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あなたの「心」、ちゃんと感じますか?

"To Kill A Mockingbird"(1962)

2008-10-02 00:07:59 | Classic

 アラバマ物語

cast >> Gregory Peck, Mary Badham, Phillip Alford, John Megna, Brock Peters, Robert Duvall, Frank Overton, Rosemary Murphy, Paul Fix, Collin Wilcox, Alice Ghostley, William Windom ...
producer >> Alan J. Pakula
director
>>Robert Mulligan(129min)
music >> Elmer Bernstein
soundtrack >>


1930年代のアラバマ州を舞台に、人種差別と闘いながら “正義” を貫こうとする白人弁護士と、家族の絆を描く社会派ドラマ ーーー。ピューリッツァー賞を受賞したハーパー・リーの小説『ものまね鳥を殺すには』をホートン・フート( "Of Mice And Men" )が脚色。製作はアラン・J・パクラ( "The Pelican Brief" "All The President's Men" ← これらは監督作)、監督ロバート・マリガン( "The Stalking Moon(レッド・ムーン)" )が映画化。アカデミー賞3部門【主演男優賞(グレゴリー・ペック) / 脚色賞 / (白黒)美術監督・装置賞】受賞。

Mockingbird Trailer


不況の風吹く1932年、南部アラバマ州の小さな町に住む弁護士アティカス・フィンチ(G・ペック  "Roman Holiday" "The Guns Of Navarone" "The Omen" )は、妻を亡くし、幼い息子ジェム(フィリップ・アルフォード)と娘スカウト(メアリー・バダム ← ジョン・バダム監督 "Saturday Night Fever" の妹)と暮らしていた。そんなある日、暴行事件で訴えられた黒人青年トム・ロビンソン(ブロック・ピーターズ  "Porgy And Bess" "ROOTS: The Next Generations" )の弁護を担当することになり、人種差別と偏見に立ち向かいながら、彼の “無実” を晴らそうと奔走。しかし、偏見根強い町の人々は、黒人側についたフィンチや子供たちに冷たく当たる・・・・・。

印象深い法廷シーンはもちろんのこと、本作の秀逸な点は、子供の “無垢な目” を通して「父親の苦悩」や「町の人々の横暴」を実に客観的に描いている点 ーーー。残酷で理不尽な現実を目の当たりにしながらも、子供たちは父の姿を見つめながら “尊敬の念” を抱き “正義の尊さ” を学んでいく。黒人弁護のストーリーと平行して、子供たちと近所に住む精神異常者ブー(ロバート・デュバル ← 本作で映画デビュー  filmography )との関わりも描かれており、この関係が物語を巧く終息させ、原題の "mockingbird(「マネシツグミ」という口まねをする鳥)" にもつながります。古き良き「父親像」や「躾(しつけ)」や「近所付き合い(=社会との関わり)」など、改めて学ぶべき点が多い作品です。

>>  AFI'S 100 YEARS 100 CHEERS(2006)- filmography
>>  AFI'S The Greatest Movies 100(2007) - filmography

 

Comments (2)
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"EAST OF EDEN"(1954)

2008-09-01 02:28:06 | Classic

 エデンの東

cast >> James Dean, Julie Harris, Raymond Massey, Richard Davalos, Jo Van Fleet, Lois Smith, Albert Dekker, Burl Ives ...
producer / director >>Elia Kazan(118min)
music >> Leonard Rosenman


原作は、旧約聖書にあるアダムの息子『カインとアベル』を下敷きにしたジョン・スタインベックの長篇小説『エデンの東』。南北戦争から第一次大戦に至るまでの三代にわたる長大な物語の、終わりの1/3ほどにしぼって、名匠エリア・カザン( "On The Waterfront" "A Streetcar Named Desire" )が見事に表現した人間ドラマの傑作 ーーー。
3年連続で映画音楽のヒット・チャートのトップを飾ったレナード・ローゼンマンのテーマ・ソングも忘れられない名曲。
愛車のポルシェ・スパイダーで事故死、"24歳" という若さでこの世を去り "死後" に日本公開(1955.10.14)された、ジェームス・ディーン( filmography  1931.2.8 ~ 1955.9.30)の初主演作。

