益田森林・林業普及情報

島根県西部農林振興センター 益田事務所

松くい虫に強いマツはどうしてつくったの?

2006年03月14日 | 森づくり
 島根県での松くい虫に強いマツの選抜概要は次のとおりです。
 はじめに、16年生以上のマツ林で90%以上が松くい虫被害で枯れた林において、生き残ったマツの枝を取り、接ぎ木で増やしました。(昭和63年~平成3年)


 苗木に接ぎ木をしたところ

 次に、接ぎ木が成功した苗にマツノザイセンチュウ(マツを枯らす線虫)を2回接種し、生き残ったものを松くい虫に強い木とします。枯れずに残る確立は3%以下といったところでしょうか。(平成2年~平成6年)

 
  線虫を接種したところ

 島根県では、この方法でアカマツ25クローン、クロマツ9クローンを選抜するのに7年程度かかっています。(当初の昭和63年~平成6年まで)
 試験で生き残った接ぎ木苗を大きくし、枝を取り更に接ぎ木で増やし、松くい虫に強いマツの採種園(種を取るところ)を造成します。当初の枝を取り接ぎ木をするところから採種園造成まで15年程度はかかります。

   
    接ぎ木痕
 (幹の中程の樹皮が違うところ)

 さらに、採種園でマツが大きくなり、種が採種できるまでに5年程度かかりますので、松くい虫に強い木を作ろうと思ってから、松くい虫に強い苗木を普及させるには、20年程度は必要ということなります。
 島根県では、昭和63から初めましたので、平成18年の今年で19年目となり島根県でも一般へ普及し始めている訳です。


 クロマツの採種園

 ここまで苦労して選抜育成した苗木も絶対に枯れないものではありません。あくまでも枯れにくいということです。
 なお、一般的には「松くい虫」呼ばれていますが、正式には「マツ材線虫病」と呼ばれ、マツ類を枯らす「マツノザイセンチュウ」と、その線虫を運ぶ「マツノマダラカミキリ」の二つの生き物によって松枯れが発生します。

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