以前に八ヶ岳でみつけたことがある「クロユリ」。たくさん咲いていて感激した。「北海道型」の特色だが、俯き加減の花の雄しべの葯の黄色がチャーミング。
(2020-06 神奈川県 箱根)
クロユリ
科名 ユリ科
学名 Fritillaria camschatcensis
原産地 日本 アラスカ シベリア サハリン 千島
大きさ
本州型:高さ15cm~30cm
北海道型:高さ30cm~50cm
開花期
主に4月~5月
北海道、本州中部の高山地帯、アラスカ、シベリア、カムチャッカ、サハリン、千島など北半球に広く分布する球根植物です。園芸では主に山野草として扱います。
主に北海道の低地に自生する「北海道型」と本州中部の高山に自生する「本州型」の2種が存在しまし、花姿などが若干異なります(以下の項でくわしく説明)。「ユリ」と名前は付きますが、一般的によく知られるユリはリリウム属、クロユリはフリチラリア属でクロユリはユリとは異なる植物です。
葉は茎の同じ高さの場所に4~5枚が放射状に付く輪生です。球根は白色で小さな鱗片がたくさん集まりひとつの形になります。花びらが重なって咲く八重咲き(重弁花型)や黄色い花を咲かせるキバナクロユリがあります。
北海道型と本州型
北海道型は染色体を3組もつ3倍体です。草丈が50cmほどの高さになり花数が多く、花色は黒に見えるほど濃い暗紫色で、雄しべの葯(やく)が開くと真っ黄色の花粉が現れ、花びらとのコントラストが非常に良く印象的です。花の咲く時期は4月~5月です。一般的にクロユリというとこちらを指します。
本州型は一般的な2倍体です。草丈が15cm~30cmにおさまり、花は2~3輪しか咲かせません。花色は全体的に緑がかっています。花の咲く時期は7月頃です。北海道型と区別するために、ミヤマクロユリ〔var. alpina〕と呼ばれることもあります。