会ではあまり使用されていないのが現状です。

フランシスコ会訳聖書
 この翻訳が出来る以前にはカトリック教会による日本語訳聖書としては1910年に発行されたエミール・ラゲによる文語訳のものと、1964年に発行されたサレジオ会のフェデリコ・バルバロによる口語訳のものがあった。しかしながらこれらの日本語訳ば、カトリックとしての公認訳ではなくあくまで私訳・個人訳であり、内容的にもラテン語訳聖書であるウルガタを元にしたものであるため、旧約聖書はヘブライ語から、新約聖書はギリシャ語からそれぞれ直接訳したとされている日本聖書協会による日本語訳聖書と比べるとかなり見劣りのするものであった[1]。

『バルバロ訳』(講談社、1980)
 サレジオ会の故バルバロ神父の個人訳で、フランシスコ会訳が出る以前は、カトリック教会で最も使われていた聖書です。もともとは、デルコル神父との共訳でドンボスコ社から出版されたのですが(1964年)、講談社に版権が移ったときに、バルバロ神父が一人で全体を改訳しました。カトリックの教えに忠実な注解が付いているので今も根強い人気があります。しかし原語からの翻訳ではなく、原文を参照しながらラテン語訳聖書から訳したものです。
 教会の教えに忠実でありたいと願うカトリック信徒には、貴重な一冊です。旧約聖書はカトリック教会の46正典の立場を採っています。新約聖書だけの版も発売されています。

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