グローバル・タックス研究会 ~Study Group On Global Tax~

貧困のない、公正かつ持続可能なグローバリゼーションのための「グローバル・タックス」を提言する、市民研究グループです。

財務大臣に投機マネー・ヘッジファンドの規制を要請

2008-02-05 | 国連、G20、G8サミットなど

来る2月9日開催される「G7財務相・中央銀行総裁会合」(以下、G7財務相会合)に向けて、2月4日、額賀財務大臣宛の要請書を2008年G8サミットNGOフォーラム/貧困・開発ユニットで提出しました。これにはG7財務相会合とG8財務大臣会合の担当者である財務省国際局次長の中尾武彦氏が対応していただきました。

要請書の骨子は「G7財務相会合で投機マネーの規制をの主要議題するよう日本政府はイニシアティブを取るべき」というもので、具体的には次の措置を取るよう要請しました。

●ヘッジファンドや他のファンドの資産と取引履歴等の情報開示の義務化
●エネルギーや資源、穀物先物市場への投機マネーの抑制メカニズムの構築と実施
●各種投資ファンドへの公正な税制の導入と実施
●短期の投機資金を規制する通貨取引税の導入と実施
●債務帳消しを無効にする「はげたかファンド」の規制

私たちは、投機マネーの規制の他にODA(政府開発援助)の増額等を併せて要請したが、世界の貧困からの解放をめざすGCAP運動のなかのG8諸国グループであるGCAP G8も各国でODA増額等を軸に要請行動を行いました。

以下、G8サミットNGOフォーラム/困・開発ユニットの要請書とその英語版を送ります。

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2月9日G7財務相・中央銀行総裁会合に向けての要請書


財務大臣 額賀福志郎 様
                    2008年G8サミットNGOフォーラム 貧困・開発ユニット


来る2月9日、東京においてG7国の財務相・中央銀行総裁会合が開かれると聞いております。国内のNGOのネットワークである、私たち「2008年G8サミットNGOフォーラム 貧困・開発ユニット」は、これに出席なさる額賀財務大臣に以下のような要請をいたします。

投機マネーの規制、ヘッジファンドの情報開示、開発資金の増額等のため日本政府はイニシアティブを


A 投機マネーの規制、ヘッジファンドの情報開示を


1、1月2日、ニューヨーク原油先物市場では代表的指数であるWTIが急騰し、1バレル100ドルという最高価格が付けられ、混乱のうちに新年を迎えた。以降、原油のみならず金、穀物など現物商品も過去最高水準まで高騰し、高値のまま推移している。

2、この高騰の結果、燃料など原材料、食料価格が軒並みに上昇し、インフレ圧力が各国で高まっている。なかでも食料やエネルギーは人々の生存基盤であり、その値上がりは貧困層を直撃している。国連食糧農業機関(FAO)は、昨年12月国際社会に対して、食料価格の急騰などによりひどい打撃を受けている貧しい国々への緊急支援を呼びかけるまでになっている。

3、これらの国際商品価格の急騰の最大の要因は、ヘッジファンドなどの投機的マネーの商品市場への大量流入である。これは昨年来米国で表面化し金融不安と景気悪化をもたらしているサブプライムローン問題によって、投資家が資金を金融市場から商品市場へとシフトさせているからである。

4、人々の生活を守り、貧困削限の努力を無に帰さないために投機マネーの規制は緊急の課題である。さらに、市場で安く途上国政府の債務を買い取り政府に高く買い戻させるというヘッジファンドの暴利ともいえる手法は、これまで国際社会の努力により進められてきた途上国の債務削減の効果を無にする恐れがある。ヘッジファンドが債務国政府から手に入れた金額は、10億ドル近くになるが、これは本来、教育、医療保健、その他の社会保障費に充当されるべきものである。

5、以上から、日本政府は今次G7財務相・中央銀行総裁会合において、次のような投機マネーの直接規制のためのイニシアティブをとるよう要請する。

ヘッジファンドや他のファンドの資産と取引履歴等の情報開示の義務化
エネルギーや資源、穀物先物市場への投機マネーの抑制メカニズムの構築と実施
各種投資ファンドへの公正な税制の導入と実施
短期の投機資金を規制する通貨取引税の導入と実施

B、債務帳消しの推進、ODAの増額と質の確保を


6、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成を阻害する債務については、原則すべての帳消しを行うことを求める。また、帳消しを受けた国に対する新規資金の拠出を確保し、債務削減分をODAとしてカウントしないことを求める。

7、500億ドルの増額を謳った2005年のグレーンイーグルズの公約だが、現在のペースでは2010年時点で270 億ドル下回る見込みであり、誠実な履行が求められる。加えて、GNIの0.7%という1970年からの国際公約達成に向けた行程表を発表していない国は、一刻も早い発表をすべきである。拠出する開発援助は、貧困からの解放を第一義目的とし、「援助効果にかかるパリ宣言」など、援助の質に関してこれまでに国際的に合意された内容を反映したものにする必要がある。

C、気候変動対策支援に原則を


8、バリの気候変動枠組条約会議で設立が決まった適応基金(Adaptation Fund)への拠出を、GNI比0.7%公約を含む、既存の公約とは別の、追加的資金として拠出する必要がある。世界規模で調達される資金が、実際のニーズに基づいて配分され、効率性および透明性が高く、説明責任の確保された運営体制を持ち、全体として最も効果的に活用されるようにするためには、現存する中では適応基金が最適の仕組みである。途上国自身が自らの適応ニーズ、プロジェクトタイプ、モダリティなどに関して、決定に関与することを確保するうえで、最適な枠組みである。

9、最近、ドイツ、英国、米国、そして日本などが気候変動対策の面で途上国支援の必要性に対する認識を強めてきていることは歓迎されるが、それらは、以下の原則を満たすものである必要がある。
既存のGNI比0.7%公約というODAコミットメントに対して完全に追加的であること
二国間よりも、国連の下で管理される適応基金や後発開発途上国基金などの多国間のチャンネルを通じたものにすることを目指すこと
新たなコンディショナリティにつながらないものであること
能力の高い市民社会組織、およびもっとも貧しくもっとも脆弱性の高いコミュニティの参加の下での、包括的かつ一定の時間をかけたコンサルテーションのプロセスを踏まえて行われるものであること。

D、革新的資金メカニズムの創出を


10、通貨取引税からの税収を革新的資金源として開発援助・気候変動適応資金に充当すること
11、航空券国際連帯税など革新的資金メカニズムを創出し、開発資金を追加的に調達すること
                               2008年2月4日

◆英語版:
Appeal to Minister of Finance Concerning the Meeting of Finance Ministers and Central Bank Governors of the Group of Seven Nations on February 9th
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