野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

ふくよかなイメージでなごめるフヨウの花

2019年05月21日 06時35分00秒 | 
ピンクのフヨウが咲き始めた。
少し季節的には早いとおもうのだが。
ふくよかなおばさんのイメージでなごめる。
一日しかもたない一日花であるのも、いさぎよい。
槿ムクゲと花は似ているが、葉の形で区別できる。
(2019-05 神奈川県川崎市 道端)





フヨウ
フヨウ(芙蓉、Hibiscus mutabilis)はアオイ科フヨウ属の落葉低木。種小名 mutabilisは「変化しやすい」(英語のmutable)の意。「芙蓉」はハスの美称でもあることから、とくに区別する際には「木芙蓉」(もくふよう)とも呼ばれる。

概要

日中の花の色の変化
中国、台湾、日本の沖縄、九州・四国に自生する。日本では関東地方以南で観賞用に栽培される。幹は高さ1.5-3m。寒地では冬に地上部は枯れ、春に新たな芽を生やす。

葉は互生し、表面に白色の短毛を有し掌状に浅く3-7裂する。

7-10月始めにかけてピンクや白で直径10-15cm程度の花をつける。朝咲いて夕方にはしぼむ1日花で、長期間にわたって毎日次々と開花する。花は他のフヨウ属と同様な形態で、花弁は5枚で回旋し椀状に広がる。先端で円筒状に散開するおしべは根元では筒状に癒合しており、その中心部からめしべが延び、おしべの先よりもさらに突き出して5裂する。

果実はさく果で、毛に覆われて多数の種子をつける。

同属のムクゲと同時期に良く似た花をつけるが、直線的な枝を上方に伸ばすムクゲの樹形に対し、本種は多く枝分かれして横にこんもりと広がること、葉がムクゲより大きいこと、めしべの先端が曲がっていること、で容易に区別できる。フヨウとムクゲは近縁であり接木も可能。

南西諸島や九州の島嶼部や伊豆諸島などではフヨウの繊維で編んだ紐や綱が確認されている[1]。甑島列島(鹿児島県)の下甑町瀬々野浦ではフヨウの幹の皮を糸にして織った衣服(ビーダナシ)が日本で唯一確認されている[2]。ビーダナシは軽くて涼しいために重宝がられ、裕福な家が晴れ着として着用したようである[3]。現存するビーダナシは下甑島の歴史民俗資料館に展示されている4着のみであり、いずれも江戸時代か明治時代に織られたものである[3]。


俳句でも芙蓉は好まれている。「亡母訪ねくるよな夕焼白芙蓉 大野林火 白幡南町 昭和二十九年」はすごみがある。
確かに夕闇の中で一輪の芙蓉で揺れたら、母親の亡霊かと思うかもしれない。



