相場での成功を願うなら、絶対条件として「市場原理主義者」になることがまず挙げられる。つまり、あらゆる情報や意見を市場自身のシグナルと照らし合わせ、市場が示す方向に沿って行動する勇気を持つことである。時には原理主義者並みの愚直さが要求されるので、この言い方は大袈裟ではなかろう。
これ故、金融相場ほど初心者に深い困惑や挫折感を味わせる領域はないだろう。一生懸命、勉強のつもりで通勤電車で日経新聞を読み、寝る時間を削ってウェブの情報を収集し、休日を犠牲にしてセミナーなどに参加しても、正しい判断が出来るとは限らない。寧ろ逆の結果になりやすい。米国の金融危機がさらに悪化したから(実際もそうだった)、ドル売りしかできなくなる「円高原理主義者」(皮肉にも、その大半が昨年では円安原理主義者だった)が少なくともドル/円の上昇でまた手痛い損失を蒙った。
仮に全く新聞を読まず、テレビもネット情報を見ず、セミナーの講師らの話を聞かずにして、(もちろんテレビはお笑い番組だけにする)もっぱら相場の動きのみをフォローするなら、4月以来のドル/円買いには躊躇しなかったかもしれない。
また、「市場原理主義者」であれば、(いくら地位の高い方でも)他人の意見を安易に鵜呑みせず、少々の常識で正しい判断をできるだろう。「ミスター円」さんの予測も記憶に新しいが、今更「米国の状況が悪いから、ドル頭重い」といった論調を繰り返す評論家も実にかわいい。少々の常識があれば、当然疑問が湧いてくる。即ち、誰でも知っている事実だが、なぜドルが下落ではなく、逆に108円台に上昇したかと。因みに、我田引水的「邪論」を除き、ファンダメンタルズでこの値動きを解釈できた方はいなかった。
最近、面白い文書を読んだ。そのレポートによると、最近原油の急落がカナダドルを大した押し下げていなかったので、カナダ経済とカナダドルの強みの表れと捉え、カナダドルはこれから米ドルに対して上昇すると予測している。具体的には、仏CALYON銀行のDaragh Maher氏、UBS銀行首席通貨アナリストのMansoor Mohi-uddin氏及びカナダRBC RoyalBankのSue Trinh氏らはこのような論調を展開し、UBS銀行は一か月以内カナダドルが0.9700まで上昇すると予測した。
「市場原理主義者」はこの予測に首を傾げるだろう。上のチャート(ドル/カナダドルの日足とWTI原油のラインチャートの比較図)を見れば、寧ろ一目瞭然だ。
昨年11月、カナダドルが最高値(0.9058)を更新した際、原油は95.8ドルの値をつけていた。今月11日、原油は史上最高値の147.27ドル(53.7%高)を記録したが、カナダドルは逆に1.0089まで軟調となっていた。つまり、原油との連動性が特に薄れたにも関わらず、専門家らはまた相関性に基づき結論を出そうとしている!
やや外れた話となるが、日本の官僚には「市場原理主義者」が少ないと言われている。その分、社会保険など年金問題を含め、時には庶民を愕かせるほどの「単純なロジックミス」を犯す。金融業界の専門家らも似た者同士か。市場にいるくせに、実に市場を恣意的に解釈している。庶民こそご用心を。
これ故、金融相場ほど初心者に深い困惑や挫折感を味わせる領域はないだろう。一生懸命、勉強のつもりで通勤電車で日経新聞を読み、寝る時間を削ってウェブの情報を収集し、休日を犠牲にしてセミナーなどに参加しても、正しい判断が出来るとは限らない。寧ろ逆の結果になりやすい。米国の金融危機がさらに悪化したから(実際もそうだった)、ドル売りしかできなくなる「円高原理主義者」(皮肉にも、その大半が昨年では円安原理主義者だった)が少なくともドル/円の上昇でまた手痛い損失を蒙った。
仮に全く新聞を読まず、テレビもネット情報を見ず、セミナーの講師らの話を聞かずにして、(もちろんテレビはお笑い番組だけにする)もっぱら相場の動きのみをフォローするなら、4月以来のドル/円買いには躊躇しなかったかもしれない。
また、「市場原理主義者」であれば、(いくら地位の高い方でも)他人の意見を安易に鵜呑みせず、少々の常識で正しい判断をできるだろう。「ミスター円」さんの予測も記憶に新しいが、今更「米国の状況が悪いから、ドル頭重い」といった論調を繰り返す評論家も実にかわいい。少々の常識があれば、当然疑問が湧いてくる。即ち、誰でも知っている事実だが、なぜドルが下落ではなく、逆に108円台に上昇したかと。因みに、我田引水的「邪論」を除き、ファンダメンタルズでこの値動きを解釈できた方はいなかった。
最近、面白い文書を読んだ。そのレポートによると、最近原油の急落がカナダドルを大した押し下げていなかったので、カナダ経済とカナダドルの強みの表れと捉え、カナダドルはこれから米ドルに対して上昇すると予測している。具体的には、仏CALYON銀行のDaragh Maher氏、UBS銀行首席通貨アナリストのMansoor Mohi-uddin氏及びカナダRBC RoyalBankのSue Trinh氏らはこのような論調を展開し、UBS銀行は一か月以内カナダドルが0.9700まで上昇すると予測した。
「市場原理主義者」はこの予測に首を傾げるだろう。上のチャート(ドル/カナダドルの日足とWTI原油のラインチャートの比較図)を見れば、寧ろ一目瞭然だ。
昨年11月、カナダドルが最高値(0.9058)を更新した際、原油は95.8ドルの値をつけていた。今月11日、原油は史上最高値の147.27ドル(53.7%高)を記録したが、カナダドルは逆に1.0089まで軟調となっていた。つまり、原油との連動性が特に薄れたにも関わらず、専門家らはまた相関性に基づき結論を出そうとしている!
やや外れた話となるが、日本の官僚には「市場原理主義者」が少ないと言われている。その分、社会保険など年金問題を含め、時には庶民を愕かせるほどの「単純なロジックミス」を犯す。金融業界の専門家らも似た者同士か。市場にいるくせに、実に市場を恣意的に解釈している。庶民こそご用心を。
今となっては懐かしいです。
ユーロポンド、陳さんのおっしゃってた通りにそろそろ動きそうでしょうか?楽しみです。
個人的にはポンドに下がってほしいので、困るのですが。
少しずつ見えるようになった気がするこの頃です。
市場原理主義者の文面も面白く、読ませて頂きました。
私の分析では、来月後半には、円高になると
思うのですが、まだ自信が持てません(笑)。
陳さんのコラムが、1週間に1回では、淋しいです。
お忙しいのは、重々承知してますがもう少し書いて
下さい。近所の野良猫も、楽しみにしてますよ。
サイクル周期から見て現ユーロ円を筆頭にクロス円は正しいサイクルを辿っているのでしょうか? 前に一度クロス円の展開を記事にするとコメントを見た覚えがあるのですが、今一度クロス円に関しての記述を願います。またドル円がリバウンド中はユーロ/ドルの下落スピードがドル円の上昇スピードより加速しないとユーロ円は下落しないのではないでしょうか?
7月28日~8月1日までの期間、弊社アナリスト陳満咲杜氏は海外出張の為、皆様のコメントに対する返信が遅れてしまう可能性がございますので、その旨ご理解賜りますようお願い申し上げます。