ふわふわ

mococoの近況.主にEVE Onlineに関する話題など.

Time & the Astrologer(公式訳)

2007-05-22 16:59:24 | EVEOnline(BackStory)
Copyright © CCP
(原文)

●Time & the Astrologer
暦と,とある占星術師の話

大国同士が接触し始めてすぐに発生した,取り決めなければいけない沢山の出来事のうちの一つに,世界標準時の制定が挙げられます.全ての国家は多少の違いはあれ,自分達の母星の自転と公転に基づいた「日」と「年」の概念を持っていたので,これが国家間のやり取りに多大な混乱をもたらしました.相互のコミュニケーションを円滑に行うために,全世界で同期されている時刻を取り決める必要があるのは明らかでした.

無論,どこかの国家の暦(こよみ)を世界標準時とすることは問題外でした.他の国家が絶対に同意しません.標準時には,全く新しい基準を用いることになりました.
当初,議論は学者のみで行われていたのですが,後に政治家が介入し,政治的意図を含んだ沢山の提案を行いました.しかし,やがて様々に出された提案は大きく分けて3つの案に集約されました.「Arithmetic」(数論)派,「Traditionalist」(保守)派,そして「25ers」です.3つの案はそれぞれ異なる分野の者達によって支持されることになりました.「数論」案は主に物理学者と技術者が,「保守」案は多くの歴史家と考古学者が,そして「25ers」案は生物学者と社会学者が支持しました.

「数論」派は,新しい暦は,どんな古い因習にも一切のしがらみを持たない,純粋に数学的な時を刻むべきだと主張しました.彼等はまた,この案は現在世界の物理的な志向に則しているとも主張しました.
一方「保守」派は,人類全員が唯一合意できるのは,古代地球で用いられた暦だけだと主張しました.全ての種族は(とりわけJove人とAmarr人は)多少なりとも古代地球暦に関する資料を保有していたので,これ等を組み合わせれば完全な地球暦を復元することは容易だったのです.
最後の「25ers」は,専ら宇宙に暮らす我々が考慮すべき唯一つの指標は,人体のみであると主張しました.すなわち,人間の体内時計のサイクルは,古代地球時間で言うところの凡そ25時間です.彼等は新しい時刻はこの基準を元に取り決めるべきだと主張しました.

無数の団体がこれら3つの案のどれかの擁護を主張し,長く難儀な議論が繰り返されました.「25ers」の支持勢力の一つに,Cerb Rausolleという名の精力的な若者に率いられたGallente人の小さな草の根組織がありました.Cerb Rausolleという名は,実際には彼の占星術師としての偽名でしたが,ともあれ彼の努力により,意外にも大規模だった占星術師達の支持活動により「25ers」は大きな世論の支持を得ることに成功しました.しかし「25ers」が世論を味方に付ける一方で,「保守」派は政治家の支持を取り付けるよう努力していました.結局のところ,「保守」派の目論見は正しく,Jove帝国の巡洋艦"Yoiul"内で行われた人類の新暦を定める歴史的会合においては,議決権を有する政治家を多数抱え込んでいた「保守」案が成立することになったのです.

こうして,EVEの新暦が定まりました.新しい暦は1年を365日,1日を24時間と定め,4年に一度の補足日を設けることになりました.すなわち,古代地球で用いられていたであろう暦と同一です.後に「Yoiul会議」と呼ばれるこの会合の開催年をもって0EST(Earth Standard Time(地球標準時))とすることが定められました.今年で会合から105年が経ち,105ESTを迎えますが,多くの人々が我々の銀河系をEVE世界と呼ぶことから,新暦は今では専らEST(EVE Standard Time(EVE標準時))と呼ばれています.

さて,新暦制定には破れたものの,偽Rausolleは培った政治力と政治組織を無駄にすることなく,直ぐに次の標的を見つけました.その当時,宇宙船の所有者は,毎年船舶のライセンス更新に巨額の更新料を必要としていました.この巨額のライセンス制度が,全ての国家の重要な資金源となっていたことは勿論ですが,ほんの一握りの裕福なものだけしか宇宙ビジネスに進出することができないことの原因にもなっていました.この制度が宇宙間交易の促進を阻害しているばかりでなく,一般人が宇宙ビジネスに介入する機会を損なっていることは明らかです.偽Rausolleと彼の組織は,(彼の組織はまだ「25ers」と呼ばれていました)この制度を改正するために政治活動を始めたのです.