芙蓉 の例句
あふのけに汝の脛待つ芙蓉かな 齋藤玄 飛雪
ある朝の冷えや芙蓉を驚かす 安住敦
ある朝の芙蓉がひとつあと杜絶ゆ 安住敦
いたりつつその紅のとき酔芙蓉 岡井省二 有時
いちにちの終りし思ひ芙蓉閉ぢ 鷹羽狩行
いちまいに薄紅ひろぐ芙蓉かな 松村蒼石 雁
おはじきは今朝の空いろ芙蓉咲く 古沢太穂 捲かるる鴎
おもかげのうするる芙蓉ひらきけり 安住敦
お遍路のかくるる風の芙蓉かな 岸田稚魚
かくて秋定まる雨の芙蓉かな 安住敦
こころよきことのふしぎに芙蓉咲く 岡井省二 夏炉
こんなきれいな時間がありぬ花芙蓉 岸田稚魚 紅葉山
さかづきのめぐりそめけり酔芙蓉 水原秋櫻子 蘆雁以後
さはさはと松風わたる芙蓉かな 富安風生
すでに酔ひ午後の芙蓉でありしこと 稲畑汀子
そののちの日を重ねたる芙蓉かな 安住敦
その後のなほ野分めく芙蓉かな 中村汀女
たれもかれも親し白芙蓉紅芙蓉 山口青邨
つゆけさの一輪殊に酔芙蓉 水原秋櫻子 殉教
のどもとを潮の目ながれ夏芙蓉 岡井省二 有時
また秋の庭の芙蓉が咲いて呉れし 及川貞 榧の實
やぶ入の一日にしぼむ芙蓉哉 正岡子規 芙蓉
やゝ水のやさしさもどる花芙蓉 能村登四郎
マダム・バタフライのごとし酔芙蓉 鷹羽狩行
ロゼといふ色に出でたる酔芙蓉 後藤比奈夫
一輪のはや大酔や酔芙蓉 水原秋櫻子 殉教
中々に酔はざる白さ酔芙蓉 高浜年尾
九月来る醜男の庭に咲く芙蓉 三橋鷹女
亡母訪ねくるよな夕焼白芙蓉 大野林火 白幡南町 昭和二十九年
人の妻恋へば芙蓉に月険し 日野草城
人間世界芙蓉の花に日のあたりをる 中川一碧樓
今宵よりはじまる月夜芙蓉閉づ 阿波野青畝
今散りし芙蓉の花に蟻わたる 星野立子
仲秋や芙蓉は草の如く咲く 山口青邨
先づ以て亜米利加芙蓉咲きにけり 星野麥丘人
八ツ時の太皷打ち出す芙蓉哉 正岡子規 芙蓉
函館の芙蓉の朝のはじまりぬ 雨滴集 星野麥丘人
初嶋はかすみて漁戸の芙蓉咲く 飯田蛇笏 白嶽
初花の芙蓉に澄めり稽古笛 能村登四郎
初花の葉がくれ酔へり酔芙蓉 水原秋櫻子 蘆雁
十六夜や花閉ぢあへぬ白芙蓉 水原秋櫻子 緑雲
双鶴の離れて芙蓉水に濃き 渡邊水巴 富士
古家や芙蓉咲いて人なまめかし 正岡子規 芙蓉
名月や仙人掌上の玉芙蓉 正岡子規 名月
君が家の鯉いろいろや酔芙蓉 森澄雄
咲きつぎて芙蓉うつろはざり倦みぬ 及川貞 榧の實
啼くも飛ぶもいらだつ蝉や花芙蓉 渡邊水巴 富士
城石垣一片移す庭芙蓉 河東碧梧桐
夕光や芙蓉の蕊の座の紅さ 楠本憲吉 隠花植物
夕冷えに白さ極まる芙蓉かな 日野草城
夕風や芙蓉は莟数知れず 安住敦
大酔を微醺かこめり酔芙蓉 水原秋櫻子 蘆雁以後
妬心ほのと知れどなつかし白芙蓉 杉田久女
妹逝く背戸の芙蓉の桃色に 細見綾子
妻が歌芙蓉の朝の水仕かな 石田波郷
妻去れば養女かなしむ芙蓉かな 下村槐太 天涯
妻戸明けて一枚はねる芙蓉哉 正岡子規 芙蓉
子に供華の千万かなし紅芙蓉 及川貞 榧の實
子に供華の千萬かなし紅芙蓉 及川貞 夕焼
存へて浮世よろしも酔芙蓉 森澄雄
宝蔵に侍づき咲きて芙蓉の日 石塚友二 方寸虚実
居待月芙蓉はすでに眠りけり 安住敦
山人の盆の顔ある芙蓉かな 森澄雄
山門の白芙蓉まづ意にかなふ 山口青邨
島の中に島を作りて花芙蓉 鷹羽狩行
嵐めく芙蓉一叢見て去ぬる 岸田稚魚 筍流し
帰り見れば芙蓉散りつきし袷かな 杉田久女
廢舘に鷄遊ぶ芙蓉かな 正岡子規 芙蓉
廢苑や芙蓉を覆ふ葭の風 正岡子規 芙蓉
廣椽の折り曲りたる芙蓉かな 正岡子規 芙蓉
忘れ得ぬ日や初花の酔芙蓉 水原秋櫻子 餘生
打水の日を截るしぶき花芙蓉 渡邊水巴 富士
撫子も白芙蓉も白秋暑し 山口青邨
料理屋の夜の*間寂や白芙蓉 飯田蛇笏 霊芝
料理屋の夜の間寂や白芙蓉 飯田蛇笏 山廬集
旅毎日芙蓉が落ちし紅き音 西東三鬼
日や萩に雨や芙蓉にかく優し 安住敦
