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ビーンの不定期日記

その日の事や思ったことを…

 「思いつき
   いかげん日記」

【父の戦争体験⑦】

2020-10-01 11:02:58 | 日記
私の父は大正4年生まれ。91歳の天寿を全うした。農家の三男として生まれ兵役後そのまま軍隊に残り職業軍人として終戦まで満州に駐留した。中学出の父だったが准尉まで出世し下士官となった。終戦時ソ連軍の捕虜となりシベリアに抑留され昭和24年に帰国。
戦争のことはあまり話したがらない父だったが私(現在64歳)が子供の頃に時々話してくれたいくつかの戦争の話を書き留めておきたい。
戦争体験者が少なくなってきている日本で貴重な体験談を受け継ぎ次の世代に伝えていくことは私達子供の役目ではないかと思う。私は平和主義を蔑(ないがし)ろにする今の日本の風潮に危機感を持っている。
「戦争は絶対してはならない」の立場から父が話してくれた戦争の話をお伝えしようと思う。



【父の戦争体験⑦】

父は自動車の運転が出来た。自分で勉強して免許を取った。軍隊でも自動車を運転した。
或る日、自動車2台で上官を乗せて目的地に向かっていた。先頭の自動車は1番運転の上手い兵隊が運転することになっていた。父は先頭の自動車を運転することが出来なかった。先頭の次の2台目の自動車を運転することになった。
自動車を走らせていると突然敵の戦闘機がやって来て攻撃を受けた。
真っ先に先頭の自動車が狙われた。先頭を走る自動車には1番偉い人物が乗ることを敵は知っているので最初に狙われたのだ。爆弾が落とされ先頭の自動車は跡形もなく破壊された。乗っていた者は皆死んだ。
父の運転する自動車は攻撃から何とか逃げ切ることが出来た。
「俺が運転が1番上手くて先頭の自動車を運転していたら俺が死んでいた」
と父は言っていた。

戦場では何が生と死を分けるか解らない。
いつも死と隣り合わせだ。