当初,彼等は主にGallente連邦政府に対して活動を行っていました.しかしやがてCONCORDが船舶ライセンスの発行及び更新に関する監督責任を担うようになると,彼等「25ers」はCONCORDを政治活動の対象とするようになりました.

最初,CONCORDはこれ等の抗議活動を全く無視していました.しかし活動が激しくなり,世論を味方に付けるようになるとやがて関心を寄せるようになり,遂には世間の反発を恐れたCONCORDによって,ライセンス制度を検討する委員会が設立されるまでに発展しました.しかしながら,ありがちなことですが,委員会の冗長な議論は何ヶ月にも及びました.この間中,「25ers」は過激な抗議運動を繰り返し,幾つかの星系では大規模なゼネストまでもが計画されるようになりました.
1ESTを迎え,最初の新年を祝う式典がCONCORD本部で行われている最中,偽Rausolleは単身でステーションの周囲警戒システムに侵入しました.彼は爆薬を満載させた無人船を,当時,EVEで最も著名な人々が集まっていたこのステーションのすぐそばで自爆させました.彼はこの爆破によって誰も怪我などしないように,細心の注意を払いましたが,ステーションの何処からでも目撃できたこの爆破という過激なメッセージは,多くの人の関心を集めたのです.

約2ヵ月後,新しいCONCORDの規約が制定され,ライセンス料を廃止することが全ての加盟国によって可決されました.

無論,彼の行為は犯罪であり,彼は指名手配の逃亡者となりました.「25ers」は解散し,彼は政治組織も地位も失いました.しかし,偽Rausolleは,瞬く間に生きる伝説となり,彼と「25ers」という組織は,不滅の名前を歴史に刻みました.今日でもしばしば,「25ers」を引き継ぐと名乗る組織が結成されることがあります.かつて,無名の若者が巨大な勢力を揺り動かしたように,彼等もまたEVEの世界を変えていくことを志しているのでしょう.


--------
訳者蛇足:
占星術師の扇動で動いちゃう世論ってどうなんだろ...いや,宇宙だからこそ占星術は重要なのか?
なんか似た話を聞いたなーと思い返したら,共通語の話だった.
作中で105ESTという話題が出ているが,これはこのバックグラウンドストーリが発表された当時の話.mococoの計算が間違っていなければ,EVEの世界は今年 23345A.D.=109ESTになる.

Build 32271(流し読み)

2007-05-21 19:45:50 | EVEOnline(Patch)
うひ.なんかスキルトレーニングも明らかに終わっているはずだけど,EVEのインストールすらしてない...
余り役に立たなさそうだけれど,最近の流し読み.

■Devblog:
the cult of immersionalism(Devblog459)
「抵抗は無意味だ.我々は皆ロールプレイに同化する.」(原文でそう書いてある:D)
ストーリラインを担当するCCP Gingerから,皆もロールプレイに「侵され」よう,という話.色々お膳立てはするし,これからもロールプレイに必要なイベントを沢山起こすから,皆参加して欲しい,という呼びかけ.
# バックグランドストーリを細々と紹介している手前,mococoとしても世界観に興味を持ってくれる人が増えるなら,ちょっと嬉しい.

the almighty corporation(Devblog460)
Revelations 2.0で予定しているCorp関連の実装の話題.幾つかはテストサーバに導入済.
- 部門Wallet: 会社の会計を部門別にし,役職によりアクセス権限も分けられるようにする.(メインの他,マーケット,コントラクト,船舶保険,S&Iなど計7つ)
- 役職"Caretaker": スターベースに燃料補給を行う人(大体はMinmatar奴隷だけどね!)に与える新しい役職「Caretaker(管理人)」を創設.
- Corp-アライアンスStanding: Corp-アライアンス間でStandingが設定できるように.(広い範囲に及ぶので,当然優先順位は他より低い.)
- 交易ログ: 役職「accountant」「trader」といった人に有益な詳細なトランザクションログ及び検索フィルタの実装.Autoload機能の改善."show info"や"view market details"との統一.
- Exportマネージャ: MYEVEサイトから,企業経営に必要な全てのテキスト情報をダウンロードできるツールを開発中.ゲームの中と外を上手く繋げるイケてるものにしたい.
- リモート資産管理: Corp Assetの検索システムの改善.遠隔からのハンガー内移動や,アイテムの分割等を可能に.
- Share(株): 株式システム全般の改善.特に,誰がCorpの株式を所有しているかを把握できるように.
- Corpタブの整理: 煩雑難解なCorpウィンドウのタブ分類を簡素化.入社手続き等がよりシンプルに.
- 「社史」: Corpのアライアンス所属履歴は誰からも参照できるように.

