散歩路地《サンポロジー》      毎日が発見! 身近な自然が見えてくる!


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シジミとツバメ

2013-08-31 | 僕の散歩道
シジミとツバメ。
このタイトルを見て、昆虫をやっていた人なら、すぐにピンとくる。
もちろん蜆(貝)と燕(鳥)ではない。

8月30日9時45分。東京は、18日ぶりに猛暑日になるという予報を聞きつつ、家を出る。明後日には、台風の通過が予想されるため、台風前のデータをちゃんと取っておこうと思ったのだ。
最初の1.3kmほどは、花のたくさん咲く公園と住宅地の中。この区間は、いつもよりチョウの数が少かった。前回、前々回と比べ、半分以下だろう。しかし、カウントをしている樹林脇に到着すると、急にその数が増した。その後も、樹林地を中心にかなりの数がみられ、終わってみれば、前々回記録した、今期の最多出現種数と同じ21種が記録された。

かなりの種類が確認でき、気持よく終わろうとしていた最後のポイントで、思いがけないチョウが現れた。
そこは、樹液酒場として何度か紹介した、砧公園の中の樹林地。樹液にたかる14頭ものオオスズメバチのすぐ脇をそっと抜け、アズマネザサに止まって休むたくさんのサトキマダラヒカゲを飛び立たせ、樹林から出ようとした時のことだ。すぐ先で、黒い小型のチョウが飛び立った。今年は、樹林の自然度をジャノメチョウ類で評価する試みをしているため、すぐに、「コジャノメか!?」と力が入った。小型のジャノメチョウは、ここら辺ではすべてヒメジャノメ。多摩丘陵のような里山に行くとコジャノメが現れる。それが、ここ砧公園で出現ということになれば、それは大きなトピックとなる。

 
ヒメジャノメ 2011-08-25 世田谷           コジャノメ 2008-06-11 多摩丘陵

すぐ先のアズマネザサの葉の上に止まったのを確認して、僕は双眼鏡を眼に充てた。

双眼鏡の中の黒いチョウには、小さな尾状突起が見えた。
尾状突起というのは、アゲハチョウに代表されるように、ツバメの尾羽のように、チョウの後翅の下端にある、小さな突起のことだ。この突起、ジャノメチョウ類にはない。僕の頭は一瞬混乱した。



ムラサキツバメ 2013-08-30 世田谷(砧公園)

そのチョウは、ムラサキツバメという名のチョウであった。
マテバシイで繁殖するこのチョウは、最近東京都内に定着しつつある。本来は、マテバシイの分布する、日本の南岸暖地に生息するのだが、マテバシイが、公園の植栽や街路樹に数多く植えられたこと、そして、近年の温暖傾向で、分布が拡大しているといわれている種だ。

世田谷区内において、最初にこのチョウを見つけたのは、2009年の晩秋であった。
同じく、砧公園の野鳥観察舎でのことだ。そろそろ越冬チョウが来はじめているかなと、観察窓を覗き込んだ。すると、左手の樹林から、小さなチョウが直線的に飛んで来て、眼の前5mほどところに植えられているサザンカに止まったのだ。
僕は慌てて、カメラを取り出し、撮影を始めた。周囲に居た野鳥ファンは、いったいどんな珍しい鳥が来たのだろうかと、僕のカメラの先を一生懸命探した。だが、見つかるはずはない、まさか僕が、3㎝程しかない小さなチョウを撮っているとは思わないだろう。コンパクトカメラしかなかったため、この距離では、満足のゆく写真は撮れなかったが、僕は、周囲の目を避けるようにさっさとその場を離れた。
その後の、野鳥ファンの方々は、何があったのかわからないまま、さぞ混乱したことだろう。

次に見たのも、砧公園。こちらは、昨年の7月。ムラサキツバメが繁殖していないかと、マテバシイを見て回った時のことだ。予想通り、マテバシイの孫生え(ヒコバエ)に、卵を見つけることができた。


マテバシイの孫生え:木の根元付近から伸びた若い枝 2012-07-13 世田谷 砧公園

 
ムラサキツバメ卵 2013-07-13 砧公園  野鳥ファンを混乱させたムラサキツバメ 2009-11-23 砧公園

その後、このヒコバエは、刈り取られてしまった。こういった枝がぼうぼうと延びるのは、景観上良くないとのことだった。管理の行き届いた公園は、虫たちには厳しいものがあるようだ。

