6日の『O Estado de S.Paulo』がソニーのCクラス向けの取組を紹介している。Cクラスというのは世帯収入が2180レアルから5450レアルの間にある層で、ブラジル全体の41%を占め、現在の消費ブームを牽引している。
記事によるとソニーは4社の調査会社を使って、Cクラスの行動様式を調べ、駐在員も含めて家庭訪問を繰り返して理解に努めているという。そうした活動の中で得られたこととして以下のような例が紹介されている。
Cクラスは一生懸命働いているので旅行に出かける機会も少なく、家でシュラスコパーティーを楽しむことが多いので、そのときに使うのにいいように、通常の三倍のキャパの大音量のコンポシステム「Shake」を投入した。このカテゴリーで3倍の売上を達成することが目的とのこと。
しかし、この観察と戦略は、何かこじつけのような説明で、記者が勘違いして書いているような気もしないではない。航空会社はバス利用者を取り込もうとして、さかんにキャンペーンを行ったり、バスターミナルなどの交通の要所に販売店を設置したりして努力している。クルーザーのターゲットもCクラスだ。まぁShakeが発売されたのは3週間前なので、まだ結果はでていない。先行きを見守りたい。
もう一つ理由がはっきりせずに述べられているのは、Cクラスはデジカメのズームその他の機能はあまり考慮されず、皆んなを写し込めるパノラマ機能が重視されるとして、799レアルでパノラマレンズ付きのモデルを投入したということ。へー、そうなの? という印象。実感はあまりない。
でも記事で確かにいえると思ったのは「Cクラスは将来のBクラスだ」というマーケティングマネージャーのコメント。消費の階段をのぼっていく過程において、ブランドへの親近感を得ておけば、所得の増大に伴い、ソニーの強い高級品も買ってもらえる。新興国での究極の顧客の囲い込み戦略だ。