flagburner's blog(仮)

マイナーな話題を扱うことが多いかもしれません。

Did TIFF 2014 disgrace Akira Kurosawa?(Oct 27, 2014)

2014-10-27 20:50:03 | おかしな人たち
今回は衝撃的な画像を紹介する。


先日行われた東京国際映画祭2014(Tokyo International Film Festival:TIFF)のポスターの中に、とんでもないフレーズを持ったモノが存在したらしい。
以下に、そのポスターを紹介した Tweet を(略)

---- 以下引用 ----
モルモット吉田
@molmot

黒澤自身はニッポンに不満たらたらだったことも、お忘れなく。


・2014年10月26日19:40(多分JST)
---- 引用以上 ----

問題のポスターのフレーズを一応文字起こししておく。

---- 以下引用 ----
ニッポンは、世界中から尊敬されている映画監督の出身国だった。
お忘れなく。

Lest we forget; our nation gave birth to some of the world’s most respected directors.
---- 引用以上 ----

お忘れなく・・・。
一体誰に向けたフレーズなんだよ(呆)。

というか、このフレーズには、深刻な問題点が潜んでいた模様。
・東京国際映画祭のキャッチコピーが不快な愛国ポルノであると大きな批判に(2014年10月27日 buzzzap.jp)

以下、2014年10月27日分 buzzzap.jp『東京国際映画祭の~』から中盤部分を(略)

---- 以下引用 ----
(中略)
近年排外主義の裏返しとも言える「日本はすごい!」「日本は世界から愛されている」「世界に尊敬される日本人」のような論調のテレビ番組や書籍が増えており「愛国ポルノ」として批判されていますが、この文章はまさにその愛国ポルノそのもの。

英語の文章のWeが国際映画祭であるにも関わらず日本人に限定されていることはもちろん、日本出身であることを述べるためにour nation gave birth toと「我々の国家」を主語にしています。
完全に国内向けであるならともかく、世界に向けて発信する映画祭でこれをやってしまうとは国際感覚のなさは呆れるばかり。
(以下略)
---- 引用以上 ----

「俺達の言いたいことは世界もわかってる」というノリなんだろうか?


そもそも、故 黒澤 明監督が日本の映画界でどういう扱いを受けてきたかを踏まえても、例のフレーズは問題大アリだと言わざるを得ない。
・世界の黒澤 第三弾 完結編(tv-asahi.co.jp)

1960年代になると日本の映画界は不況になり、映画の制作費も削られる一方だった。
そんな中、故 黒澤監督は、1966年にハリウッドから映画制作の話を持ちかけられるが、脚本作成の段階で制作方針の違いから監督を降板。
その翌年、『トラトラトラ』の制作を20世紀FOXから依頼されるが、故 黒澤監督の撮影方針に反発した20世紀FOXは監督を降板させる。
これに対し、日本国内の反応は・・・。
以下、tv-asahi.co.jp『世界の黒澤~』からその部分を(略)

---- 以下引用 ----
(中略)
結局、黒澤の撮影方法をハリウッド側は理解する事ができず、「ノイローゼ」という偽りの理由で黒澤を降板させたのです。
当時の心境を黒澤はこう漏らしています。

「3ヵ月間も熱中していた作品を取り上げられたら、映画監督は殺されたも同然だ。」

しかしこの相次いだ黒澤の監督降板を、マスコミは必要以上に攻め立てました。
黒澤がハリウッド進出を夢半ばで絶たれたその間に、日本映画界も衰退の一途をたどりました。
高度経済成長の余波で、人々の娯楽は、映画からテレビなど、あらゆるものへ多様化していったのです。
「トラトラトラ」降板から1年。
1970年 黒澤24作目となる「どですかでん」を公開。
貧しくても、誇り高く生きる人々を描いたこの作品は、黒澤自身初のカラー作品であり、絵画を得意とする黒澤によって独特の色彩効果を全面に出し様々な人間像を絶妙に捕らえた作品となりました。
しかしこの映画、公開されるや賛否両論で、中には「黒澤の時代は終わった・・・」などの声も囁かれたのです。
その後、日本映画界から黒澤への監督依頼は来ず、「僕から映画を引いたらゼロだ」と口癖のように言うほど、どん底の状態に・・・。
世界の黒澤は、生活のために、絶対にやらないと言っていたテレビドラマの脚本書きをすることもあったそうです。
撮りたい映画が撮れない、資金が集まらない、日本映画の衰退を自分の責任のように書きたてられる――黒澤は果てしなく苦悩していました。

黒澤 和子さん
「日本の映画界が下火の時代が長かったじゃないですが。それは大きい映画会社とか配給会社とかスタッフとか俳優さんだとか、いろんな問題がいっぱいあったんだけども、その代表みたいにすごく責められちゃうところがあるわけですよね。ものすごくナイーブな人だったし、謙虚な人だったし、プラス映画がすごく大事だったし、スタッフたちがそういうことで食べられなかったり、バラバラになっちゃったり…映画の色んな職人さんの伝統が途切れてしまうとか悲しいことがたくさんあったのね。」

(以下略)
---- 引用以上 ----

その後、故 黒澤監督は長い間日本国内で(映画制作の費用を出してもらえないとかで)冷遇されるハメになる。
それを救ったのは、旧ソ連や(2度も対立した)ハリウッドというのは皮肉というべきか・・・。

いずれにしろ、東京国際映画祭のポスターで例のフレーズを考えた人(あるいは採用を決めた人)は、故 黒澤監督の辿った道について無頓着であるのは否めない。
というより、いつまで故 黒澤監督の遺産に頼るんだって話で・・・。


にしても。

なんで TIFF の中の人は、あんなフレーズを掲載したポスターを採用したんだろうか?


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。