以上がツバメの話し。続けてシジミの話しを書こうと思っていたのだが、長くなってしまったので、明日にさせてもらうことにする。
今日は猛暑の中、これからフットサルをやりに行きたいので! すみません。

 

秋の兆し。チョウの季節からドングリの季節へ。

2013-08-28 | 僕の散歩道
「世田谷には、本当にたくさんの虫がいるな」これが素直な感想だ。
昨日、小笠原から帰って、初めて散歩をした。花のきれいな公園では、たくさんの種類のチョウやハチが飛び回り、樹林に入ると、たちまち蚊に襲われる。小笠原では、こんなことはほとんどない。とにかく飛び回る虫は、ウスバキトンボと、アゲハチョウくらいのものなのだ。

林の中の道を行くと、7,8mほど先に、丸みのある三角形のフォルムが低木の葉先に見えた。まるでギターのピックのような形は、間違えなくムラサキシジミだ。写真を撮ろうかと一瞬迷った。内側は美しいルリ色の紋が入るが、外側(裏側)はほぼチョコレート色だ。

一応メモ代わりに撮っておこうと思い近づいた。息を詰め、デジカメを向ける、ピントが合った途端チョウが飛び立った。散歩の時は、ほとんどコンパクトカメラなのでフォーカスが遅い。一眼レフと比べ、ほんの1,2秒のものなのだが、この間にチョウが飛んでしまうといった経験をされた人は多いと思う。
気を取り直して、飛び移った先へ移動し、再び挑戦。またもや、同じことが…。 3回目の挑戦を試みたところ、今度は、脇から飛び出したナミヒカゲに気を取られ、その間に見失ってしまった。

結局縁がなかったものと、次のポイントへ移動しようとしたら…。居るのだ。すぐ脇のツユクサの上に、しかも翅を開き加減にして、ルリ色の美しい衣装を見せてくれている。そっとカメラを向けシャッターを押した。今度は飛び去りはしなかった。「さあ撮って。さっきはごめんなさい、まだ化粧してなかったから写真はNGだったの。」とでも言っているかのようだった。


ムラサキシジミ 2013-08-27 世田谷

その直後には、ヒメウラナミジャノメがちらちら飛び出した。
このチョウ、何度も見ていたのだが、先日チェックしたら、僕のライブラリーでは、世田谷での撮影記録がないと分かったものだ。こちらもカシャッ。なんだか調子がいい。やっぱり世田谷の散歩は楽しい。


ヒメウラナミジャノメ 2013-08-27 世田谷

散歩も終盤に差し掛かる。
大きな公園にの石段を行くと、緑のドングリが付いた、コナラの小枝がいくつも落ちていた。急に思い出した、小笠原に行く前に、クヌギで同じような状況を見ていた。

 
道ばたに散乱するコナナ(左)の小枝 2013-08-27 とクヌギの小枝 2013-08-15 共に世田谷

これは間違えなくハイイロチョッキリの仕業だ。体長1㎝程の小さな虫で、口先が長く、全身毛むくじゃらだ。
小枝をを拾い上げると、その切り口は、ボサボサ。如何にも何かが食いちぎったという感じ。そして、ドングリの方を見ると、その帽子の部分に小さな穴がある。ここが産卵抗で、細長い口先で穴を掘る。そして中に卵がうみつけられているというわけだ。

 
ハイイロチョッキリ 2010-07-10 世田谷       コナラの小枝の切り口 2013-08-27 世田谷


コナラのドングリに空けられた穴(産卵抗)跡 2013-08-27 世田谷

ドングリを拾ってくると、中から幼虫が出てきたという体験をした人は多いと思う。その正体は、この虫だったのだ。中で育った幼虫は、どんぐりの殻を食い破り、外へ出て、落ち葉の下などで蛹になる。そして、翌年に羽化するというものだ。
でも、このドングリ虫すべてが、ハイイロチョッキリというわけではない。良く似た、コナラシギゾウムシ、あるいはクヌギシギゾウムシも、同じようにドングリに産卵する。ただし、こちらは、ドングリに穴を開け卵をうみつけるまでは、同じだが、その後、枝を切り落とさない。秋に自然落下するまで放っておくというわけだ。だから緑のドングリが小枝ごと落ちていれば、ハイイロチョッキリということになる。

