お気に入りの映画 2

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パコと魔法の絵本

2008-10-12 | 日本映画
2008年 日本映画
監 督 中島哲也
出 演 役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ 、加瀬亮、小池栄子、劇団ひとり、山内圭哉、國村隼、上川隆也
あらすじ 舞台はちょっと変わった人たちが集まっている、とある病院。中でもわがまま放題のクソジジイ・大貫(役所広司)は病院中の嫌われ者。そんな大貫がある日パコという名の女の子(アヤカ・ウィルソン)と出会います。 (ちらしより)
感 想 登場人物のキャラがみんな濃くてすごくおもしろかったけど、ちょっとやり過ぎかな~? メインのストーリーはディケンズの『クリスマス・カロル』と同じパターンじゃないかな? 『クリスマス・カロル』をもう一回読みたくなった。

おまえが私を知ってるってだけで腹が立つ!

大貫社長(役所広司)は偏屈ですごすぎる! 『クリスマス・カロル』のスクルージ老人に負けてないんじゃないかな。

いいーかげん、寝なーいと、
パジャマ血に染まるー♪

看護師のタマ子(土屋アンナ)は、下妻物語のイチゴそのまんまじゃないか。(笑) すごい迫力で、怖いよ~。

元・有名子役の室町(妻夫木聡)は、何度も自殺をはかっては病院に戻ってくる。

ゲロゲーロ、ゲロゲーロ。
ガマの王子はわがまま王子。
ミズスマシ君やアメンボ家来に、
今日も意地悪命令を出しています。

一日しか記憶が持たない少女、パコ(アヤカ・ウィルソン)は、毎朝同じ絵本を読んでる。

お誕生日おめでとう。
毎日読んでね。

           ママより。

ここで、何てパコは可哀想なんだろう、と思った。

偏屈だった大貫は、パコと出会ってから何とかパコの記憶の中に残りたいと考える。パコが毎日読んでる絵本に出て来るガマ王子は大貫と同じだった。この辺で、ああ『クリスマス・カロル』みたいだと思った。

看護師の雅美(小池栄子)もすごい迫力で、浩一(加瀬亮)は尻に敷かれてる。(笑)

オカマな木之元(國村隼)も強烈なキャラ。

大貫は、パコが毎日読んでる絵本を病院のみんなでお芝居にしようと考えた。

反対! 反対ったら反対!

って、堀米さん(阿部サダヲ)も強烈すぎ、目立ちすぎ。(笑)

傷だらけのヤクザ龍門寺(山内圭哉)が撃たれた理由もおもしろすぎ~。

CMなどで何度も見た、大貫とパコが手をつないで池に飛び込むシーンは感動!!

大貫社長もスクルージ老人も、社長の仕事はいろいろ大変だったから偏屈になってしまったのかな、と思うとちょっと苦かった。

タマ子と室町のエピソード、娘に会いに行けない木之元のエピソードも心に残るんだけど、やっぱり詰め込みすぎじゃないかな? ラストもひねらない方が良かったと思う。何か頭の中が混乱してぐるぐる回ってた。

下妻物語嫌われ松子の一生もいろいろ濃かったけど、ストーリーは一本道だったので分かりやすくて良かったのに。

言えない秘密

2008-10-05 | 台湾映画
2007年 台湾映画
監 督 ジェイ・チョウ
出 演 ジェイ・チョウ、グイ・ルンメイ、アンソニー・ウォン、アリス・ツォン
あらすじ 淡江音楽学校に転校してきたシャンルン(ジェイ・チョウ)は、登校初日に旧校舎のピアノ室で、神秘的で美しい曲を弾くシャオユー(グイ・ルンメイ)と出会う。 (公式サイトより)
感 想 これはすごい! 完璧な伏線。韓国映画に負けないすれ違い、切なさ。

転校生のシャンルン(ジェイ・チョウ)は、シャオユー(グイ・ルンメイ)に一目ぼれ。授業中も授業は上の空で、後の席に座ってるシャオユーのことばかり気にしてる。

私に用?
別に。

さっき弾いてた曲は?
誰にも言えない秘密よ。

私はピアノは大好きだから、ピアノ王子(笑)とシャンルンとのピアノバトルのシーン、そして、シャンルンとシャオユーが連弾するシーンは大満足!

シャンルンとシャオユーはラブラブでいいんだけど、何かシャオユーには陰があるのが気になる。

秘密を教えてあげる。
聞くよ。
私……数えたの。
演奏室から教室までの歩数は108歩。

シャオユーは、シャンルンと初めて会った時に弾いてた曲を教えてくれた。

古いピアノで弾かないで。
どうして?
音が良くないでしょ。

シャンルンは卒業式の日にシャオユーのために演奏すると約束する。

全然知らなかったんだけど、この映画にはシャンルンの父親役でアンソニー・ウォンも出てた。(笑) シャオユーが姿を消してしまって落ち込んでるシャンルンを、お父さんはギターをかき鳴らして励ましてくれた。(爆) 忘れてたけど、頭文字Dのコンビだ。(笑)

シャンルンはシャオユーの家を訪ねる。

とっくに退学したわ。
喘息がひどくて静養してるの。

卒業式の日、シャンルンはピアノを演奏する。シャオユーが見に来てくれた。シャンルンは演奏を途中で放り出して、シャオユーを追いかける!

