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セミの初鳴き

2013-07-13 | ガーデン博物記
7月13日。朝7時40分。ブログの管理ページを開いたところで手が止まった。
庭のほうから、変な声が…。 

この記事、実は昨夜書くつもりでいた。それが、ほかの用事を済ませているうちに疲れてきて、「明日の朝でいいかぁ」と、自分に甘えてしまった。連日の猛暑も、僕に言い訳をする余地を与えたようだ。


「あれ、アブラゼミが泣き出した! 今年の初鳴きだ」
昨日の夕方、暑さを倍増させる《ジリジリジリジリ…》という鳴き声が聞こえてきたのだ。
「もうとっくに、近所の公園で鳴いてるよ」と上さん。
「それは、ニイニイ(ゼミ)だろ。これはアブラなの! 鳴き声違うだろ」
「へー。そうなの」
といったやり取りがあったのだ。

僕の確認した、今年のセミの初鳴きは、
5月23日 ハルゼミ   裏高尾
7月 2日 ニイニイゼミ 多摩丘陵
7月 6日 ニイニイゼミ 世田谷
7月12日 アブラゼミ  世田谷
であった。
それをまとめて昨夜書いておこうと思ったらのだが、冒頭のように、今朝
7月13日 ミンミンゼミ 世田谷
というのが加わったのだ。

ハルゼミというのは、5月の連休が明けたころ出始め、6月中旬にはいなくなってしまう。松林に住み、東京周辺ではかなり数を減らしてしまった。多摩丘陵でも、もう15年ほど鳴き声を聞いていない。絶滅してしまったようだ。
この後6月から出はじめるのがニイニイゼミ。
このところ、東京近郊は、ヒートアイランド化しているが、ニイニイゼミの出現は、早まってきている印象はない。


ニイニイゼミの抜け殻 2013-07-09 多摩丘陵


ニイニイゼミ羽化 2010-07-10 世田谷

ニイニイゼミには、ちょっとおもしろい芸当がある。羽化直前に、地表付近まで出てきて、一時的にとどまる煙突状のシェルタを作るのだ。なぜそんなものを作るのか、そして、どれくらいの時間そこで待機しているのかは知らない。しかし、一度だけ、中で待機しているのを見たことがある。こんな泥細工をするせいか、ニイニイの抜けガラは、全身泥が塗りたくられている。

 
ニイニイゼミの煙突状の脱出抗 09-06-09 世田谷         セミの脱出抗 2011-08-23 横浜

アブラゼミやミンミンゼミは、我々にはわからないが、羽化しやすい場所というのがあって、時にほぼ同じ場所で、大量に抜けガラが見られる。この2種は見分けが難しく、触角に生える毛の量と生え方で区別する。老眼が出てきている僕には結構大変な作業だ。


セミの羽化ガラ セミの羽化場所にも一等地があるようだ 2011-08-18 世田谷


ミンミンゼミ(左)とアブラゼミ 201108-18 世田谷

最後に一つ。近年、関東地方でも、クマゼミの鳴き声を聞くようになった。
クマゼミは、もともと西日本に多いセミだ。最近は、何でも温暖化の影響にしてしまうようだが、それは違うと思う。おそらく、樹木の移植時に、根の周りの土と一緒に持ち込まれるのだと思われる。「わし、生まれたのはたしかに大阪やけど、出て来てみたら…。ここ、東京やないけー!」ということなのだろう。

鳴き声だけは目立つが、地下生活の長いセミの暮らしぶりは、わかりにくいものがある。都会のど真ん中でも、樹木さえあれば見られるのがセミだ。脱出抗や、抜けガラを見て、同じ都会者の暮らしぶりを想像してみようではないか。