チョウの楽しい季節は、あと一月ほど、しかし、その途中からは、ドングリの季節に突入する。忙しそうな秋を予感させる散歩だった。



 
 


アサヒエビネ 小笠原レポート③

2013-08-25 | フィールドノート(その他)
今日は、ちょっと忙しい。小笠原に行っていて、その他の仕事が停滞している。
今回は時間がないので、小笠原で見てきた植物の中から、アサヒエビネを簡単に紹介する。

 
アサヒエビネ 2013-08-21 小笠原父島 大神山公園

小笠原にしかない貴重なエビネ(ラン)で、父島の旭山で確認されたことからその名が付いたという。しかし、盗掘に会い、野性状態のものはほとんどなく、現在見られるのは、保護増殖を進め、移植されたものだということだ。
やはり、小笠原の自然を脅かすのは、ヤギでも、ネコでも、アノールでもなく、我々人間ということのようだ。


兄島瀬戸から兄島を望む 小笠原レポート②

2013-08-24 | 本当かな? 世の常識=自然界の非常識
昨夜の小笠原のレポート第1弾では、いきなり暗い話になってしまった。
今日は、まず小笠原の美しい海から紹介しよう。 海の色はこんな色。

兄島瀬戸(長崎展望台付近から) 2013-08-19 小笠原父島

とまあ、美しい。
ここは、父島と兄島に挟まれた兄島瀬戸と呼ばれる海峡で、流れが早いらしい。以前、ここで、ザトウクジラの親子が通過するのを見たことがある。あまりの流れの速さに、仔クジラが、なかなか前へ進めず、親クジラが後ろから押し出すようにしていたのを思い出す。


ザトウクジラの親(潮吹き)と仔クジラ(右) 2012-02-05 小笠原父島 兄島瀬戸

動画の一部を切り取ったため、画質は良くないが、大小2頭いるのはわかっていただけると思う。
ついでだが、2枚の写真を比べ、夏と冬の海の色の違いもよくわかっていただけると思う。これは、画質の悪さのせいではなく、本当に全然違うのだ。海の美しさを堪能するなら、夏でなければ意味はない。

さて、ザトウクジラは、冬期、小笠原近海を訪れる。仕事の関係で、僕は毎年2月には必ず行くのだが、父島から母島へ渡る母島丸は、ほとんどクジラウォッチング船のようだ。僕の経験では、この時期にクジラが見られなかったことは一度もない。それどころか、多い時には15頭も見たことがある。ただ冬は、波が高く船が揺れるため、望遠で写真を撮るのは大変だ。

今回は、仕事の最終日の午後やっと時間が取れたので、このきれいな瀬戸に面した、宮の浜でスノーケリングをした。あいにく、沖縄の方で発生した台風の影響か、かなり海がうねりだし、急に濁りだしてしまった。地元の友人に聞くと、「昨日までは、最高だったのにね。今日は調子悪いわ」とのことだった、さらに後から来たメールには、「宮の浜で、毎日潜っている友人の話では、昨日は、今年最悪の状況だといっていました…」とのことだった。目標にした生き物は見られない。最悪の日にしか潜れない。どうも今回の小笠原はツキに見放されていたようだ。

最後に、兄島瀬戸と、その向こうに浮かぶ兄島の姿を紹介して、多少良い気分で締めくくる事にしよう。この島にアノールが渡ってしまったというのだが…。しまった、また暗い話をしてしまった!


兄島(長崎展望台付近より。手前は兄島瀬戸) 2013-08-19 小笠原父島

グリーンアノールと大人買いの観光客 小笠原レポート①

2013-08-23 | 本当かな? 世の常識=自然界の非常識

小笠原父島 大神山公園からの360度パノラマ写真 2013-08-21

昨夜、小笠原から帰ってきた。前回のブログで、「明日から小笠原…。請うご期待」などと書いてしまったが、全く何も書かなかった。まずはお詫び申し上げます。
まあ、色々諸般の事情がありまして…。ご勘弁を。

さて、基本的に仕事なので、あまり自由にならないという事情はあるのだが、それでも、いくつかの目標を持って出かけていた。たとえば、ウスイロコノマチョウと、ウスキシロチョウを見つけること。オガサワラオオコウモリの撮影をしてくること。などなどだ。ところが、これらの目標は、何一つ達成できなかった。

