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「日本の文化に普遍性がある」なんて口が裂けても言えないはずだが(Sep 15, 2013)

2013-09-15 21:06:30 | 五輪招致ネタ
先週開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で、2020年夏季五輪開催都市に東京が選ばれてしまった。
これを受けて、日本国内では「五輪開催に協力しろ」的な言説が主流を占めるようになった。

そんな中、屋山 太郎(Taro YAYAMA)氏が、2020年東京五輪を「武士道」で迎えたいなんてわけのわからないことをのたまっていた・・・。
・評論家・屋山 太郎 東京五輪を「武士道」で迎えたい(2013年9月13日 MSN産経ニュース)

タイトルの時点で危険なにほひしかしないこの論説。
果たして、その中身は想像以上の危険なシロモノだった。

この論説の冒頭、屋山氏は日本の漫画が世界各国で読まれてるのを引き合いにして、先週の IOC総会における滝川 クリステル(TAKIGAWA LARDUX Christel Masami)さんの演説を日本精神なるモノになぞらえて語っていた。
以下、2013年9月13日分 MSN産経ニュース『屋山 太郎~』から前半部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
滝川クリステルさんは「お・も・て・な・し」の心を訴えたが、「おもてなし」はまさに日本の心の表現だ。
これを日本人の女性的な表現だとすれば、男性的な表現は「武士道」だろう。
この日本精神は今や国際的な普遍性をもって世界に広がっている。

 日本のマンガは世界中に普及している。
『ワンピース』というマンガは、力を合わせて難局を乗り切ろうという趣旨で福島の被災地を勇気づけたが、フランスでも大流行だという。
数年前、フランスとスペインの国境にあるバスク地方の田舎町の本屋の店頭に、日本のマンガが平積みになっていた。
どうしてだろう。
なぜだろうと考えさせられたことがある。

 日本のアニメも国際的に大流行だ。
各国のオーケストラにも日本人の団員が多いのが目立つ。
ソロで活躍している音楽家、歌手、ダンサーも数知れない。
日本料理も世界に浸透し、モスクワには寿司屋が900軒もあるそうだ。

日本人の誠実さも遍(あまね)く世界に知られている。
50年も前のことだ。
ローマ駐在特派員を引き揚げるとき、家主から後釜に日本人を見つけて入れてくれと懇願された。
その熱心さを見て、古くから日本人は信用されているのだなあと、祖先に感謝したものだ。
(以下略)
---- 引用以上 ----

普遍性、か。
そもそも、「おもてなし」や「武士道」が日本の心の表現かどうか怪しいんだけどね。
俺に言わせれば、日本の心なんぞ日本の過去の都合のいい所を適当につなぎ合わせてでっち上げたブツでしかないのに・・・。

だいたい、日本の漫画やアニメが世界各国でウケてるのは、普遍性じゃなくて単に面白いからってことじゃね?
つまらないものは、普遍性があっても受け入れられないっつ~の。

何より、「日本人の誠実さも遍(あまね)く世界に知られている」って余りに能天気な仮説じゃね?
「日本人」の存在すら知らない人達もいるかもしれないのに・・・(失礼)。


しかし、さっきの引用部分はホンの準備運動でしかない。

この後、屋山氏は、「武士道」について妙な高説を披露していた。
その上で、先日韓国が日本の8県(何故か群馬県も含まれてる)で獲れた海産物の輸入を禁止したことを dis っていた。
以下、2013年9月13日分 MSN産経ニュース『屋山 太郎~』から終盤部分を(略
読む前に、家の外にある風に飛ばされやすいものをしまうのを忘れないように!(割と切実)

---- 以下引用 ----
(中略)
《武士道にはない韓国の対応》

 職人の世界でなぜ日本だけに「匠(たくみ)」が多いのかという特集取材に加わったことがある。
4、5人の町工場の長がグループになって徹夜も厭(いと)わず、精魂込めて製品を試作する。
聞いてみると、請け負ったのはそのうちの1社である。
「儲(もう)けがないのになぜ一生懸命やれるのですか」という問いに、「人が喜ぶのを見るのが嬉しいからだ」と町工場の社長は答えた。
これこそ、武士道の精神なんだあ、としみじみ思った。

 「義を見てせざるは勇なきなり」という精神も武士道の柱の一つである。
それが廃れたからこそ、陰湿ないじめが流行(はや)ってきたのではないか。
「強きをくじき、弱きを助く」を実践したことがあるが、あれほど恐ろしかったことはない。
が、2、3日経って満足感がこみ上げてきた。

 日本は常時、世界の世論調査で最も好きな国の一つに挙げられる。
日本の文明、精神が人や芸術を通じて広く世界に受け入れられているからだろう。
日本の文化は宗教や文明の違いを超えて、普遍性を持っていると信じる。
東京オリンピックを通じて、日本は武士道、おもてなしの精神を発信し、フェアで人類平等の楽しい価値観に尽くそうではないか。

 最後に、どうしても付け加えたい。
韓国では「日本は五輪開催にふさわしくない」とメディアが煽(あお)り開催地決定前日、政府が福島など8県の水産物禁輸を発表した。
この汚い手口は武士道にはない。
(ややま たろう)
---- 引用以上 ----

どうして屋山氏は、「日本の文化は~普遍性を持ってる」なんて能天気に書けるんだろうか?
色々理由を考えてみたんだけど、最大限好意的に解釈するなら日本の文化とやらが一番という日本中心主義(Japan-centrism)が根本にあるのが大きな要因ってことだ。
先の「武士道」の件といい、屋山氏は日本の文化とやらへ過剰な崇拝をしてるとしか思えない。
何の宗教だ(違)。

というか、韓国の水産物禁輸を「武士道」で dis るのも意味不明。
さながら、「世界中の人々は「武士道」の精神を持っていて当然」と言っているかのようだ。
だから、日本の文化に普遍性があるなんて口が裂けても言えないと(略


ちなみに、武士に関しては『斬り取り強盗は武士の習い』という物騒なことわざがあるらしい。
・き@落語・講談によく出ることば(wageiidiom.cocolog-nifty.com)

参考までに、wageiidiom.cocolog-nifty.com『き~』から『斬り取り~』を述べてる部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
【斬り取り強盗は武士の習い】(きりとりごうとうはぶしのならい):人を斬ってその持ち物を盗むということは、古来武士のよくするところであるから恥ずかしいことではないという恐ろしい諺。
ろくでもない浪人者がよく口にするセリフ。
(落語・高田の馬場:「『切盗り強盗武士の習い』などと申して、めったやたらに人を殺傷る、その折受けた傷がな」)
(以下略)
---- 引用以上 ----

「武士道」を一歩裏返せば、暴力と欺瞞に満ち溢れた武士の姿になるってか?(違)


で、ここからは本当に余談。

この1週間、2020年夏季五輪が東京で開催されることに激しくショックを受けていた俺。
その間色々考えたんだけど、俺としては東京での2020年夏季五輪開催を支持するわけにはいかないという結論に至った。
理由としては、この blog で散々五輪招致に反対してきた発言との整合性を取る必要があるのもそうだが、「五輪開催を支持しなければ~」という言説に心の底から頭に来てるってのが大きいかと。
無論、2年前の震災の件や福島第一原発の状況、人種差別を肯定する日本社会の流れも2020年夏季五輪開催を支持できない理由にあるんだけどね・・・。

ちうわけで、今後俺は、日本政府に対し 2020年夏季五輪の開催辞退→イスタンブールに開催権利(?)を譲渡するよう勝手に求める予定。
日本政府がそう簡単に辞退するとは思えないけど・・・。


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