ふわふわ

mococoの近況.主にEVE Onlineに関する話題など.

Payday(公式訳)

2008-01-10 17:06:27 | EVEOnline(BackStory)
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(原文)

Payday
●清算のとき

Tinyの脳内に埋め込まれた神経系インプラントが,ストレスが増加している旨を警告していた.彼にはもう時間が残されていなかった.ありふれた,なんの変哲もない平凡なミッションの請負だったはずが,今や大失敗に終わろうとしていた.

今までに,もう何回 Karloのアジトに"Tonic-12"を運び入れただろうか? 少なくとも10回は下らないはずだ.そして今までこの仕事で問題が起こったことなんてなかったのだ.それが今回は遅れに遅れていた.全てはあの忌々しいサツどもの所為だ.どうしたことか,今回に限っていつものブツの受け取り宙域に,警官艦隊が巡回していたのだ.ヤツらのせいで,"Tonic-12" ― つまり高級麻薬だ ― を受け取るのに,遠路はるばる Great Wildlandsまで足を伸ばす羽目になってしまった.おかげで期限までに残された時間はあとわずか30分しかなかった.

言うまでもないが,Tinyは仲間を連れて来ていなかった.あのマヌケどもは,彼が雇うより先にさっさと別の傭兵を請け負ってどこかの星系に飛び立ってしまったのだ.

全てのことが彼を緊迫させ,イライラさせるには十分だった.

Tinyは心の中で悪態をつきながら,船をスターゲートに向けて操作した.管制ステーションが彼のジャンプ申請を受理するのを待ち構えながら,彼はロスタイムを取り戻すために Du Annes星系を通るという賭けに出るかどうか,しばし真剣に考えた.結局のところ,彼はそれに賭けることを諦め,大人しく Decon-Sharuveil経由で戻ることに決めた.Du Annesを通るのは余りに危険すぎた.Decon-Sharuveilルートは確かに遠回りだが,警邏の目を逃れるのに多少は安全なように思えたのだ.そしてようやく管制から自分のゲート利用許可を受信した彼は,ジャンプシーケンスに入るためにクルーザーのスラスタに火を入れた.

Decon星系に到着するとすぐに,Tinyはヤバそうな奴が彼のそばに潜んでいないかどうか,近隣宙域のスキャンを走らせた.何も無さそうなことを確かめると,彼は次のスターゲートに向けて船を回頭させた.

航行中,Tinyは期限内に Karloにブツを届けられなかった場合の損失を計算していた.恐らく5万は下らないだろう.言うまでもなく Karloのヤツは機嫌を損ねるだろうし,ひょっとするとヤツからはもう仕事を貰えなくなるかもしれない,Tinyにとって,今のところ Kalroは帝国領域内でスマートドラッグを扱ってくれるただ一人のエージェントなのだ.これは大きな痛手だ.けれど,まぁ何とかなるだろう.どうにかして Karloをもう一度丸め込むことも出来るだろうし,もしあれだったら"Tonic-12"を扱う他のバイヤーを探してもいい.しかし違法品を積んでの長旅は危険だな.どこかに上手い隠し倉庫を作るべきだろうか...

思案に耽りながら,Tinyは必要な調整を行い船を進め,次の目的地である Sharuveil星系行きスターゲートへの最後のワープを終えた.もうあとはジャンプを1回行うだけだ.

考え事をしていた彼がそのレーダー信号に気付いたのは数秒後だった.彼の船のレーダー範囲ぎりぎりに,他の船を示すシグナルが表示されていた.その船はどうやら彼とは反対側から同じくスターゲートに向かって進んで来るようだった.Tinyは相手が税関検査官や DED艦艇だった場合に備えながら,走査可能範囲まで近づいたその船にスキャンを走らせた.

なんという偶然! それは Adira Habiの船だった.数週間前,Tinyはこの卑劣な Amarr野郎に Pod-killされたばかりだったのだ! Tinyは喜びに打ち震えた.あの日以来,どんなに Habiを探し回っていただろうか.こんなところで偶然にもヤツを見つけられるなんて,なんという巡り会わせだろうか!

突如,Habiのクルーザーが航路から外れた.明らかに彼はこちらに気付いたのだった.

「腰抜けめ,逃げる気かよ!」

Tinyは瞬時に判断した.あの向きだと,恐らく行き先は Decon IVだ.それにあの回頭速度だと Habiの野郎はこっちの Warp scramblerが捕らえるよりも早く Decon IVにワープ出来ちまうだろう.急ぎ Habiを追撃するためのワープシーケンスに入ろうとして,ふと彼は貨物室の中の"Tonic-12"と Karloの顔を思い出した.

「クソ食らえってんだ!」

心の中で叫ぶと,彼は Sharuveil行きスターゲートから外れ,Decon IVへのワープシーケンスをコンソールに叩き込んだ.


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訳者蛇足:
運び屋仕様で果たして彼が復讐を成し得たかどうかは語られてない.Tiny君は本名を Burki Tromといい,他の Back Storyにも出てくる.
ちなみに,ヤクの運び屋の彼が"安全"と言う Decon-Sharuveil星系は Low sec,"ヤバい"と言う Du Annes星系は High secなので,念のため.

今回は少し訳を頑張って雰囲気を出すよう努力してみた.どうだろうか?


1 Comments

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^-^ (読者)
2008-01-23 11:02:52
おKっでーす♪
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