実は、小笠原には、昆虫はほとんどいない。いや、小笠原にはというのは間違えで、父島、母島には、というべきであろう。小笠原で人が住んでいるのはこの二島だけである。
人がいるから昆虫が少ないというのは、半分当っている。というのは、人そのものではなく、人が持ち込んだグリーンアノールというトカゲ(イグアナの仲間)のせいで昆虫がいなくなたということなのだ。
このトカゲが持ち込まれたせいで、次々に虫が食われ、ある昆虫の先生の言葉を借りると、「母島の昆虫は、アノールが入る前と比べると、100:0になった。」とまで言うのだ。100:1ではなく0である。つまり以前の1%にも満たない数になったということだ。いわゆる虫屋さんといわれる人(昆虫マニアなど)からすると、この気温で、これだけの緑があり、虫が居ないという状況に、とてつもない違和感を感じるのだ。実際、山の中を歩いてみても、ほとんど蚊にも刺されず、クモの巣に絡まれることも少ないのだ。それほどまで昆虫が少ないということだ。


グリーンアノール 2008-10-12 小笠原母島       野ヤギ 2013-08-19 小笠原父島

世界遺産になったことなどもあり、現在このアノールや、クマネズミ、ネコ、ヤギなど、在来種に影響を与える、侵入種の駆除を進めているが、アノールクラスの小型の生物を根絶することは不可能だろう。それどころか、今年になってから、父島の隣にある兄島に、アノールが入ったという報道がなされた。「ああ、これで兄島もおしまいだ。」小笠原の自然を知る多くの人はそう思ったに違いない。

僕は、小笠原に通いだして11年目になる。世界遺産登録後は、客層がかなり変わった。地元の人と話していると、僕らでは手が出せないような高級なマンゴーや、工芸品を大人買いする客も増えたという。宿、お土産、体験プログラムなど、いわゆる観光業に従事する人たちには、ちょっとしたミニバブル状態だが、外来種の駆除などに奮闘する地元の方々は、かなり苦労しているようだ。

単に、多くの人が来て、お金を落として行ってくれるだけでいいのだろうか。ここに示したような事情を理解して、一緒に考えてくれるような振興のあり方が考えられないのだろうか…。






世田谷のチョウ相 2013年 春~夏編

2013-08-15 | 僕の散歩道
仕事が忙しく、このところフィールドへ出ていない。というのは口実で、この暑さに、心がなえていた。
実は、明日より一週間、小笠原へ出張する。東京から南へ約1000kmも行くのだが、最高気温は、ほぼ30~31度程度。もう種の東京から南の島へ避暑に行くということになりそうだ。

8月15日。というわけで、このままでは2週間も間が空いてしまうと思い、一念発起、暑さの中を散歩に出かけた。
暑いとわかってはいるものの、やはり暑い。とりあえず最初のポイントへ向かう。

「しまった!」これが最初の感想だ。チョウ相が、明らかに変わっている。まず、やたらとイチモンジセセリが多い。そろそろ増えるはずだとは思っていたが、このタイミングか…。せめて3日ほど前に確認しておくべきだった。

  
イチモンジセセリ とにかく沢山いた いずれも2013-08-15 世田谷

それから、キアゲハがやけに目立つ。冷房の利いた部屋から庭を見ていて、キアゲハが居るなとは思っていたが、歩いてみると、明らかに多い。それに、ルリシジミ。小さなシジミはほとんどヤマトシジミだったのに、今日は、同じくらいいる。


キアゲハ 2013-08-15 世田谷           ルリシジミ 2013-08-15 世田谷

ふと気が付くと、今日はあまりにもたくさんのチョウが出ている。一言で言うと、この季節に普通に見られるチョウが、もれなく出ているということだろうか。あとは、タテハチョウ科のチョウが出れば、ほぼパーフェクトだ。
そう思いながら歩き、最後の砧公園付近に来ると、出るは、出るは!ちゃんと残りのチョウが姿を現してくれた。


