散歩路地《サンポロジー》      毎日が発見! 身近な自然が見えてくる!


 ☆ 多摩丘陵

 ☆ 世田谷の散歩道

 ☆ ネイチャークラフト

 ☆ 環境学習ゲーム

日本のマチュピチュ、グルメ番組、オシドリ。 

2014-01-15 | 本当かな? 世の常識=自然界の非常識

並んで泳ぐオシドリ 2014-01-10 明治神宮

その日の朝。TVから『日本のマチュピチュにロープが張られ…。』といったフレーズが流れてきました。さるTVコマーシャルで取り上げられ、急速に観光客が増え、事故が起きているということのようです。僕は行ったことが無いのでわかりませんが、冬はかなり危ないということらしいです。
最近の、TVやウェブサイトの影響は実に大きく。何かあると、あっという間に広まってしまいます。いや、何かなくても、商業目的で、あるかのごとく情報を操作している節もあると思うのですが…。

実際、グルメ番組などがあると、その後はとんでもなく人が来るようです。そういう僕も、食べることは大好きで、何度かそういった情報に頼った事はあります。が、しかし、満足が得られたことはほとんどありませんでした。
「なんでこんな情報に群がるのかね?」
もっと自分の感覚で、良い店を見つけろよ。という気持ちは強くあります。あまり知られていない自分の贔屓の店を探そうよと言いたいです。
「インターネットとかで、こんなに情報が流されたら、仕方ないじゃない」と上さん。
確かにそうなのでしょう。

さて、その日僕は仕事の打ち合わせが早く終わったため、帰りに明治神宮に寄ってみました。都内で、学生の実習に使える場所は無いかと、何カ所か目を付けていたのです。
行ってみると、松の内も開けたと言うのに、結構人が沢山いるのに驚きました。
僕は、新宿御苑、井の頭公園、そしてここ明治神宮にオシドリが居ることを知っていました。ここは初めてだったのですが、久しぶりにオシドリでも見て行こうと暗い常緑樹の並ぶ森の中を探して歩いていると、突然広い草地と、池が現れました。そして、初老の男性が二人、池の方を眺めているのです。
「ここで間違えなさそうだ」と思い、彼らの視線を追うと、確かにいました。薄暗い藪上になった場所に、雄が2羽とメスが1羽。しばらく眺めていたのですが、何も動きが無いので、ほかの場所を一回り見てくることにしました。


薄暗い藪状の水面で休むオシドリ 2014-01-10 明治神宮

30分ほど歩きまわって戻ってみると、何やら騒々しいのです。先ほどの二人とは別に何人かの見物者集まっていて、その中の一人が、大きな声で話しかけているのです。
「ここ三脚立てていいのか? 最近オシドリの写真を撮りに来る人が増えて、三脚がずらりと並ぶので、三脚禁止になったんだぞ! だから、俺は、手持ちでもとれる小さいレンズで来たんだ」ということでした。
確かに、野鳥の情報が流れると、一気にファンが集まります。特に最近は、三脚、ボディー、レンズを合わせると悠に100万円を超えるカメラセットを持ったリタイア老人と思わる人がいて、その多さには驚かされます。以前、知り合いのプロカメラマンが、世界で一番高級カメラが売れているのが日本なんだ。それもプロではなくアマチュアが購入者の多くを占めている」と聞いたことがあります。
金額のことはともかく、決して悪いことではないと思います。実にいい趣味だと思うのですが、やや不満もあります。鳥や、自然に強い興味があるのではなく、カメラと言うメカと、コレクター的な撮影に強い関心に留まってしまう方が多いからです。

大声で話していた男性がいなくなると、別の男性が池に向かって何かを投げはじめました。どうやらドングリのようです。最初はオシドリの近くに一個ずつ。おしどりが首を持ち上げると、今度は、自分のいる近くの水面に、関取が土俵に塩をまくようにばバラと巻きました。すると、オシドリが急に泳ぎ出したのです。ありがたいことに、かなり近くに来てくれました。僕は、急遽立ち寄ったために、コンパクトカメラしかもっていなかったのですが、それでもありがたく撮影することができました。


オシドリ 水面に映る自分の姿を眺めているように見えますが、水底のドングリを探しているようです
2014-01-10 明治神宮

帰り道で考えました。日本のマチュピチュも、グルメも、オシドリも、みな同じ社会現象ではないだろうかと…。そして、同じように自然情報を発信している僕自身も、その現象を構成する、いや積極的進めている一人なのではないかと…。
すぐには答えが出てきません。しばらくの間は、霧のかかった視界を進むことになりそうです。

兄島瀬戸から兄島を望む 小笠原レポート②

2013-08-24 | 本当かな? 世の常識=自然界の非常識
昨夜の小笠原のレポート第1弾では、いきなり暗い話になってしまった。
今日は、まず小笠原の美しい海から紹介しよう。 海の色はこんな色。

