野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

端正な花なのに名前で不利になっているドクダミ

2019年05月21日 06時14分31秒 | 
いたるところで咲き始めたドクダミ。
この前までは野原の白い花はハルジオンだったが、
今ではドクダミが大半を占める。よく見ると端正な花だ。それに芽の形も美しい。
名前がひどいけど、ドクダミ茶などで馴染みの名前になってきた。
もともとは毒を抑えるという意味らしい。
(2019-05 神奈川県川崎市 道端)




ドクダミ
ドクダミ(蕺草、蕺、学名:Houttuynia cordata)はドクダミ科ドクダミ属の多年草。 別名、ドクダメ(毒溜め)、ギョセイソウ(魚腥草)、ジゴクソバ(地獄蕎麦)。

名称
古くは、之布岐(シブキ)と呼ばれていた。どくだみの名称は「毒矯み」(毒を抑える)から来ている。ドクダミ自体に毒はない[1]。中国語と同様の魚腥草(腥の意味は「生臭い」)、ベトナム語のザウザプカーまたはザウジエプカー(ベトナム語: rau giấp cá/ rau diếp cá 、意味は「魚の野菜の葉」)、英語のfish mint, fish herb, fishwortなど、魚の匂いに纏わる名称も多い。英語にはそのほか、lizard tail(トカゲの尻尾), chameleon plant(カメレオンの植物), heartleaf(心臓の葉)や、bishop's weed(司教の草)という表現もある。

形態・生態等
多年生の植物[1]であり、住宅周辺や道ばたなどに自生し、特に半日陰地を好む。全草に強い臭気がある。開花期は5~7月頃。茎頂に、4枚の白色の総苞(花弁に見える部分)のある棒状の花序に淡黄色の小花を密生させる(総苞は実質イミテーション)。本来の花には花弁も萼(がく)もなく、雌蕊と雄蕊のみからなる。 繁殖力が高く、ちぎれた地下茎からでも繁殖する。

利用
食用
加熱することで臭気が和らぐことから、日本では山菜として天ぷらなどにして賞味されることがある。日本において料理用のハーブとして用いられる事は無いが、葉を乾燥させてどくだみ茶を製造する事がある。これは一種のハーブティとして、麦茶のように飲まれる事が多い。どくだみ茶は商品化もされている。爽健美茶の主原料の1つとしても有名。


他の香草と共に食されるドクダミ(ベトナム)
また、ベトナム料理では、とりわけ魚料理には欠かせない香草として生食される。ただし、ベトナムのものは日本に自生している個体群ほど臭気はきつくないとも言われている[要出典]。

中国西南部では「折耳根(ジョーアルゲン 拼音: zhéěrgēn)」と称し、四川省や雲南省では主に葉や茎を、貴州省では主に根を野菜として用いる。根は少し水で晒して、トウガラシなどで辛い味付けの和え物にする。

薬用

生薬として、開花期の地上部を乾燥させたものは生薬名十薬(じゅうやく、重薬とも書く)とされ、日本薬局方にも収録されている。十薬の煎液には利尿作用、高血圧、動脈硬化の予防作用などがある。なお臭気はほとんど無い。 また、湿疹、かぶれなどには、生葉をすり潰したものを貼り付けるとよい。

漢方では解毒剤として用いられ、魚腥草桔梗湯(ぎょせいそうききょうとう)、五物解毒散(ごもつげどくさん)などに処方される。しかし、ドクダミ(魚腥草、十薬)は単独で用いることが多く、漢方方剤として他の生薬とともに用いることはあまりない。