サトキマダラヒカゲの交尾 2013-08-15 世田谷   モンシロチョウ 2013-08-15 世田谷

終わってみると21種類。一応出現種のリストを示しておこう。

2013年8月15日 9:40~11:50 出現種 世田谷区(瀬田、岡本、砧)
アゲハチョウ科 ナミアゲハ、キアゲハ、ナガサキアゲハ、クロアゲハ、アオスジアゲハ
シロチョウ科 モンシロチョウ、モンキチョウ
シジミチョウ科 ヤマトシジミ、ルリシジミ、ベニシジミ、ウラギンシジミ、ムラサキシジミ
タテハチョウ科 ツマグロヒョウモン、コミスジ、ルリタテハ、アカボシゴマダラ
ジャノメチョウ科 ヒメジャノメ、ナミヒカゲ、サトキマダラヒカゲ
セセリチョウ科 イチモンジセセリ、キマダラセセリ
 ※ジャノメチョウ科は、最新分類では、タテハチョウ科に統合している。


である。あえて抜けている種を上げるなら、キチョウと、ゴマダラチョウくらいだろう。
4月12日から始めた今シーズンのチョウの調査。これまでは7月6日に記録した17種が最高であった。その後12種程度で推移していたが、今回21種。これで小笠原から帰ってみると、どうなっているのだろう…。
最後に、今日までの調査記録の中から、種数の変化のグラフを示しておこう。



明後日の昼には、小笠原の父島に着く。なんとか、向こうから、記事を書いてみよう。
それでは、小笠原通信をお楽しみに!

ちょっと地味ですが…。 クロバネツリアブ・ビロードツリアブ

2013-08-08 | 僕の散歩道
このところ猛暑で、あまり外を歩き回っていない。
その上、自分の集中力も低いためか、歩き回ってもたいした成果が上がらない。――困ったもんだ…。
7月4日。いつもの散歩道でのこと。4日も前の話題だが、こんなときでないと、なかなか紹介することができないツリアブの話。――何せ小さく地味なもんで。

この日、草の上に黒光りする物体を発見。近づくと無重力的に「ふっ」と浮き上がった。しばらく目で追っていくと、1m程先の草の上に着地。アブの仲間だとは見当が付いたが、写真を撮り、家で調べるまで知らなかった存在の虫しだ。その名はクロバネツリアブというものだった。


クロバネツリアブ 2013-08-04 世田谷

クロバネと付くだけあって、確かに翅が黒いが、黒光りした金属光沢が美しい。ただ、頭の中でイメージするアブと比べると、翅の付く位置が後ろで、なんだか不格好に見える。

ちなみに、アブの仲間はハエ目に分類され、以前は双翅目といわれる名前で呼ばれていた。昆虫の特徴は、確か小学校で習ったはずだが、体が、頭・胸・腹の三つに分かれ、脚は6本。そして翅は4枚である。しかし、この仲間は、双翅目の名のように翅が2枚しかない。後翅は退化して、小さな板状あるいは痕棒状になって、ほとんど見えない。ちなみに、ハエ、アブ、カなどが同じ双翅目の昆虫で、人間にあまり良い印象を与えない虫たちが多い。

ツリアブのツリとは、この虫がよくホバーリングすることから、まるで吊り下げられているように見えるからだと聞く。つまり吊虻が語源ということらしい。
地味な仲間で、種類もあまり多くないが、春先によく見られ、ビロードツリアブは、ちょっとかわいらしい印象を与えてくれる。

 
ビロードツリアブ 左:葉上に静止 2011-04-06 高尾山  右:ホバーリング 2011-04-14 多摩丘陵

来週末からは、仕事で1週間小笠原に出かけてくる。東京の南約1000㎞に位置する亜熱帯の島だが、このところの気温を調べると、最高気温は30度程度で、東京より断然涼しい。南の島に避暑に出かけるといったことになりそうだ。
それまでの間に、もう1、2回猛暑の東京を見て歩くことにしよう。

ギンヤンマ産卵

2013-08-05 | 僕の散歩道
8月4日。先日に引き続き、ギンヤンマの産卵を確認。翅の模様などから、先日とは異なる個体。
まだ、水位は高く、ヨシなどが水没したままのため、ギンヤンマには絶好の産卵地と化している。

 
ギンヤンマの産卵 上:2013-08-04 下:2013-7-30 仙川(世田谷)

今回は、動画も撮ってみた。メスが尾の先で、産卵対象を探っている様子がよくわかる。


ギンヤンマの産卵(動画) オス(左)とメス 2013-08-04 仙川(世田谷)

この他にも、もう少し上流まで含め、縄張りをパトロールするオスが3頭確認できた。
三面護岸で、水面まで距離はあるが、双眼鏡などを持参すれば、しばらくは楽しめる場所になた。