East Of Eden Trailer (HD)


1917年、カリフォルニア州の小都市サリナス。大農場を経営するアダム・トラスク(レイモンド・マッセイ  "Mackenne's Gold" )には双子の息子がいる。兄のアーロン(リチャード・ダヴァロス)は真面目な青年で、アブラ(ジュリー・ハリス  "The Moving Target(動く標的)" )という恋人がいる。一方、弟のキャル(J・ディーン  "Rebel Without A Cause" "GIANT" )は一家の “問題児”。父が兄だけを可愛がり、自分に冷たくあたるのは「出生」に秘密があると考えていた。母親は死んだと聞かされていたが、キャルはサリナスから程近いモントレー郊外で酒場を経営しているケート(ジョー・ヴァン・フリート ← 本作でアカデミー賞【助演女優賞】受賞  "Gunfight At The O.K. Corral" )という女性が自分の母親にちがいないと思っていた。そして、水商売の “ふしだら” な母の血を受け継いだせいで自分は悪い人間で、父にも愛されないのだと信じ込んでいた。それでもキャルは、何とかして父の “愛” を手に入れようと、必死にもがくのだが・・・・・。

ケートの店で働くアンをロイス・スミス( "Midnight Run" "Minority Report" )、ウィル・ハミルトンをアルバート・デッカー( "Suddenly, Last Summer" "The Wild Bunch" )、サム保安官をバール・アイヴス( "Cat On A Hot Tin Roof" "The Big Country" )らが演じている。

East of Eden - Theme Music


J・V・フリートの凄みのある名演に、J・ハリスの母性を感じさせる演技も秀逸ながら、なんといっても圧倒的なのは主人公と等身大の “ジミー”・ディーン ーーー。感動的な結末と、そこに流れるテーマ曲がいつまでも記憶に残る “古き良き” 名作。「父子」や「家族」の仲がうまくいかずに悩んでいる方にとっては、互いの気持ちを知る “きっかけ” が見つかるかもしれない作品です。

 

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"Les Aventuriers"(1967)

2008-08-28 00:36:18 | Classic
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cast >> Alain Delon, Lino Ventura, Joanna Shimkus, Serge Reggiani,  ...
writer >> Jose Giovanni, Robert Enrico
director >>Robert Enrico(113min)《フランス作品》
music>> Francois de Roubaix
soundtrack>>


2人の男と1人の女の “愛” と “友情” を描いたロマン溢れる冒険譚 ーーー。ジョゼ・ジョヴァンニの原作『生き残った者の掟』を、音楽フランソワ・ド・ルーベ( "Le Samourai" "OH!" "Le Vieux Fusil(追想)" )× 監督ロベール・アンリコ( "OH!" "Le Vieux Fusil" )が映画化した秀作。


マヌー(アラン・ドロン  "Plein Soleil" "Le Samourai" "La Melodie En Sous-Sol" )とローランド(リノ・ヴァンチュラ ← 渋い!  "Ne Nous Fachons Pas(女王陛下のダイナマイト)" "Les Amants De Montparnasse" )は、年齢も性格も全く違っているものの、実の兄弟のように仲が良かった。マヌーはパリにある飛行機クラブの腕のいいインストラクターで、ハンサムでスマートな外見に似合わず、驚くほどの「命知らず」。ローランドはパリ郊外の廃車置き場の中にある仕事場に住み、画期的なカー・エンジンの開発に専念していた。ある日マヌーは、ある映画プロデューサーが撮影のため、凱旋門を飛行機でくぐり抜けた者に「2,500万フラン」の賞金を出すという話を耳にする。しかし当日、思わぬ事件が勃発。飛行はとり止めとなり、その上この事件のせいで、彼は飛行士のライセンスを剥奪されてしまう。失業したマヌーはローランドの仕事場へ移ったが、仕事は思うように捗らなかった。そんなある日、マヌーは飛行機クラブの生徒から、アフリカのコンゴ沖の海底に “莫大な財産” が眠っているというデカい儲け話を聞き、調査に乗り出す。こうしてマヌーとローランドは、以前ローランドの仕事場で彫刻を制作していたレティシア(ジョアンナ・シムカス ← シドニー・ポワチエの妻  "The Lost Man(失われた男)" ← ポワチエと共演  "OH!" )と3人で “宝探し” に出かけるのだが・・・・・。

