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"Cool Japan" as a political tool to oppress and exclude(Mar 22, 2014)

2014-03-22 21:44:02 | おかしな人たち
立ち上げ以来、お寒い印象を与えてばかりいるクールジャパン(Cool Japan)に関して、妙な動きがあった模様。
何でも、2020年の東京五輪・パラリンピックに向け発信力を強化するため、有識者からなる新たな会議を設けるらしい・・・。
・クールジャパン発信で新会議(2014年3月22日 nhk.or.jp)
・Gov't to promote "Cool Japan" culture campaign for Tokyo Olympics(2014年3月18日 globalpost.com;Kyodo)

だから、「クール」なんて自称するなと何度も書かせるなと(略)
以下、2014年3月22日分 nhk.or.jp『クールジャパン~』を全文(略

---- 以下引用 ----
政府は、アニメや和食といった日本独自の文化の海外への発信力を強化するため、有識者からなる新たな会議を設置し、具体策の検討を進めることにしています。

クールジャパン戦略を担当する稲田行政改革担当大臣は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、アニメや和食といった日本独自の文化の海外への発信力を強化したいとして、有識者からなる新たな会議を設置することを決めました。
メンバーには、デザイナーの太刀川 英輔氏や社会学者の古市 憲寿氏、バイオリニストの葉加瀬 太郎氏ら9人が起用され、来月から毎月会議を開催し、各種イベントでの日本文化の発信方法など具体策の検討を進めることにしています。
会議はインターネットで中継し、視聴者からも意見を受け付けることにしていて、稲田大臣は「クールジャパンはみんなが参加する国民運動として進めていくことが重要であり、双方向性を確保しながら会議を運営していきたい」と話しています。
---- 引用以上 ----

国民運動、か。
クールジャパンに反対する人達を「非国民」なんて呼ぶ展開になる悪寒(違)。
まぁ、稲田氏は、そこまで考えて件の発言をしたかどうか不明だけど・・・。


で、ここからが余談というか本番。

今日になるまで知らなかったのだが、自国の文化についてクールなんて自称するのは、何も日本が初めてじゃなかったという。
実は、1990年代後半、英国ではトニー・ブレア(Anthony Charles Lynton "Tony" BLAIR)首相(当時)の主導による「クールブリタニア(Cool Britania)」という運動が行われていたらしい。
・クールブリタニアをご存知ですか?(2008年8月23日 apalog.com)

参考までに、2008年8月23日分 apalog.com『クールブリタニアを~』から BLAIR元首相が打ち出した政策を紹介してる(略

---- 以下引用 ----
(中略)
・今後のイギリスは「クールブリタニア」を国家のブランドイメージとする。

・イギリスは「若い欲望や活気が渦巻く、多様な文化や未来へのアイデアを生み出す社会」である。

・文化を生み出す担い手やそれを広めるメディアなどを「クリエイティブ産業」と規定し、今後の雇用創出、外貨獲得、観光誘致「クールブリタニア」ブランド形成の最重要産業として育成する。

クリエイティブ産業によって、イギリスから先端文化や人気を博するポップカルチャー、世界の将来を規定するような画期的な研究を発信し、世界に「クールブリタニア」のイメージを広める。

・ブランド形成により、多くの国からの経済投資、観光客、文化関係者移住を誘致し、文化産業・芸術産業のよりいっそうの強化や、観光業・サービス業・工業など各種産業の雇用の創出する。

・イギリスをより多様な文化が共生するエネルギーに満ちた社会に変えることを目指し、もって好景気の持続、失業率低下、高齢化防止などを実現する。

といったものでした。
(以下略)
---- 引用以上 ----

見事なまでに、クールジャパンはクールブリタニカの劣化版と言える。
しかも、元ネタより明らかに悪化してる面が見受けられるのがなんとも・・・。
その辺に関しては、高嶺 格(Tadasu TAKAMINE)氏が2012年12月~去年2月にかけて行った『高嶺 格のクールジャパン』展で示されている。
・抑圧だらけの「クール」に一撃!──「高嶺格のクールジャパン」展(2013年2月6日 ggjapan.jp)
・「高嶺格のクールジャパン」展開催(2012年12月3日 thepublic.jp;展覧会のロゴ画像あり)
・高嶺 格のクールジャパン(arttowermito.or.jp)
・高嶺 格のクールジャパン/ TADASU TAKAMINE’S COOL JAPAN @水戸芸術館(2013年1月28日 mrexhibition.net)