俳句の世界でも、名前の余波は大きい。
「どくだみやこの世のユダの数ほどに 鷹羽狩行」はあまりにかわいそうかも。



十薬 の例句

うしろ手を解き十薬に親しみぬ 岡本眸
さからはず十薬をさへ茂らしむ 富安風生
しづかな道となりどくだみの芽 種田山頭火 草木塔
どくだみに降る雨のみを近く見る 秋元不死男
どくだみのくもりのひとを近づけず 大野林火 冬雁 昭和二十二年
どくだみのわれはがほなる二葉かな 富安風生
どくだみの十字に目覚め誕生日 西東三鬼
どくだみの密生神を斎く庭 山口誓子
どくだみの白妙梅雨の一日昏る 橋本多佳子
どくだみの終りしからに灸花 後藤夜半 底紅
どくだみの花いきいきと風雨かな 大野林火 冬雁 昭和二十一年
どくだみの花と夏天の鷺と白し 山口青邨
どくだみの花を踏みくる氷室守 百合山羽公 春園
どくだみの花咲くと洗ふ蜆かな 山口青邨
どくだみの花炎天の水に咲く 松村蒼石 寒鶯抄
どくだみの香にたつ土の薄暑かな 西島麦南 人音
どくだみへ 踏み込む 薬師は裏拝み 伊丹三樹彦
どくだみもやさしき若葉してゐたり 平井照敏 猫町
どくだみやこの世のユダの数ほどに 鷹羽狩行
どくだみや年々に喜怒淡くなり 鷹羽狩行
どくだみや真昼の闇に白十字 川端茅舎
どくだみや繁みが上の馬ぼこり 史邦
どら猫やどくだみの花踏みしだき 相生垣瓜人 負暄
一藪をたゞ十薬の匂ひ哉 正岡子規 十薬
人踏みし十薬匂ふ新しさ 右城暮石 句集外 昭和十三年
十薬が匂ふ恋しさともちがふ 細見綾子
十薬に一点の雨廃工場 桂信子 晩春
十薬に外出や三たび降りつのり 石橋秀野
十薬に彳ちて己を宥さずをり 野澤節子 未明音
十薬のそこら咲きみち梅雨宣言 山口青邨
十薬のましろき襟の信徒たち 平井照敏
十薬の匂ひに慣れて島の道 稲畑汀子
十薬の十字じめりへ発破音 秋元不死男
十薬の十字を額に悔いにけり 上田五千石『田園』補遺
十薬の大なだれしてゐるところ 石田勝彦 秋興以後
十薬の枯れたる花の十文字 清崎敏郎
十薬の根の長々と瓦礫より 細見綾子
十薬の根を押す雨となりにけり 岡本眸
十薬の水に映るは一弁欠く 山口青邨
十薬の渚のごとく歩を返す 古舘曹人 砂の音
十薬の白梅天となら妥協 後藤比奈夫
十薬の聖十字満つわが歩々に 山口青邨
十薬の花が白いなどこのやうな生涯 中川一碧樓
十薬の花に涼むや楽屋裏 松本たかし
十薬の花のたひらは浄土まで 鷹羽狩行
十薬の花の十字に襟正す 山口青邨
十薬の花の十字の梅雨入かな 石田波郷
十薬の花の咲く花圃薬学科 後藤比奈夫
十薬の花の真白きこと不安 後藤比奈夫
十薬の花咲きたてや草の中 星野立子
十薬の花庭埋むまた見るべし 山口青邨
十薬の花粉をくわへ蟻走る 上野泰
十薬の蕊高くわが荒野なり 飯島晴子
十薬の蕚あはれにも低きかな 山口誓子
十薬の雨朝々を鬱しをり 角川源義
十薬の香の墓に子とあそびをり 石田波郷
十薬はにはの醜草人のくすり 山口青邨
十薬も天に咲く花九十九谷 林翔 和紙
十薬も梅雨のあがりし朝の日に 長谷川素逝 暦日
十薬やうごきて杜の外の空 岡井省二 前後
十薬やつひにひとりの旅の尿 小林康治 四季貧窮
十薬やわびしけれども世を遁げず 上田五千石『天路』補遺
十薬や世に古りそめしわが俳句 石田波郷
十薬や人に尽くせし尽くし甲斐 鷹羽狩行
十薬や何を植ゑても出来ぬ土地 正岡子規 十薬
十薬や夏のものとて花白し 田川鳳朗
十薬や夜へ突立つ坂がかり 鷲谷七菜子 銃身
十薬や山路細まり土湿り 星野立子
十薬や才気ささふるもの狂気 鷹羽狩行
十薬や捧げて担ぐ米五升 伊藤白潮
十薬や木魂遊ばす子のたむろ 角川源義
十薬や母には会へぬ世に生きて 上田五千石『風景』補遺
十薬や母の生地の土やはらか 上田五千石 田園
十薬や犬をつなげば猫が来て 岡本眸
十薬や瓦の文の聖十字 水原秋櫻子 餘生
十薬や石垣つゞく寺二軒 村上鬼城
十薬や蕗や茗荷や庵の庭 正岡子規 十薬
十薬や衰へねども石に倚り 上田五千石『天路』補遺
十薬や酔のこりたる咽喉の奥 藤田湘子 途上
十薬や鴉吹かるる峡の雨 角川源義
十薬を摘みに来る姉巷に老い 山口青邨
十薬を白と思ふまで稲光 斎藤玄 狩眼
十薬を見れば農婦に見られけり 山口誓子
十薬を踏むやたちまち臭ひだつ 上村占魚
十薬咲く清く痩せたる苔地かな(王龍山) 細見綾子
取り果てず草と十薬に花咲かす 及川貞 榧の實
墓群よりも十薬ひしと寄り合へる 石田波郷
大甍どくだみ生えて垂れさがり 野見山朱鳥 曼珠沙華
巖迫り雨の饒舌どくだみに 古舘曹人 能登の蛙
指に莨熱くどくだみの中に立つ 大野林火 青水輪 昭和二十六年
村中を墓にどくだみ花ざかり 斎藤玄 雁道
熱の眼に十薬遠し置きにけり 石川桂郎 含羞
男神寧し十薬花を消し 岡井省二 明野
石垣の雨にどくだみ初夏の花 廣瀬直人 帰路
禅寺に咲きし十薬白十字 右城暮石 句集外 昭和五十年
細香の恋どくだみの臭に立つよ 山口誓子
芍薬にうき十薬のしげり哉 尚白
花言葉なき十薬は十字切る 上田五千石『琥珀』補遺
華僑の塀から 噴き出し十薬 暮色阻み 伊丹三樹彦
葉桜やどくだみの叢は夜のごとく 山口青邨
藪跡の十薬匂ふ明地かな 正岡子規 十薬
蛇の匂ひ十薬に似し記憶あり 右城暮石 句集外 昭和十三年
螢袋十薬畳拭きて咲く 山口青邨
裾まく十薬 討死武将の墓双つ 伊丹三樹彦
車庫に干すどくだみげんのしやうこなど 右城暮石 一芸
道冷えて十薬は咲き満ちにけり 山田みづえ 忘
金星も十薬もいま囁くほど 岡本眸
階上にまで十薬のはつきりと 山口誓子
雨のなか十薬の白のみ信ず 鷹羽狩行
雫落ち十薬の花またゝきぬ 清崎敏郎
露草の瑠璃十薬の白繁り合へ 石田波郷



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