もう1つの感性の本棚

書くことを仕事にしている者として、日常をどのような感性で掬い取るか。

きょうの写真棚~格安バスツアー道

2006-11-28 18:36:12 | Weblog
 前日、「街の縁取り45」で伊豆に行ったと書いたが、それはバスツアーに参加してのこと。
 そして、写真は出発日当日の上野公園の光景だ。
 大型バスが数十台、上野公園口の駐車場にびっしり停まり、そこへ電車が着く度に参加者が詰め掛け、バスが出て行く繰り返し。
 この写真を撮った瞬間でも、居合わせたのは千人は下らないと思う。

 東京発着のバスツアーには、かれこれ5年以上前から必ず年に数回参加している。平均すると2カ月か3カ月に1回といった具合。
 以前は、伊勢や京都までの遠距離ツアーにも出掛けたが、数をこなす中で疲労度を知るに連れ、名古屋以西及び北東北には行かないことにしている。また連泊以外にはまず参加しない。

 今回は蓮台寺温泉の蓮台寺荘2泊3日のツアーだった。
 バスツアーのメリットは、やはり安いこと。蓮台寺荘は、昭和初期の建物が残り、山本周五郎が長期滞在し、寝湯という小さな貸切風呂を愛用していたというエピソードでも有名な老舗旅館。
 夕食2回、朝食2回付で料金は、2人で4万5000円程。2人で、ですよ。
 いわゆる休前日ではないカレンダーでの宿泊だが、宿のネット料金を見ても、平日・休日で安くて1泊1人1万6000円程度からとなっている。老舗旅館としては正規としてもリーズナブルだが、単純に宿代だけで1人3万2000円、2人で6万4000円になる。
 東京から伊豆まで、高速バスだと3300円程度から行けるようだから、仮に往復割引で5000円として、フリーで行くとあご足付で1人3万7000円、2人7万4000円になる。大雑把ではあるが、バスツアーだと個人で手配した場合の半額近くになる計算だ。
 しかも酒が呑める。

 こうした格安ツアーの料金体系は、旅館やバス会社による値引き、土産物屋からのキックバックということはよく知られており、安かろう悪かろうの内容のものが少なくないのも事実。
 ただ、今回の蓮台寺荘は、料理の内容、風呂などの施設、貸切風呂の使い勝手(先着順)など、どれもお値打ちと言えるものだった。添乗員の手違いからか、襖一枚で仕切られた続きの部屋を他人同士が使う羽目になり、2泊目には旅行会社に連絡して部屋を変えて貰うというトラブルもあったが、それを差し引いても、お値打ちとの評価は変わらなかった。
 当然、旅館側には老舗になればなるほど、団体ツアー客を受け容れることには複雑なものがあるのだろうが、接客態度も一定水準を保っていた。
 ツアーの評価は、また来たい、個人でも泊まりたいという感想を持てるかどうかだと思うが、その点からすれば内容は良かった。

 長々と自分のツアーの感想について書いたが、感じるのは、バスツアーが年々混み合ってきたということだ。
 冒頭の写真が象徴的で、これから団塊の世代が大量に定年を迎えると、個人でフリーにプランを立てる贅沢なツアーとともに、こうした格安ツアーの市場も拡大するだろう。
 そして、もう1つ。5年前はこうしたツアーでは自分達が常に最も若かったが、最近では20代も混じるようになっている。連れて行ってくれて後はほったらかし、という点が魅力なのだろう。海外ツアーもそう。

 旅や宴会のスタイルが変わり、宿もバス会社も今までのやり方では経営が厳しくなって稼働率を重視せざるを得ず、旅行会社と料金交渉に応じる余地が広がっている結果、格安ツアーも増えるという図式なのだろう。
 市場が拡大すると粗悪な内容も紛れ込むのは間違いなく、必ず当たり外れが出てこようが、要はそれも楽しめばいい。色んなところに出掛けられる、そのためのたくさんではないが、お金と時間があることが最も幸せなのだから。

 例えば、今回の蓮台寺荘の場合、格安ツアーを受け容れても荒れた印象がなかったのは、素人ながら推測するに、旅館としてのノウハウやセンスの問題だろう。こういう宿を選定しているツアーに参加すれば、お値打ち感はさらに上がる。

 さて、次はどこに行こうか。 
  
  




 


 



 


 







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