診察室でのひとり言

日常の診察室で遭遇する疑問、難問、奇問を思いつくままに書き記したひとり言

『 機能性ディスペプシア 』 と 『 頭位変換性めまい 』

2024年06月09日 | 医療、健康

毎年 4 5 月の木の芽時になると、多くの人が 体調不良を訴える。気温の寒暖差によるストレスにより自律神経の機能が乱れやすくなってしまう。『 胃がムカムカする 』 、 『 少し食べるだけでお腹が張る 』 、 『 吐き気が続く 』 、 『 胃がキリキリする 』 など、上腹部 (心窩部) の症状を訴える人が増える。私も、そのうちの一人である。症状の精査目的で胃カメラ (内視鏡) 検査を行うも、胃炎や潰瘍、さらには胃ガンなど (器質的異常) もなく、比較的綺麗な胃であるにも関わらず、症状は取れず長引く場合もある。これは胃の機能的な異常 (動きが悪い) によって、症状が引き起こされていると考えられ、『 機能性ディスペプシア 』 と呼ばれる。治療としては、胃酸を抑える薬、胃の動きを良くする薬などを服用するのであるが、良く反応する場合と殆ど反応しない場合がある。そのうち自然に治ることが一般的である。私の場合、先月、夜間睡眠中に突然吐き気を催し、トイレに起き上がったが、吐けない。気分の落ち着くのを待ったが、結局夜が明けてしまった。朝食も摂れず、水分のみ摂って出勤。体のだるさと吐き気は続きながらの診察スタート。この時は、流石に診察は困難かと悩みながら開始した。しゃべるのもきつかったが患者さんからは容赦はない(笑)。しかしながら、昼前にはかなり症状も改善し、午後の診察は普段通りできた。 また、先々週、覚醒時にベッドから起き上がろうとしたとたん、体が大きく揺れ目の前の景色がジェッ トコースターに乗っている時のように右から左から画面が歪んで飛び込んでくる。立ち上がることもできず、再び大の字をかいてベッドに倒れ込むも、症状は更に酷くなる。ベッド上に座り込むことで少し症状は軽くなり、5 分ほどして揺れは落ち着き、目の前の画面も落ち着いた。いわゆる頭位変換性めまい (BPPV) である。65 歳以上の女性に多く、診察の場で出会う患者さんは結構おられるので、この現象がすぐに理解できた。しかし、いざ実際に自分が経験するとこんなに酷いものかと驚いた。教科書通り、5 6 日で回復した。最初の 3 日間は、吐き気も伴ったため、朝食はできず紅茶のみで仕事に向かった。診察中も少し頭を左右に動かすと、突然ジェットコースターに乗っているような画面の揺れを感じる為、頭をできるだけ動かさないように注意しながら診察を続けたが、なかなか厳しい時間であった。6 月になり、気分不調を訴える患者さんも少し減ってきたようである。しかし、間もなく梅雨に入りじめじめした日が続き、梅雨が明けると恐ろしく暑い夏が待っている。調子よくなる季節なんてあるのだろうか?


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