兄島瀬戸(長崎展望台付近から) 2013-08-19 小笠原父島

とまあ、美しい。
ここは、父島と兄島に挟まれた兄島瀬戸と呼ばれる海峡で、流れが早いらしい。以前、ここで、ザトウクジラの親子が通過するのを見たことがある。あまりの流れの速さに、仔クジラが、なかなか前へ進めず、親クジラが後ろから押し出すようにしていたのを思い出す。


ザトウクジラの親(潮吹き)と仔クジラ(右) 2012-02-05 小笠原父島 兄島瀬戸

動画の一部を切り取ったため、画質は良くないが、大小2頭いるのはわかっていただけると思う。
ついでだが、2枚の写真を比べ、夏と冬の海の色の違いもよくわかっていただけると思う。これは、画質の悪さのせいではなく、本当に全然違うのだ。海の美しさを堪能するなら、夏でなければ意味はない。

さて、ザトウクジラは、冬期、小笠原近海を訪れる。仕事の関係で、僕は毎年2月には必ず行くのだが、父島から母島へ渡る母島丸は、ほとんどクジラウォッチング船のようだ。僕の経験では、この時期にクジラが見られなかったことは一度もない。それどころか、多い時には15頭も見たことがある。ただ冬は、波が高く船が揺れるため、望遠で写真を撮るのは大変だ。

今回は、仕事の最終日の午後やっと時間が取れたので、このきれいな瀬戸に面した、宮の浜でスノーケリングをした。あいにく、沖縄の方で発生した台風の影響か、かなり海がうねりだし、急に濁りだしてしまった。地元の友人に聞くと、「昨日までは、最高だったのにね。今日は調子悪いわ」とのことだった、さらに後から来たメールには、「宮の浜で、毎日潜っている友人の話では、昨日は、今年最悪の状況だといっていました…」とのことだった。目標にした生き物は見られない。最悪の日にしか潜れない。どうも今回の小笠原はツキに見放されていたようだ。

最後に、兄島瀬戸と、その向こうに浮かぶ兄島の姿を紹介して、多少良い気分で締めくくる事にしよう。この島にアノールが渡ってしまったというのだが…。しまった、また暗い話をしてしまった!


兄島(長崎展望台付近より。手前は兄島瀬戸) 2013-08-19 小笠原父島

グリーンアノールと大人買いの観光客 小笠原レポート①

2013-08-23 | 本当かな? 世の常識=自然界の非常識

小笠原父島 大神山公園からの360度パノラマ写真 2013-08-21

昨夜、小笠原から帰ってきた。前回のブログで、「明日から小笠原…。請うご期待」などと書いてしまったが、全く何も書かなかった。まずはお詫び申し上げます。
まあ、色々諸般の事情がありまして…。ご勘弁を。

さて、基本的に仕事なので、あまり自由にならないという事情はあるのだが、それでも、いくつかの目標を持って出かけていた。たとえば、ウスイロコノマチョウと、ウスキシロチョウを見つけること。オガサワラオオコウモリの撮影をしてくること。などなどだ。ところが、これらの目標は、何一つ達成できなかった。

実は、小笠原には、昆虫はほとんどいない。いや、小笠原にはというのは間違えで、父島、母島には、というべきであろう。小笠原で人が住んでいるのはこの二島だけである。
人がいるから昆虫が少ないというのは、半分当っている。というのは、人そのものではなく、人が持ち込んだグリーンアノールというトカゲ(イグアナの仲間)のせいで昆虫がいなくなたということなのだ。
このトカゲが持ち込まれたせいで、次々に虫が食われ、ある昆虫の先生の言葉を借りると、「母島の昆虫は、アノールが入る前と比べると、100:0になった。」とまで言うのだ。100:1ではなく0である。つまり以前の1%にも満たない数になったということだ。いわゆる虫屋さんといわれる人(昆虫マニアなど)からすると、この気温で、これだけの緑があり、虫が居ないという状況に、とてつもない違和感を感じるのだ。実際、山の中を歩いてみても、ほとんど蚊にも刺されず、クモの巣に絡まれることも少ないのだ。それほどまで昆虫が少ないということだ。


グリーンアノール 2008-10-12 小笠原母島       野ヤギ 2013-08-19 小笠原父島

世界遺産になったことなどもあり、現在このアノールや、クマネズミ、ネコ、ヤギなど、在来種に影響を与える、侵入種の駆除を進めているが、アノールクラスの小型の生物を根絶することは不可能だろう。それどころか、今年になってから、父島の隣にある兄島に、アノールが入ったという報道がなされた。「ああ、これで兄島もおしまいだ。」小笠原の自然を知る多くの人はそう思ったに違いない。

僕は、小笠原に通いだして11年目になる。世界遺産登録後は、客層がかなり変わった。地元の人と話していると、僕らでは手が出せないような高級なマンゴーや、工芸品を大人買いする客も増えたという。宿、お土産、体験プログラムなど、いわゆる観光業に従事する人たちには、ちょっとしたミニバブル状態だが、外来種の駆除などに奮闘する地元の方々は、かなり苦労しているようだ。

単に、多くの人が来て、お金を落として行ってくれるだけでいいのだろうか。ここに示したような事情を理解して、一緒に考えてくれるような振興のあり方が考えられないのだろうか…。






ガンダムの欠点は右膝!?

