歌よみもどきの書

歌詠み「もどき」のあかんたれが吐き出す、短歌になりきれない五七五七七の羅列です。

極私的出張の記

2012-03-20 | 五七五七七

インサイト満タンにして走りたい走行可能距離の半分

この歌を詠みたる時点で想定せり 家出願望実装の日を

家のみな好む煮豚を作りしが突然プツリと何かが切れり

断りを入れたる夫(つま)に見送られ<ワレイエヲイヅ>二十時過ぎて

あてはなく時もて余すコンビニ前 「お、おう!」と返すメールの来たり

ケータイの電池残量尽きたりて毛布と電源確保を要す

十年(ととせ)前 友から預かる別荘の鍵の存在後光の差せり

使用許可願い送らば理由(わけ)訊かずビールとチーズの在処(ありか)返り来(く)

実母も帰省中の子も夫(つま)も置き<リョウサイケンボ>をダーツの的に

着たきりの木綿単衣は寒からう ウール持ち出し我らしきかな

前夜とは違ふフロント嬢出(いで)てかの地に二連泊の予約叶ひぬ

ゐどころを返信せずとも分からるる顔ささず土地勘ある海辺

どんよりとしたる海こそ癒しなれ 我にも丹後の血の流れたり

(な)と吾(あ)とのあひだに運河のある如し ひとつのボタンの掛け違ひより

平日に岸壁の母・妻のゐし場所に立つ我は<イッタイ ナニ ヤッテンダカ>

この辺の水はしょっぱいはずなどと由良川沿ひを下りて思ふ

海は良し。季節・天気にかかはらず眺むるだけで抱(いだ)かれるやう




奈具海岸ひとり走りて口惜しき 素直な愛車も返事に能はず




寄せ返す波のごとくに続きたる日常といふ大いなる歴史(とき)

いつの日か笑ひ話にきつとなれ 常より高き敷居跨ぎぬ



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