日時:2015年2月6日(金)~7日(土)
参加者:72期生(19人)、73期生(19人)
記載者:月島テクノメンテサービス㈱ 長谷川 雄一
【1日目:長岡へ移動、懇親会】
2月6日(金)東京発18:12 MAXとき341号に東京駅より乗車し、19:52長岡駅に到着。「ホテル法華クラブ新潟・長岡」チェックイン後に、参加者全員で「たこの壺」にて日頃は食べられない海鮮類に舌鼓を打ち、日本酒飲み放題コースを利用した利き酒大会。解散後には、明日に影響が出ない程度に同期生と長岡の夜を散歩しました。

【2日目:東京電力株式会社 柏崎刈羽発電所見学】
2月7日(土)朝8:45ホテルロビーに集合。天候に恵まれ高速ではなく下道で柏崎刈羽発電所へ。市内に積雪などは見られませんでしたが、山中では側道等に積雪跡があり、日頃あまり見ていない雪景色を満喫。1時間ほどで今回研修の目的である、柏崎刈羽発電所に到着しました。
まずサービスホールにて、副所長の林様より概要説明がありました。
<歴史>
元は油田地帯であり、国の原油産出量の半分の採取量があり、石油を中心としたエネルギー産業が盛んだったという事です。1973年に閉山、オイルショックによる石油産業の衰退に伴い、柏崎市・刈羽村議会誘致決議にて柏崎原発が始まりました。
<敷地概要>
発電所には沸騰水型原子炉が7基設置されておりますが、その他設備も含めると敷地総面積は約420m2(柏崎市:約310万m2、刈羽村:約110万m2)であり、これは東京ディズニーランドと東京ディズニーシを足した面積の4倍ほどの敷地となります。
<原発構内の人員>
約5500人(東京電力1125名、協力企業4371名)が構内で働いており、そのうちの62%が柏崎・刈羽の方が占めています。現在、全号機が休炉しているのにも関わらず人が多く常駐している理由として、燃料棒の制御や放射線を押さえ込むために24Hr体制で対応しています。
<原子力発電所の安全3大要素>
制御棒を入れて原子炉を「止める」、核分裂反応にて温度上昇していく燃料棒を「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」ことが重要です。福島第一原子力発電所は地震による津波の影響より、この安全要素を確保出来なかったことが、不幸な事態に至ったとのことです。
<安全の取り組みについて>
国交省発表における津波想定がTP6.6mですが、東日本大震災の経験を踏まえ、津波想定を海抜15mと想定し様々な取り組みを行っております。防潮堤・防潮板・水密扉の設置、浸水対策、フィルタベント設備の設置、津波による電源喪失でも安全を確保するため、場内には20000m3の貯水池、配水車、電源車、ガスタービン発電車など、緊急の場合でも初動対応(2日間は耐えられるとのこと)できるような準備がされています。また、月1~2回半日かけて行う緊急時対応訓練の際、外部の専門家や自治体、同業者の方々を招いて対応について討論・見直しを適宜行うなど、緊急時に対する準備や手順のスキルを常に高めています。
概要説明が終わったあと、4班に分かれて施設見学をさせて頂きました。
<管理区内見学>
入構については社員であっても厳重であり、許可書が必要なゲートや薬物検査など凄まじいほどのセキュリティー体制でした。また各個人に専用の靴下や手袋だけでなく線量計も身につけるため、入構する前から緊張が止まりませんでした。見学ルートとしては、燃料プール→給水ポンプ室→原子炉格納容器内→水圧制御室→蒸気タービンと見学させて頂きました。
・燃料プール
使用済み核燃料棒の貯蔵プールであり、作業は全てこのプール内で行われています。覗き込むと核燃料棒が見えドキドキしました。また、水素が原子炉建屋内に漏れた場合、水素爆発を防ぐために「水素処理設備」が設置されています。
・給水ポンプ室
送電が停止しても原子炉にて蒸発した蒸気を利用して羽根車を回し、冷却水を循環させるポンプが設置されていました。