『高嶺 格のクールジャパン』展を観た感想を記した mrexhibition.net の記事によると、高嶺氏が表現したかった」「クールジャパン」は、外国の人達による「日本sugeeeee」という称賛の声と間逆のものだったとか。
以下、2013年1月28日分mrexhibition.net『高嶺 格のクールジャパン~』からその部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
[展覧会のポスターの画像を掲載している]
「高嶺 格のクールジャパン」に話を戻そう。
そうそう、パブリシティのデザインの話である。
アニメ文化のオノマトペ感が骨の芯まで染み渡った世代の人々なら、このレタリングをながめると自ずと、同じ音を内耳に響かせてくださるのではないかと思う。

シャキーン! とか ピキーン! とかいう音である。

シャキーン!もピキーン!も何かが瞬時に凍り付く様子を表すオノマトペであるが、ピキーン!に至ってはものすごく硬くて厚みのある氷がキラリとするような様子を読者に想像させる音である。
この「クールジャパン」の字体はつまり、シャキーンとかピキーンの音が聴こえるようになっており、ものすごく平たく言うと、クロネコヤマトの「クール宅急便」的な字体である。
この展覧会で問題化される「クールジャパン」は、したがって上述したような、海外からちやほやされ愛されてホカホカのクールジャパンではなくて、美術家高嶺 格が自国の問題として、彼の視線を通じて静かに距離をもって観察するクールジャパンなのだと判る。
それは中途半端に冷えているのではなく、凍り付いて溶けないほど「クール」なのである。
(以下略)
---- 引用以上 ----

この「凍り付いて溶けないほど「クール」」の効果が作用するのは、実の所日本に住んでる人達という・・・。
高嶺氏の展覧会の作品は、そのことを痛いほど伝えていた。
以下、2013年1月28日分mrexhibition.net『高嶺 格のクールジャパン~』から終盤部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
まだご覧になっていない方もいらっしゃると思われるし、具体的な展示物についての言及は必要がないかと思う。
何点かだけ、印象や記憶を付け加えさせていただきたいと思う。
隣り合う部屋はしっかりとその二つの世界を隔てながらロジックに強く繋がっており、鑑賞にパワーを要する。

標語の部屋では、すべてが皮肉というよりはむしろ空虚に響いてくるように感じられる。
日本社会はアナウンスや張り紙や標語だ大好きだが、それは言葉にすればするほど真実から離れていき、言えば言うほどそれが決して実現され得ない何かに変わっていく。
よどみなく流れてくるたくさんの標語は、この国にはこんなにもできないことがあったのかと、静かに気がつき納得する。
ガマンの部屋では、人々は色々な理由で色々なものを我慢していることが描き出される。
他者にあるいは自分に色々なニュアンスで「我慢しなさい!」と言われたり言いながら私たちは生きている。
実は、ここで光が当てられるひとつのことは、「我慢しなさい!」と言う人々自身が、さらに何かを我慢しているという冷たい事実だ。
その声は苦痛に満ちていて、くるしい。
じつは、我慢しているのは、そうするよう言われている子供や弱者などではなく、日本社会に属するすべての人がその中に、相対的な上位者も会社もみんなを取り込み、集合的に我慢をしいるような構造をとっている。
それはなぜでそれからどうしようというのか?
自由な発言の部屋は、いつも海外でニコニコしている私たちの他者への攻撃性が非常に工夫された方法で提示されていたのだが、やはりその意味するところのあまりの強さに、ジャパンシンドロームの部屋に辿り着く前に、少しだけ呼吸をととのえる必要があった。

トランジットの部屋に身を置いた時、とてつもなくはっきりしたデジャヴュ感に襲われた。その理由はわからない。
私はこの直後美術館の階段をものすごい早さで駆け上がっていく高嶺さんの姿を目にした。
あまりに驚いて、自分が会釈したかどうかもよく覚えていない。
実はこの日、一時間の滞在が予定されている日であったらしい。
---- 引用以上 ----

クールブリタニカを元にしているとはいえ、日本社会の抱えてる問題点がクールジャパンの大きな構成要素と言える。
ってのを踏まえると、日本政府が提唱するクールジャパンってのは、実の所極めて日本国内の人達に向けた運動なのだろう。
日本政府の方針に従わない人達の抑圧と排除を、文化発信云々というお題目で偽装して・・・。


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