教育基本法改正案(政府案)に比べて、現行の教育基本法はずいぶんと条文の数が少ないです。
なぜかというと、現行法は
「そもそも教育は法律で指揮するものではない。法律は必要最小限にとどめよう」
というポリシーがあるからです。
これは、田中耕太郎と当時の文部省スタッフの方針です。
いっぽう政府改正案と、それにお付き合いした民主党案は、
「みなさん、こんな教育だったらいいと思うでしょ」
と、なんでもかんでも書いたとしか思えません。政治家の選挙公約によく似ています。悪く言えば、床屋談義をそのまま法律にしている。
改正案は夢を振りまいています。
では、政府改正案が保護者にも生徒にも教員にも大学にも私学にも、どんな権利や予算措置を保障したのかというと、なんにも。
条文の多くが
「国及び地方公共団体は、‥‥‥‥振興に努めなければならない」
というように、「~する」「~せねばならない」とはっきり書くのを避けるんです。つまり、権利や予算を請求されても、都合が悪ければいくらでも逃げをうてる。
あるいは、「あとで下位法を作ります」と言うのでしょう。
しかし、現実が見えた本気の教育改革だったら、下位法を先に作るものです。
(転載歓迎 古山明男)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます