ブラジルとブラジルのマーケティングあれこれ

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航空会社のCDクラスへのアプローチ

2010-08-05 07:19:41 | マーケティング
国内最大手のTAM航空がCasas Bahiaでチケットの販売をすると発表した。Casas Bahiaというのはブラジル最大の家電、家具販売グループで、月賦販売を武器に低所得者層を取り込んでいる。これにポンデアスーカグループが目をつけて、買収交渉はほぼ決まっている。両社ともCasas Bahiaに歩み寄る理由は、成長するCクラス顧客への接近である。

航空会社はこれまでバスで旅行していた層をターゲットに盛んにマーケティングをしていて、TAMの競合のGOLも低所得者層の集まる繁華街に店を開いたりしている。両社のアクションに共通する特徴は、ネット販売ではなく対面販売の機会を増やそうとしていることにあると思う。Cクラスでも下のほうのインターネット使用はまだ低く、出店による対面販売の方が有効だろう。

記事(Folha de S. Paulo 2010. 08. 04)によるとブラジルの飛行機の利用者の70%がビジネス客で、30%がレジャーその他個人の利用となっているという。航空会社は将来これが同じ割合になる傾向を予測しており、そのためにこれまで一度も飛行機に乗ったことのないグループに向けてアクションを行っている。

ブラジルらしい特徴として、CあるいはDクラスの人たちは、ノルデステ(東北ブラジル)出身が多いということがある。広大なブラジル、例えばノルデステの中心都市の一つのレシーフェなどにバスで行こうとしたら、40時間以上は確実にかかる。バスに独占されていたこの里帰り需要は、これまで手をつけられていなかった大きなマーケットだ。

感覚的にいえばこの里帰り需要、もう大きな部分がバスから飛行機に置き換わっているように思われる。バス賃と航空券の値段の差がほとんどなくなってきているのである。バスの場合は2泊3日になるので食事代も馬鹿にならない。

ブラジルの国内便の料金体系は安い席から埋めていき、搭乗日近くになると極端に高くなるセーフ何とかという仕組みになっている。だからビジネスではなくあらかじめ予定した旅行なら早めに予約すると驚くほど安く買える。サンパウロ、リオデジャネイロが5000円ぐらいのときもある(シャトル便の飛び乗りなんかすると2万円近くなったりする)。これだから新幹線も収益が心配される。

巨大な胃袋「Dクラス」


革命なき階級変動

後進性と先進性の同居


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