感染症内科への道標

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急性HIV感染症の症状によるスコアリング(San Diego Community-Based Screening Program)

2018-07-19 | 微生物:診断・検査法
背景:急性HIV感染症(AHI)の治療は、感染伝播を低下させ、免疫能を維持に役立つが、AHIの診断にはまだ課題が残っている。AHIの高リスク群ではリスクに応じたAHIの予測因子が記述されているが、症状に基づいたスコアリングも一般化できるのではないかと考えている。
方法: AHI(HIV抗体陰性かつHIV nucleic acid test(NAT)陽性)、サンディエゴで行われた早期HIVスクリーニングプログラム参加者でHIV NAT陰性だった成人を2:1で後方視のランダム化試験を行った。前者で、AHIのおける有意な症状を多変量ロジスティック解析を行い、スコア値を割り当てられた。そのスコアは、ROC曲線とAUCを用いて評価した。カットオフ値はユーデン指数を用いて定めた。
結果:998人の参加者(男性と性行為を行う非男性261人を含む)、113人のAHI(4人の非MSM(MSM:男性と性行為を行う男性)を含む)が登録された。HIV陰性患者と比較して、AIH患者はより多くの症状を有していた。
発熱、筋肉痛、体重減少は多変量ロジスティック解析で11、8、4点に対応した。
スコア値の評価はAUC 0.85(95%信頼区間 0.77-0.93)で、11点以上では72%の感度と、96%の特異度だった。(診断OR 70.27)
結論:3つの症状(発熱、筋肉痛、体重減少)スコアは、コミュニティでのスクリーニング試験としてAHIを正確に予測し、AHIをルーチンに検査しない状況でも検査を行うことの指標になるかもしれない。

■得られた知見
 頭痛、咽頭痛、皮疹、筋肉痛、発熱、疲労、寝汗、胃腸症状、関節痛、体重減少(2.5Kg以上)、リンパ節腫脹について調べた。いずれも、HIV陰性患者より、AHIでは有意に症状が認められた。AHI患者での感度と特異度は、それぞれ、頭痛(51%/81%)、咽頭痛(42%/86%)、皮疹(22%/95%)、筋肉痛(52%/94%)、発熱(60%/96%)、疲労(52%/89%)、寝汗(41%/94%)、胃腸症状(37%/89%)、関節痛(19%/96%)、体重減少(22%/98%)、リンパ節腫脹(27%/95%)だった(table 3)。
 ロジスティック解析では、AHI患者の症状として、筋肉痛と発熱がp値<0.001で、体重減少がp値は0.035だった。その他にはp値が<0.5となる項目はなかった。(table 4)


管理者コメント:鑑別難しいですね。
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