ーーー ということで普通に考えると、海底に眠る財宝を見つけた時点で “めでたしめでたし” で "La Fin"  ですが(笑)、本作では物語のちょうど「半分」くらい。ここからの展開が予想外に続きます。原作は読んでいませんが、タイトルとしては『冒険者たち』より『生き残った者の掟』の方が断然 “しっくり” きます。

ローランドは最期に “やさしい嘘” をつこうとしますが、それも叶わず、彼らの “夢” は残酷に幕を下ろします。でもそのひと言で、彼ら3人が互いに “心の内” を知っていたことが伝わります。そして、美しい海に囲まれた「軍艦島」(← 行ってみたい!)だけがそこにとり残されます・・・・・。

 

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"SAYONARA"(1957)

2008-07-24 00:04:45 | Classic

 サヨナラ

cast >> Marlon Brando,  Red Buttons, Miyoshi Umeki, Miko Taka, Ricardo Montalban, Martha Scott, James Garner ...
director >>Joshua Logan(147min)


朝鮮戦争後、休養を兼ねて日本での内地勤務に就いた米空軍パイロットと歌劇団の大女優との、文化の壁を越えたラブ・ストーリー。監督はジョシュア・ローガン( "PICNIC" "South Pacific" )。1957年度アカデミー賞4部門【助演男優賞(レッド・バトンズ)・助演女優賞(梅木ミヨシ)・美術監督 / 装置賞・録音賞)】受賞。この時代に日本を描いた作品としてはかなり “良心的” で、『さよなら』という言葉を有名にした一本。


朝鮮戦争の撃墜王、パイロットのロイド・グルーバー少佐(マーロン・ブランド  filmography )は、神戸に転属となり来日。かつて彼の優秀な部下だったケリー中尉(レッド・バトンズ  "The Poseidon Adventure" )が日本人女性カツミ(梅木ミヨシ ← 北海道小樽市出身。オスカー受賞は日本人初の快挙となった)と結婚しようとするのを諫めるが、彼らが真剣なのを知り、結婚の立会人を引き受ける。ロイドには神戸在住の将軍の娘であるアイリーンという婚約者がいたが、自身も大将の息子であるロイドにとっては半ば成り行きで、本物の恋ではなかった。着任早々顔を合わせた海兵隊大尉のベイリー大尉(ジェームズ・ガーナー  filmography )もマツバヤシ歌劇団員フミコとの交際を陰口されていた。そんな中、ロイドは次第に歌劇団の花形女優であるハナオギ(高  美以子  "SHOGUN" )と恋に落ち、交際を始めるが、戦後の日本では "反米感情" が根強く、アメリカ人と日本人との交際は許されない状況だった・・・・・。

日米の架け橋的存在として登場するのは、歌舞伎役者のナカムラを演じたリカルド・モンタルバン( "Star TrekⅡ: The Wrath Of Khan" )。歌舞伎・宝塚を模した歌劇団・繊細な動きの人形劇・華やかな和服・日本庭園・日本家屋・美しい仕草・作法・奥ゆかしい日本女性像 ーーー。アメリカ側から描いた日本ですから多少の “?” はあるものの、本当に良心的だし、逆にこちらが教えられるような場面もあります。初めて本作を観たとき何よりも驚いたのは、 M・ブランドが “普通の” 恋するアメリカ男を演じていること(!)。当時33歳のブランドの、他ではあまり印象にない爽やかな笑顔が観られます。そして予想外に和服や浴衣が似合います(笑)。「梅木ミヨシ」でクレジットされていますが「ナンシー梅木」の方がピンとくるかもしれませんね。

