伊藤仁斎は京都の人で、生まれて初めて海を見たのが64歳の時で
あったというその海は摂津大阪の風景を前にして詠んだ歌がある。
ながらへば なにはの浦の春もみつ
おもへば人は 命なりけり
息災で生きてきたお陰で浪速の海も見ることができた・・と、
昔の人は行動半径が狭かった、だからこそ一つの風景に
感銘も深かったのだと思い直す。日本の各地の魅力ある景観地
300ヶ所には伝統の名所旧跡のほか旭山動物円(北海道)
新宿ゴ-ルデン街(東京)だんじり祭り(岸和田)など多彩な
風景が含まれている。数えてみると訪ねたことのある土地は
2割にも満たない交通の便がいい時代に仁斎先生の行動半径を
とやかく言えた数字ではないが、のちのち感銘を受ける風景を
貯金してあると思えばいまだ知らない景観を眺めるのも愉しい。
「命なりけり」と、いつかつぶやいてみたい・・・
ささゆり・・・・