ずっと一人で踊ってたくせに。

ここから世界がガラリと変わって、すごい仕掛けにびっくり!

最後、シャンルンが必死でピアノを弾くシーンは韓国映画も真っ青な展開だけど、こういうのは好き。

謎解きが駆け足でまだ全部は理解してないと思うので、もう一度見たいなあ。

蛇にピアス

2008-10-03 | 日本映画
2008年 日本映画
監 督 蜷川幸雄
出 演 吉高由里子、高良健吾、ARATA、あびる優、ソニン
あらすじ 蛇の舌、顔中のピアス、そして背中に龍の刺青を入れた男アマ(高良健吾)と出会った、19歳のルイ(吉高由里子)。彼女はまったく違う世界に住むアマと付き合いつつ、アマの紹介で出会ったサディストの彫師シバ(ARATA)とも関係を持ち始める。 (ちらしより)
感 想 吉高由里子さん、大胆に脱いでてびっくりした。

ルイの気持ちが良く分からないよ~~。キャットストリートの恵都たちも同じく10代だけど恵都たちの気持ちは良く分かるのに。

スプリットタンって知ってる?
何それ?
……すごい。
君も人体改造してみない?

ルイはアマに(アマの舌に?)ひとめ惚れ。会ったその日にセックスしちゃうのか。

ルイは、アマに連れられてシバ(ARATA)の店に行き、舌にピアスの穴を空ける。すごく痛そう~~。

ルイちゃんだっけ?
痛いの強いんだね。
女の方が耐えられるんだってね。

ルイは、シバとも親しくなる。

俺さ、お前の顔見てるとSの血が騒ぐんだ。
私、Mだから。

ルイとアマ、マキ(あびる優)は、2人組の男に絡まれて、けんかになる。アマは男を狂ったように殴って、歯を2本抜いちゃった!!

ルイの敵を取ってやった。

アマは2本の歯を愛の証としてルイに渡す。

ルイは、シバに背中に刺青を入れてもらうことに。デザインは、アマの背中に彫られてる龍とシバの右腕の麒麟を組み合わせる。

いくら位かかる?
エッチ一回。
そんなんでいいんだ。

結構ハードなシーンで、びっくりした。

ルイは、シバとエッチしてから雰囲気が変わってしまった。

こんな世界にいたくない。
とことん暗い世界で身を燃やしたい。

ルイはニュースでアマがあの日に殴った男は死亡してたことを知る。ルイはアマの赤い髪をアッシュに染め直してアマをかばう。

俺、ルイのためだったら
坊主にしてもいいよ。

シバから刺青のデザインが出来たと連絡が来て、ルイは、

龍と麒麟に目を入れないで欲しいの。

それは、目を入れると飛んでいってしまうかもしれないから。ルイは、アマがいつかいなくなってしまわないか不安。

じゃあ行くよ。

こんなきれいな背中に刺青をいれてしまうなんて、もったいないよ! と思った。

刺青を入れるたびに、ルイとシバはアマに隠れて関係を続ける。

ルイは、舌に空けたピアスの穴も少しずつ大きくして、スプリットタンを目指してる。もう痛そうで痛そうで。

刺青が完成してスプリットタンが完成したら
私は何を思うんだろう。

そして、ついに刺青は完成。

刺青が完成してからというもの
活力というものが何もない。

私が生きてることを感じるのは
痛みを感じてる時だけ。

ルイはシバに呼び出されて、

お前、俺と結婚しない?
話がしたいって、そのことだったの?

アマがバイト先から帰って来ない。ルイは捜索願を出そうとして、アマの名前を知らないことに気が付いた! ルイはアマと一緒に暮らしてたのに、アマの名前もバイト先も家族のことも知らなかったなんて。

何であたしを置いて行ったのよ。
どうしてあたしの前からいなくなったのよ。

アマは誰かに殺されていた。

いろいろあって、

ルイはシバに、刺青の龍と麒麟に目を入れてもらうように頼む。

私自身が意味を持つように。

これでルイは立ち直れるのかな、と思ったら、

私はこれを求めていたのだろうか?
この無様にぽっかり空いた穴を、
求めていたのだろうか?

ルイの気持ちが良く分からないよ~~。アマをかばうのは分かるんだけど何でシバもかばうの? シバは大好きだったアマを殺したかもしれないのに、何で「シバでも大丈夫」なの?

ルイには自分というものがないのかな、と思ったらすごくショックだった。

ルイは何をしてたんだろう? 舌にピアスを空けて、刺青を入れて、セックスをして、お酒を飲んで、他には何もしてなかったんじゃないかな? でも、私の中にもルイのような破壊願望があるような気もして怖くなった。

原作を読んでも、何でルイは「シバでも大丈夫」かはよく分からなかった。原作のルイは、映画のルイと違って最後も絶望はしてないんじゃないかな。もしかしたら、ルイは誰のことも愛してないのかな。

自分の所有物のように思っていた人間がこれだけ他人に弄ばれた後に殺された。こんな絶望、私はこれまでの人生の中で初めてだった。

(蛇にピアス 金原ひとみ 文春文庫 p99)

このせりふは確か映画の中でもあったけど、意味が分からなかった。龍と麒麟に目を入れなかったのは、アマとシバの両方を所有してたかったから。ルイは、アマからもらった愛の証を粉々に砕いて飲み込んで、アマの愛の証はルイの体の中に溶け込んだ。だから、「シバでも大丈夫」?