『とおりゃんせ』や『さくら』を唄いながら歌劇団の女性たちが “橋” を渡るシーンがあるんですが、思わず口ずさんでしまいます。やはり日本人ですね。ただ丁寧に描きすぎたせいか(?)二度目以降はちょっと長く感じます。

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"ORFEU NEGRO"(1959)

2008-03-26 00:17:17 | Classic

 黒いオルフェ《ポルトガル語版》

cast >>  Breno Mello, Marpessa Dawn, Lourdes De Oliveira, Lea Garcia ...
writer / director >>Marcel Camus《フランス = ブラジル作品》
music >> Antonio Carlos Jobim, Luis Bonf
soundtrack >>


オープニング ーーー サンバのリズムを遠くに、ギターの調べに乗せて流れる美しく忘れられないメロディーの "Felicidade(悲しみよ さようなら)" は、アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲。

        “悲しみは果てしなく しあわせは はかない
       朝つゆの玉のように しあわせは 陽と共に生まれ
       静かに輝き 果ては揺れて 恋の涙のように落ちる
       貧しい者の酔うしあわせは カーニヴァルがもってくる
       貧しい者は ひまなく働く つかの間の いきぬきに
       夢の彼方に描くのは 誇らしい王子のすがた
       小さな喜びに 心は満ちる
       悲しみは果てしなく しあわせは はかない
       しあわせは一枚の羽根 風のように飛ぶよ 飛ぶ
       ゆるやかに揺れうごき そよかぜに落ちて行く
       悲しみは果てしなく”

ギリシャ神話のオルフェウス伝説を基にしたブラジル詩人ヴィニシウス・デ・モライスの戯曲を、マルセル・カミュ監督が自ら脚色。舞台をリオ・デ・ジャネイロに移し、オール黒人キャストで現代に甦らせた傑作。【'59 カンヌ国際映画祭グランプリ】【'59 アカデミー賞外国語映画賞】【'60 ゴールデン・グローブ賞外国語映画賞】受賞作品。
リオの名物、年に一度のカーニヴァル ーーー 強烈なサンバのリズム・鮮烈な色彩・夜を徹して踊り狂う情熱・南米の異国情緒・西欧的な都会文明と野性的な自然との対比・・・そして世界的な “ボサノヴァ” ブームの口火を切った美しい音楽。

"Black Orpheus" Trailer
(※この予告編ではラストに "Felicidade" が流れます)


リオのカーニヴァルの前日、従姉を訪ねて田舎から出て来た娘ユリディス(マルベッサ・ドーン)は、ギターと踊りが上手い市電の運転手オルフェ(ブレノ・メロ)と知り合い、カーニヴァルを通じて深く愛し合うようになる。しかし、その夜「死」の仮面の男に追われたユリディスは・・・・・。

オルフェ役のブレノ・メロはリオのサッカー・チームのメンバーで、 演技経験はなく、オーディションで監督によって見出された。フィリピン人の父とアメリカ人の母を持つユリディス役のマルベッサ・ドーンは、女優を志しパリで勉強しており、ブレノ・メロ同様オーディションで抜擢された。「死」の仮面をつけた謎のストーカーを演じたアデマール・ダ・シルヴァは、ブラジルが世界に誇る三段跳びの名選手。オルフェを慕い、貧しいけれど、純粋で素朴な少年たちの姿も忘れられない。

 
これも美しい、ルイス・ボンファの曲 "Manha de Carnaval「オルフェの唄(謝肉祭の朝)」" 。

Black Orpheus
エンディングで、子供たちが朝日に向かって唄う "Samba de Orfeu(オルフェのサンバ)" もボンファの曲。


サントラは永遠のベストセラーとなっており、本作を観る度に一日中 "Felicidade" のメロディーが頭から離れず、ハミングしてしまいます(笑)。「悲劇」ではありますが、このエンディングを観ると「救われ」ます。おしゃまな女の子も少年たちも、すでに “立派な” ブラジル人。
何度観ても、とても私が生まれる以前の作品とは思えません・・・!(驚)
あ、日本語字幕がありますから、ぜひともフランス語版ではなく《ポルトガル語版》で観てくださいね。

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