2013-06-29 | 本当かな? 世の常識=自然界の非常識
昨日は、お台場へ行ってきました。
そこに作られた、大きな緑地を見に行ったのです。
待ち合わせはガンダムの前でした。

待ち合わせ時間の10分前、僕はガンダムを見上げていました。
そした思ったのです。 「これは、スズメや、ドバトが喜びそうだ!」



人間に見守られ、かつ、適度な間があり、たくさんの窪みがある構造。岩棚や、穴の中に巣をつくる鳥にとっては素晴らしい居住地ではありませんか。


中国語や、ハングル、英語が飛び交う中、しばらく眺めていると、スズメが飛んで来て、右足の陰に消えたのです。
僕の見ていた場所からは見にくかったので、回り込んでみると…。
いまし、いまし。スズメが飛び出してきたではありませんか。ガンダムの右膝から!


右ひざの内側の黒い部分から出入りしている。

 
アップで見ると、スズメが顔を出し、辺りをうかがっている。

右ひざからは、持ち込まれた巣材がはみ出し、ぶら下がっています。何度も何度も出入りする様子から、まさに、仔育ての真っただ中なのでしょう。

最近、スズメが減ってきたような印象があります。しかし、ここお台場には、結構な数が居るのです。
ちょっとベンチに座れば、すぐにスズメが近づいてきて、こちら(人間)の動きをうかがっています。おそらく、弁当でも広げるのではないかと思っているようです。ここのスズメは、観光客から餌をもらうことにも慣れているのでしょう。

餌がもらえ、良い住まいがある。
そりゃ、スズメも増えることでしょう!!


ベンチのそばに近寄ってきたスズメ 2013-06-28 お台場

梅雨、アジサイ、カタツムリ。 これはウソです!! ・・・か?

2013-05-29 | 本当かな? 世の常識=自然界の非常識
またまたカテゴリーを追加しました。
フィールドワーカーの僕は、雨の多い時期や、冬季は、フィールドへ出る機会が減ります。そこでそんな時にも、ブログをアップできるコーナーを作っておくことにしました。
世の中で、自然に関して信じられていることが、実は間違っているということなどがたくさんあります。しかし、それをTVなどの放送で、まことしやかに流されたのでは、黙っていられません。おじさんは怒ってしまいます。しかし、怒りを強くし過ぎないように、このコーなだけは、です・ます調で書くことにします。

さて第一回は、アジサイとカタツムリです。
梅雨。アジサイ。ときたら、カタツムリはつきものです。しかし、1週間ほど前のTV番組内で、こんなシーンがありました。

「この絵の中に、間違いがあります。それは何でしょう。」というものでした。そこに示された絵は、まさに、雨の中、アジサイの葉の上にカタツムリがいるというものでした。そして、「実は、これ(カタツムリ)が間違いなのです」というのです。
「アジサイにカタツムリ、よく目にする光景ですが、アジサイに、カタツムリは付かないのです」と言うではありませんか。僕はかなり驚きました。「いったい何を言い出すのだ…。」すると「実は、アジサイには、青酸カリに似た猛毒成分があるため、アジサイにはカタツムリは付きません」というのです。

アジサイに有毒成分がある事は僕も知っています。カタツムリを専門で研究したわけではありませんが、カタツムリがアジサイを食べているのは、見たことがありません。しかし、アジサイの葉の上をカタツムリが這っている。あるいは、葉に張り付いているシーンは、ごく普通に見られます。ちなみに、アジサイの葉が食われてボロボロになっているのをよく目にしますが、それは、ハバチ類の幼虫が食べたものです。
毒がある→だから食べない→だからアジサイにカタツムリは付かない。という構図は、かなり無理があるようです。

僕の見たTVの放送では、どこで、どう間違えたのか無理な構図を盲目的に信じた、あるいは、ほとんど知識の無いアナウンサーが、わからないうちに、誤った表現の仕方をしてしまった。ということなのでしょうか。
しかし、実際にフィールドに出てみれば、当たり前に見るのですから。とにかく、ちゃんと見ている人の話を聞きましょうよ!

最後に、今日僕が仕事に行く途中で見付けた、アジサイについたミスジマイマイの写真を載せておきましょう!