明家の草の中より芙蓉哉 正岡子規 芙蓉
昼過ぎつ芙蓉の下に鶏すくむ 河東碧梧桐
時に秋眉開かせくれぬ白芙蓉 松崎鉄之介
時化あとの新たなる花紅芙蓉 及川貞 夕焼
暁方の夢にこだはり白芙蓉 橋閒石 雪
月の蜘蛛寝ねし芙蓉へ力糸 後藤比奈夫
月出たり芙蓉の花の傍に 正岡子規 芙蓉
月明し明日咲く芙蓉かぞふべし 安住敦
有明の雨が濡らせる芙蓉かな 安住敦
朝々の芙蓉の数となりしかな 安住敦
朝な梳く母の切髪花芙蓉 杉田久女
朝の露汚して芙蓉珠おとす 能村登四郎
朝を果敢な蟻ら 芙蓉の底紅まで 伊丹三樹彦
朝駈けの雨の濡らせる芙蓉かな 安住敦
村會の議員住みける芙蓉哉 正岡子規 芙蓉
松が根になまめきたてる芙蓉哉 正岡子規 芙蓉
松風や芙蓉溺れむばかりにて 岸田稚魚
枝廣くたしかに開く芙蓉哉 正岡子規 芙蓉
柳散る芙蓉の庭や朝嵐 正岡子規 芙蓉
梢頭の覚めて冷たき白芙蓉 斎藤玄 狩眼
椽廣く折り曲りたる芙蓉哉 正岡子規 芙蓉
武藏野を見下す寺の芙蓉哉 正岡子規 芙蓉
歩きつつ芙蓉は萩にかくれけり 上野泰 佐介
歳月や亡師さながら芙蓉に病む 石田波郷
残月やひらかむ芙蓉十あまり 水原秋櫻子 残鐘
母の家の芙蓉や閉ぢぬ帰るべき 山田みづえ 忘
水櫛に髪しなやかな花芙蓉 中村汀女
池の日の眞つ晝間なり夏芙蓉 岡井省二 前後
池中や石も吹かるる萩芙蓉 石川桂郎 含羞
沓の跡芙蓉の下に印すらん 河東碧梧桐
深空より甍を垂るる芙蓉かな 富安風生
濤立ちて芙蓉を吹けり日本海 森澄雄
爪紅の手をのべて芙蓉折らんとす 正岡子規 芙蓉
痢人の手触れてをのゝく芙蓉かな 西島麦南 人音
白き猫芙蓉の光あつめ臥す 橋閒石 雪
白芙蓉しだいに灯恋はれけり 石橋秀野
白芙蓉ふたたび交す厚き文 野澤節子 未明音
白芙蓉凋みて落ちて綿のごと 山口青邨
白芙蓉墓大にして血統絶ゆ 福田蓼汀 山火
白芙蓉暁けの明星らんらんと 川端茅舎
白芙蓉添水のみづの流れくる 大野林火 方円集 昭和四十九年
白芙蓉白木槿庭さびしすぎ 山口青邨
白芙蓉睡竹堂の木椅子かな 松崎鉄之介
白芙蓉秋は夫人の愁ふ瞳に 飯田蛇笏 雪峡
矮鶏が鬨つくる芙蓉の花の雨 木村蕪城 寒泉
砂入れて平らかになりし芙蓉かな 右城暮石 句集外 昭和十一年
碁の音や芙蓉の花に灯のうつり 正岡子規 芙蓉
秋の空芙蓉の花に定まりぬ 内藤鳴雪
秋風をいろづけせむと酔芙蓉 阿波野青畝
空蝉や芙蓉落ちたる音閑か 渡邊水巴 富士
競ひ咲く花にはあらず芙蓉咲く 三橋鷹女
箒木は皆伐られけり芙蓉咲く 河東碧梧桐
紅芙蓉まづ白芙蓉一日ずれ 高田風人子
紅芙蓉一花の高しくらら庵 石川桂郎 四温
紅芙蓉春樹素読の声透くや 林翔 和紙
紅芙蓉村水没のダム際に 右城暮石 句集外 昭和五十年
紅芙蓉枝の向きむき四山退く 中村草田男
紅芙蓉白芙蓉又紅芙蓉 星野立子
紅芙蓉鉄扉鳴らして出入口 右城暮石 句集外 昭和五十五年
翡翠や芙蓉の枝に羽つくろひ 正岡子規 翡翠
老人の妻も老人酔芙蓉 亭午 星野麥丘人
肥汲が辞儀して括る芙蓉かな 渡邊水巴 白日
胸の手のつめたく覚めし花芙蓉 鷲谷七菜子 黄炎
船つくる木の香の匂ふ花芙蓉 清崎敏郎
色どれど淋しき頬やな花芙蓉 杉田久女
芙蓉くれなゐ蟷螂斧をかまふるは 山口青邨
芙蓉ことに簀戸のへだての美しき 及川貞 榧の實
芙蓉には蝕むといふ障りあり 後藤夜半 底紅
芙蓉に鯰裸かの胸にちちろとぶ 金子兜太
芙蓉の日うすらぐほどの雲過ぎぬ 橋閒石 雪
芙蓉の翳古郷忌幾日過ぎにけむ 石田波郷
芙蓉の花多し海鳴の曇り日 金子兜太
芙蓉の葉巻きけり蜘蛛に似し虫が 阿波野青畝
芙蓉は妙齢老の釣針魚もだゆ 中村草田男
芙蓉みな萎みぬ星座さやかなり 渡邊水巴 富士
芙蓉より明けて潮汲に明けをはる 加藤秋邨
芙蓉ヨリモ朝顔ヨリモウツクシク 正岡子規 芙蓉
芙蓉一花まづ咲き珠の小家建つ 能村登四郎
芙蓉咲いて古池の鴛やもめ也 正岡子規 芙蓉