・原子炉格納容器内
分厚いコンクリートで囲われた中に原子炉圧力容器があり、それを取り囲むようにメイン蒸気配管や空気作動弁などが取り付けられていました。
・水圧制御室
制御棒を駆動させるシリンダーが多数配置されておりました。蓄圧槽に充填された窒素を使用し充填水を制御棒駆動ピストンに与え制御棒を原子炉内に挿入する構造です。
・蒸気タービン
高圧タービン、低圧タービンとあり長さが数十メートルはあるかというサイズにとても驚きました。
<施設内見学>
専用バス車内より、5~7号機側防潮堤→展望台→貯水地→避雷鉄塔→免震重要棟→1~4号防潮堤と見学しました。
・防潮堤
敷地高さがそれぞれ異なるため、1~4号側(TP5m)は鉄筋コンクリート構造
5~7号側(TP12m)は構造セメント改良土の盛土構造になっております。
・貯水地
海抜45mに作られた池で、約20000m3貯水されております。
・免震重要等
基礎部には防振パットが敷き詰められており、事務所本館との渡り廊下にて、ジャバラにて縁切りされています。
【見学を終えて感じたこと】
東日本大震災を機に原子力発電所を身近に感じる機会が多くなった中で、今回の見学は非常に勉強になりました。テレビの中でしか見たことが無かった設備のため、福島第一で発生したような危険事項ばかりが心の中を占めていましたが、設備設計において安全対策を何重にも構えているだけでなく、多様な事象を想定しての施設配置や緊急時対応訓練などハード面、ソフト面で配慮していることを知れたことで原子力発電所の見方が少し変わりました。何事も絶対安全ということは言えないため、再稼働に向けての弊害が多々あると思いますが、燃料資源を持たない日本が今の生活水準を保っていくのであれば、原子力発電所もやはり必要な設備になってくるのでは!?と感じることが出来ました。
最後になりますが業務多忙の中、貴重な機会を作っていただいた東京電力株式会社の発電所の皆さま、同行いただいた吉田、山内両先輩、佐竹代表理事、阿部事務局長に厚く御礼申し上げます。
参加者:72期生(19人)、73期生(19人)
記載者:月島テクノメンテサービス㈱ 長谷川 雄一
【1日目:長岡へ移動、懇親会】
2月6日(金)東京発18:12 MAXとき341号に東京駅より乗車し、19:52長岡駅に到着。「ホテル法華クラブ新潟・長岡」チェックイン後に、参加者全員で「たこの壺」にて日頃は食べられない海鮮類に舌鼓を打ち、日本酒飲み放題コースを利用した利き酒大会。解散後には、明日に影響が出ない程度に同期生と長岡の夜を散歩しました。

【2日目:東京電力株式会社 柏崎刈羽発電所見学】
2月7日(土)朝8:45ホテルロビーに集合。天候に恵まれ高速ではなく下道で柏崎刈羽発電所へ。市内に積雪などは見られませんでしたが、山中では側道等に積雪跡があり、日頃あまり見ていない雪景色を満喫。1時間ほどで今回研修の目的である、柏崎刈羽発電所に到着しました。
まずサービスホールにて、副所長の林様より概要説明がありました。
<歴史>
元は油田地帯であり、国の原油産出量の半分の採取量があり、石油を中心としたエネルギー産業が盛んだったという事です。1973年に閉山、オイルショックによる石油産業の衰退に伴い、柏崎市・刈羽村議会誘致決議にて柏崎原発が始まりました。
<敷地概要>
発電所には沸騰水型原子炉が7基設置されておりますが、その他設備も含めると敷地総面積は約420m2(柏崎市:約310万m2、刈羽村:約110万m2)であり、これは東京ディズニーランドと東京ディズニーシを足した面積の4倍ほどの敷地となります。
<原発構内の人員>
約5500人(東京電力1125名、協力企業4371名)が構内で働いており、そのうちの62%が柏崎・刈羽の方が占めています。現在、全号機が休炉しているのにも関わらず人が多く常駐している理由として、燃料棒の制御や放射線を押さえ込むために24Hr体制で対応しています。
<原子力発電所の安全3大要素>
