「年度始め」の この時期に、思い出すことが一つある。
ときは、40年余り前の 昭和40年〝 春 〟のこと。
当時は、特派員が、社会人になる喜びと希望や、わずかばかりの不安が入り混じった、青春の半ばに居た頃 の事だ。(少なからず 晩生だった!かも?)
金沢市内での就職が決まり、会社説明会が開かれた。 同期入社は、男性3人と女性1人の 合わせて4人。 当時は、全員が 高卒採用だ。(小さな?会社は、業務拡張の時期だった。)
会社は、大型自動車の用品卸業で、タクシー業を姉妹会社に持つ所。 その日は、会社の説明を受けた後、両社の見学を済ませて、一行は金沢市の繁華街・片町へ向かった。 姉妹会社のタクシーに分乗して。
片町は、通学途中に通ったり、本屋さんへは たまに行ったが、田舎育ちの特派員には、馴染みの薄い街だった。
案内されたのは、あるレストラン。(「オリンピック」または「オリンピア」だったような?。 食堂しか知らない特派員は、生まれて初めてのレストランだ。)
会社の専務さんや営業課長さんとは、ある程度 打ち解けてきたとは言え、緊張が増してくる 食事会 だ。
テーブルに着くときは、イスの左側から…。 ナイフやフォークは 外側のものから使う。 肉用のナイフには、刃にギザギザが有る。 ナイフとフォークは お皿に乗せる形(ハの字か 右に揃える)で、食事中か済んだかを表わす。 スープを飲むときは、音を立てない…。etc ハウ・ツー本は 読んでいたものの、実地は初めて~っ!。
つまり、食事会は〝洋食のフルコース〟なのだ。
今では、笑い話にもならないが、当時は真剣そのものだった。
家では、スプーンやフォークは、カレーライスなどを食べるときに 使っていたが、ナイフは、果物の皮を剥くときの物しか知らない。 つまり、小型の皮取り包丁だ。
出てくる料理は美味しいのだが、特派員は、味わう ゆとりを 持ち合わせていなかったネ。
(フォークの背に、ライスを乗せて食べる ツワモノがいたナ。)
終戦の名残が、我が家の暮らし向きに 強く出ていた頃だから、全体に〝ギャップ〟が 大きかった。
これまでの人生では、〝フルコース〟なるものを食べる機会は、それなりに有ったが、生まれて始めての経験は、極めて「貴重」だった、のだ。