芙蓉咲いて蟷螂の子の薄みどり 橋閒石 雪
芙蓉咲いて面影胸に甦る 日野草城
芙蓉咲きこんなに暗い真つ昼間 金子兜太
芙蓉咲きぬけふの暑さは易からむ 及川貞 榧の實
芙蓉咲き今朝の供華とす終戦日 及川貞 夕焼
芙蓉咲き倉敷川は朝澄めり 水原秋櫻子 餘生
芙蓉咲き後ろ手といふ無心あり 秋元不死男
芙蓉咲き自転車二台で竹運ぶ 金子兜太
芙蓉咲き見えぬ月見えぬ蛾眉山 金子兜太
芙蓉咲き風邪ひく山羊の風情かな 飯田蛇笏 山響集
芙蓉咲くかぎり白露結びけり 安住敦
芙蓉咲くかみなりさまとお別れだ 能村登四郎
芙蓉咲くしづけさにあり百ヶ日 安住敦
芙蓉咲く橋の袂の小家かな 正岡子規 芙蓉
芙蓉咲く風音は人々が聴いて 金子兜太
芙蓉峰うち仰ぎもす汐干狩 飯田蛇笏 雪峡
芙蓉数えていても女の険去らず 楠本憲吉 孤客
芙蓉白妙蟷螂真青秋新た 山口青邨
芙蓉見えてさすがに人の聲ゆかし 正岡子規 芙蓉
花の底美酒たたへ紅芙蓉 山口青邨
花芙蓉今宵火星は近づくと 星野立子
花芙蓉水に映りて揺るるなし 清崎敏郎
花芙蓉門跡稀に出で給ひぬ 村山故郷
草とつて芙蓉明かになりにけり 河東碧梧桐
草の中あはれ白芙蓉紅芙蓉 山口青邨
菜園のほとり芙蓉を咲かしめぬ 三橋鷹女
萎みたる芙蓉の花や磬の聲 正岡子規 芙蓉
萩を焚くついで芙蓉も鶏頭も 星野立子
萩芙蓉一日の妻を見棄てけり 齋藤玄 飛雪
萩芙蓉馬場移公子来て雨鮮し 星野麥丘人
落芙蓉すうっと 終章いそがねば 伊丹三樹彦
葉を出でゝ雪一塊の芙蓉かな 渡邊水巴 白日
葉を打つてしぼみ落ちたる芙蓉かな 杉田久女
蒼天や芙蓉はさらに身に近き 渡邊水巴 富士
薪割って初咲芙蓉ゆれにけり 及川貞 夕焼
藤村晩年の町曇天に芙蓉うかぶ 古沢太穂 火雲
蟷螂のほむらさめたる芙蓉かな 河東碧梧桐
行く秋を開ききつたる芙蓉哉 尾崎放哉 大学時代
行李空しきを芙蓉の宿に置き捨てん 中川一碧樓
袖の如ひるがへる葉や酔芙蓉 水原秋櫻子 殉教
裏庭は山つゞきなり紅芙蓉 星野立子
西子湖に映り源平咲き芙蓉 鷹羽狩行
西子湖の芙蓉のつぼみ拳大 鷹羽狩行
覚めてふと胸のくもりや白芙蓉 鷲谷七菜子 黄炎
豊満の美に佛性や紅芙蓉 富安風生
賓蔵に待づき咲きて芙蓉の日 「方寸虚実」石塚友二
起きぬけにシャヮー浴びたる芙蓉かな 草間時彦
跨虹橋に師とある如し白芙蓉 松崎鉄之介
逢いたさの雨白芙蓉擦過して 楠本憲吉 方壺集
逢ひにゆく袂触れたる芙蓉かな 日野草城
酔ひも酔ひさまにならむと芙蓉かな 阿波野青畝
酔態をへだてし葉あり酔芙蓉 水原秋櫻子 蘆雁以後
酔芙蓉すぐ午後が来て夕ベきて 安住敦
酔芙蓉のこして拓く駐車場 水原秋櫻子 餘生
酔芙蓉よりいささかの酔おくれ 能村登四郎
酔芙蓉ヨハネ村上忌も過ぎて 燕雀 星野麥丘人
酔芙蓉倚らしむ月日ありにけり 星野麥丘人
酔芙蓉溝より鼠跳びにけり 岡井省二 猩々
酔芙蓉白雨たばしる中に酔ふ 水原秋櫻子 殉教
酔芙蓉雪膚花顔と詩にも言ふ 水原秋櫻子 蘆雁以後
銀水引掛けばや白芙蓉そへて 山口青邨
門の辺の芙蓉の数も夕爾の忌 安住敦
雑草園女の客や酔芙蓉 山口青邨
雜草の雨にぬれたる芙蓉哉 正岡子規 芙蓉
雨にぬれて雜草の中の芙蓉哉 正岡子規 芙蓉
雨の芙蓉花かたつらになひきけり 正岡子規 芙蓉
霧ふかく酔いまだしや酔芙蓉 水原秋櫻子 殉教
露ながら一瓣すでに酔芙蓉 水原秋櫻子 晩華
露なくて色のさめたる芙蓉哉 正岡子規 芙蓉
面影は風に吹かるゝ白芙蓉 日野草城
風すぐに白き芙蓉を抜けにけり 星野麥丘人
風のまま芙蓉の花のひろがりて 後藤夜半 底紅
風はらむはずみにひらく芙蓉かな 阿波野青畝
風よりも細き身のひと花芙蓉 鷹羽狩行
髪刈りしのみの日曜芙蓉落つ 能村登四郎
鰯焼く煙芙蓉を犯しけり 日野草城
鵞の卵孵らず芙蓉散りそむる 橋閒石 雪
黒髪を梳くや芙蓉の花の蔭 日野草城

