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武田尚子『チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石』 ←アマゾンへリンク
中公新書には『○○の世界史』というタイトルの本がいくつも出ていて、○○に、トウガラシ、トラクター が入る本はたいそう興味深く読んだ。もちろん著者はみな違う方でカラーも違う。中公新書以外でも 岩波ジュニア新書の『砂糖の世界史』、岩波新書の『ジャガイモのきた道―文明・飢饉・戦争』も面白かった。
特定の人物に注目するのではなく「もの」を切り口に世界史を見るタイプの方がわたしの頭にはすんなり入ってくるようだ。
人々が惹かれ強く欲しいと願うものの存在は社会を動かし国や海をまたいでゆく。ヨーロッパにおいて もてはやされた茶、コーヒー、ココア、そして砂糖は自国で生産できず、酷い搾取によってもたらされた。人間の欲望って怖いって思う。
さてこの本のついて。ジャガイモやトウガラシは農産物だけれどもチョコレートは加工品なんである。ジャガイモやトウガラシの本とはずいぶん内容が異なっていた。
より美味しく飲みやすく/食べやすくするためにカカオ豆を挽いてカカオマスにしアルカリ処理したりココアバターを分離したりする技術の進歩がある一方、より多くの人たちに届くよう交通網や宣伝方法の発展もあった。工場の規模が大きくなるにつれてそこで働く人たちも増え、働き方や管理方法も模索されていった。
イギリスのチョコレート工場での労働に対する考え方にクエーカー教が深く関わっていたのが特徴で、人間としての成長や自主性を重んじる精神があった。労働者をいかに効率よく安く働かせるかといういわばアメリカのフォード社のような方法ではなく、むしろ労働者の意思を反映させることで働く意欲を高めるようとする。これは意義のあることだと思った。
ちなみに1899年にヨークの貧困状況を克明に調査したのはロウントリー社(キットカットのオリジナルメーカー)創業者の息子ベンジャミン・シーボーム・ロウントリーである。
第2次世界大戦期にチョコレートがどうなったのか の記述も面白かった。
(ネタバレ嫌い)といっているわりにけっこう説明してしまったが、もちろん他の興味深いエピソードも色々載っている。オススメです。
近代化がチョコレートという切り口から見えてくるとは思ってもいなかった。読んでいると、とにかくココアが飲みたくなり、チョコレート、特にキットカットが食べたくなった。
ココアバター配合のハンドクリーム。100均で購入。
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昨今はシアバター配合のハンドクリームが人気だが、末端のよく冷えるわたしには狭い温度幅で急激に融解するココアバター配合がよく馴染む気がする。
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