制御棒を入れて原子炉を「止める」、核分裂反応にて温度上昇していく燃料棒を「冷やす」、放射性物質を「閉じ込める」ことが重要です。福島第一原子力発電所は地震による津波の影響より、この安全要素を確保出来なかったことが、不幸な事態に至ったとのことです。
<安全の取り組みについて>
国交省発表における津波想定がTP6.6mですが、東日本大震災の経験を踏まえ、津波想定を海抜15mと想定し様々な取り組みを行っております。防潮堤・防潮板・水密扉の設置、浸水対策、フィルタベント設備の設置、津波による電源喪失でも安全を確保するため、場内には20000m3の貯水池、配水車、電源車、ガスタービン発電車など、緊急の場合でも初動対応(2日間は耐えられるとのこと)できるような準備がされています。また、月1~2回半日かけて行う緊急時対応訓練の際、外部の専門家や自治体、同業者の方々を招いて対応について討論・見直しを適宜行うなど、緊急時に対する準備や手順のスキルを常に高めています。
概要説明が終わったあと、4班に分かれて施設見学をさせて頂きました。
<管理区内見学>
入構については社員であっても厳重であり、許可書が必要なゲートや薬物検査など凄まじいほどのセキュリティー体制でした。また各個人に専用の靴下や手袋だけでなく線量計も身につけるため、入構する前から緊張が止まりませんでした。見学ルートとしては、燃料プール→給水ポンプ室→原子炉格納容器内→水圧制御室→蒸気タービンと見学させて頂きました。
・燃料プール
使用済み核燃料棒の貯蔵プールであり、作業は全てこのプール内で行われています。覗き込むと核燃料棒が見えドキドキしました。また、水素が原子炉建屋内に漏れた場合、水素爆発を防ぐために「水素処理設備」が設置されています。
・給水ポンプ室
送電が停止しても原子炉にて蒸発した蒸気を利用して羽根車を回し、冷却水を循環させるポンプが設置されていました。
・原子炉格納容器内
分厚いコンクリートで囲われた中に原子炉圧力容器があり、それを取り囲むようにメイン蒸気配管や空気作動弁などが取り付けられていました。
・水圧制御室
制御棒を駆動させるシリンダーが多数配置されておりました。蓄圧槽に充填された窒素を使用し充填水を制御棒駆動ピストンに与え制御棒を原子炉内に挿入する構造です。
・蒸気タービン
高圧タービン、低圧タービンとあり長さが数十メートルはあるかというサイズにとても驚きました。
<施設内見学>
専用バス車内より、5~7号機側防潮堤→展望台→貯水地→避雷鉄塔→免震重要棟→1~4号防潮堤と見学しました。
・防潮堤
敷地高さがそれぞれ異なるため、1~4号側(TP5m)は鉄筋コンクリート構造
5~7号側(TP12m)は構造セメント改良土の盛土構造になっております。
・貯水地
海抜45mに作られた池で、約20000m3貯水されております。
・免震重要等
基礎部には防振パットが敷き詰められており、事務所本館との渡り廊下にて、ジャバラにて縁切りされています。
【見学を終えて感じたこと】
東日本大震災を機に原子力発電所を身近に感じる機会が多くなった中で、今回の見学は非常に勉強になりました。テレビの中でしか見たことが無かった設備のため、福島第一で発生したような危険事項ばかりが心の中を占めていましたが、設備設計において安全対策を何重にも構えているだけでなく、多様な事象を想定しての施設配置や緊急時対応訓練などハード面、ソフト面で配慮していることを知れたことで原子力発電所の見方が少し変わりました。何事も絶対安全ということは言えないため、再稼働に向けての弊害が多々あると思いますが、燃料資源を持たない日本が今の生活水準を保っていくのであれば、原子力発電所もやはり必要な設備になってくるのでは!?と感じることが出来ました。
最後になりますが業務多忙の中、貴重な機会を作っていただいた東京電力株式会社の発電所の皆さま、同行いただいた吉田、山内両先輩、佐竹代表理事、阿部事務局長に厚く御礼申し上げます。