日本人の知らない日本語

　自分でも特にこだわりを持ったわけでもなく何となく買って読んだ本が、後になってにわかにベストセラーになったことはありませんか？
庵主はとても読書家というにはふさわしくない者ですが、意外とそんな例が多いほうです。

　そんな最近少し話題になっている本の一冊に「日本人の知らない日本語」というのがありまして、知らないうちに情報番組や新聞の書評コーナーなどで紹介され、けっこう知名度が上がっていたので正直びっくりしている次第であります。

　ちなみに庵主がこの本を手にしたのは過ぐる３月の半ば過ぎ頃、ちょうどあの高熱と強烈な倦怠感に悩まされた風邪でダウンしていた辺りのことです。仕事を数日休み、体調が徐々に好転しかけてちょうど何か暇な時間に読みたいと思い、病院帰りにたまたま立ち寄った書店の新書コーナーに並んでいたのを見つけ、軽く立ち読みしたら面白かったので購入したのでした。

　内容はと申しますと、実際に就学・就労などを目的として来日した外国人に日本語を教える日本語教師の方（女性）の現場での体験談を、かわいらしいイラストを添えてエッセイ風にしたもので、基本的には日本語についての外国人の素朴な疑問点だとか多様な反応ぶりを描きつつ、「母国語として日々接しているはずの我々日本人でも意外と知らない日本語の豆知識（言葉の由来や範例）や用法（敬語表現や物の数え方etc…）」などを、分かりやすく解説するミニコーナーなどもあってかなり役に立ちます。しかし語学系のかたっくるしさも感じない全体的な柔らかさのせいか、国語が苦手という方であってもたぶん軽く読み通せるはずの面白い本です。

　いつも時代劇口調の女性やらアルバイト先で使われる専門用語の意味をしょっちゅう質問してくる男性など、話の中に出てくる個性的な外国人の皆さんもツッコミどころ満載なエピソードばかりでかなり笑えます。
また同時に、その外国人さんたちが接した母国と日本の慣習や言葉の意味の違いなども逆に学べると思うので、そちらでもだいぶお役立ちです。
　どなたもきっと読んだ後に「嗚呼、日本語学校って面白そう。なんか行ってみたいかも…」とか思っちゃうんじゃないかと…
　
　今だとどこの地域の大きな書店にでもベストセラー書籍扱いで並んでいると思います。興味のある方は一度パラパラと読んでみてはいかがでしょう？