芙蓉 続補遺

*ずずだまを植し母なし芙蓉咲 松窓乙二
おしむなよ芙蓉の陰の雨舎り 支考
まだ痩ぬ蝶や芙蓉の暖まり 中川乙由
刈揚や芙蓉の寺も門並に 鈴木道彦
夏の僧の無沙汰佗るや散芙蓉 鈴木道彦
山も岡も芙蓉に露を置がごとし 樗良
星の精や八日にさける白芙蓉 加藤曉台
暮の鐘きかずにしぼむ芙蓉哉 木導
曇る日は猶ちからなき芙蓉かな 木導
月やこの芙蓉も持たずくもる庵 松窓乙二
月宵~芙蓉日~にはなの露 井上士朗
月満て芙蓉の花のすわりけり 加藤曉台
有明の鏡になをる芙蓉哉 林紅
朝露のはれなる白き芙蓉哉 旦藁
枝ごとに苔もちあふ芙蓉哉 卓池
百合は過芙蓉を語る命かな 風麦
立出て芙蓉の凋む日にあへり 加舎白雄
笄に芙蓉の落花集めけり 三宅嘯山
笠の内色をふくめる芙蓉哉 りん女
筆と見て見ひらく芙蓉の命かな 素堂
芙蓉さく今朝一天に雲もなし 宮紫暁
芙蓉の香苔のみづらにこぼれけり 椎本才麿
花芙蓉美女湯あがりて走りけり 素堂
茶筌もて真の掃除や白芙蓉 其角
蕣のつぼみて渡す芙蓉哉 卯七
露と日に光りわかるゝ芙蓉哉 三宅嘯山
鵙の声院の芙蓉を鄙にする 鈴木道彦




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