診察室でのひとり言

日常の診察室で遭遇する疑問、難問、奇問を思いつくままに書き記したひとり言

2024年 スタート

2024年01月01日 | 医療、健康

新年明けましておめでとうございます。只々月を跨ぐだけなのに、年が変わると世間は大騒動です。しかし、時が過ぎ行くのは早過ぎますね。兎に角、一週間が早過ぎる。当然一ヶ月が早く経ってしまう。人間が気付かないうちに地球の回転速度が変わって一日24時間が実は12時間ぐらいになっているのではと考えたくなる。全てが神の仕業で科学でも気付かないような変化が起こっているのではと疑いたくなる。2019 年の年末から始まった新型コロナ騒動が何もかもおかしくしてしまったのもその要因の一つなのかもしれない。新年早々、能登半島が震源地と思われる大きな地震が起こってしまった。5 Mほどの大きな津波が押し寄せてくるとの警報が出されている。被災地の方々には大変気の毒な災害であるが、元日からこの出来事では、今年も前途多難な一年になると覚悟したスタートである。今、このブログを書いている時点では詳細は不明なのでこれ以上のことは控えるとする。さて、今年はどんな年にしたいものかと考えてみるが、特に何も浮かばない。仕事柄、多くの患者さんの疾患が、上手くコントロールできるようにと努力しつつ祈るばかりである。高血圧、高脂血症、糖尿病など生活習慣や加齢によるこれらの疾患は比較的治療も容易であるが、治癒できるわけではない。如何に自己管理と薬を上手く調節しつつコントロールし、脳や心臓などの合併症を防ぐかである。自己管理だけに頼っても疾患のコントロールはできないし、薬だけに頼っても同じである。当院には他院に比べて多くの慢性心不全の患者さんがおられる。よく聞かれるが、『 心不全って、どんな病気ですか? 』と。心不全は病気(病名)ではありません。字の如く、心臓の状態が完全ではない状態を意味する用語である。要するに慢性心不全とは慢性的に心臓が悪い(正常ではない)というだけのことなのである。では、その心臓が悪い原因は? というところが病名になる。それが、心筋梗塞によるものであったり、弁膜症(僧帽弁や大動脈弁の逆流症、狭窄症など)や心筋症(拡張型心筋症や肥大型心筋症)であったりで、これらが原因で心臓が慢性的に悪くなっていく(慢性心不全)。この慢性心不全は、経年的に確実に悪化して行くのだが、先ほど記したように自己管理と薬の調節でできるだけ進行を遅らせようとするのが我々が行っている医療(治療)である。開業して 20 年以上経過するが、この間、凄く良い薬が次々と創り出され、新しい治療法が生まれてきている。20 年前の知識(医療)では疾患を持った患者さんに最良の治療を反映してあげることができない。我々も日々勉強である。診察中に多くの患者さんから『 先生、いつまでも元気で私たちを診察してくださいね!』なんて暖かい言葉を頂くが、自分の中では、年々きつくなってきた体力の限界か、知識の習得ができなくなる(勉強できなくなる)時が引退と思っている。80 歳、90 歳と高齢でありながら診療をされている大先輩の先生方には頭がさがるが、中には、十分かつ新鮮な知識を取り入れられず、首をかしげてしまうような処方もよく拝見する。責任重大な仕事だけに、患者さんとの信頼関係も重要である。今年も宜しくお願いします。


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