・あとは2回のLive Devblogの紹介,E-ONのアワード(賞)の投票,EVE-TVの案内,など.

・この他の実装系の話題に関しては,Capital戦について(Devblog464)をGentzenさんが,MYEVE APIについて(Devblog467)をPさんが,訳してくれている.

■News:
ログインしている人は気付いているのかもしれないけど,どうやらノード落ちやサーバ処理能力低下が起こっているようで,パフォーマンス関連のアナウンスが出ていた.回復したのかな?
あと,アライアンスロゴの提出期限が今日までとなっている.あ,これ書いてるのはかのt20だ...
この他にはアライアンス[D2]へのインタビュー記事なんかも載っているけど,あんまり内容が無いよぅ.
それから,0day Courier(運送)コントラクトが悪用されてCollateral(担保金)を詐欺できてしまうこと等についての注意喚起.これは以下の通り,今日のパッチで修正される見込み.

■Patch:
Build 31460 to 32271 addresses Patch Notes for Revelations 1.4.3
(原文:公式Patch Note)
(緑字は公式に後で追加されたもの.)

●EVE Voice
・EVEウィンドウがフォーカスされていなくても,マウス中ボタンでトーク可能になります.
・prefs.iniファイルで「voiceport = 5062」のようにport設定が可能になります.
・プレイヤーがログインしてきたチャンネルタブは緑色で表示されます.
・Troubleshooterを設定から呼び出すことができるようになります.
・設定に関わらず常に最上部に移動してしまう問題は修正されます.

●その他
・Overviewウィンドウの表示に関する問題は修正されています.もし表示問題が直らない場合は,どうぞバグレポートをお願いいたします.可能ならばlogserver logも同時に提出して頂ければ幸いです.このバグに関する情報は該当のスレッドを参照して下さい.
・最近判明した多くのexploitは修正されます.


--
お断わり:
個人的に訳したもので,訳の正確性を保証するものではありません.


# CAに戻ってすぐに引越し,新プロジェクトに異動.何やかやと忙しい...

Old Man Star(公式訳)

2007-05-08 21:43:31 | EVEOnline(BackStory)
Copyright © CCP
(原文)

●Old Man Star
オールドマン・スター

Gallente連邦領内,Peccanouette周辺からPatrie周辺にかけて航行する際には,Ouperia星系を通過すれば途中航路を大幅に短縮することができます.Ouperiaはは無人の白色矮星の星系ですが,その名を知っている人は皆無と言ってよいでしょう.Ouperia星系は今では殆どの人にこう呼ばれています,「Old Man Star(オールドマン・スター)」と.

恒星間ジャンプドライブ技術(*1)が確立したのはつい最近のことです.これが実現するまで,各国家が領土を広げる唯一の手段は,スターゲートを構築するための船を送り出すことでした.最も新しいゲート構築船は光速度のおよそ30%で航行することができました.これはすなわち,10光年離れた星に辿り着くのに33年掛かるということを意味しています.それゆえ,ゲート構築船のクルーは目的地に近づくまでの航行期間中は極低温の冷凍休眠状態におかれることが一般的でした.
(*1 inter-stellar warp drive technology)

1世紀以上も前,まだ操艦カプセルや自動衝突回避システムといった技術も無かった頃,その当時Ouperiaと呼ばれていた無人の星系に向かってGallente連邦のゲート構築船が出発しました.OuperiaのスターゲートはPeccanouette一帯とPatrie周辺を直接繋げることができるだけでなく,豊かなアステロイド資源ももたらしてくれるはずでした.ゲート構築船はOuperia星系から約12光年離れていたVillore星系から出発し,見積もられた移動期間はおよそ40年でした.このゲート構築船のクルーは,わずかエンジニア5名のみでした.ドローン技術により実際のゲート構築にはそれほど人手は必要とならず,その昔,数十名の作業クルーを必要としていた時代と比べて格段に少人数で済んだのです.

ゲート構築船が出発してから5年後にその災害が降りかかりました.深宇宙空間を航行中に,巨大なアステロイドが船を直撃したのです.船体は破壊され,極低温装置は深刻なダメージを受け,5名のクルーのうち4名は死亡しました.ただ一人,完全に壊れる前に装置から覚醒することができたクルーは,名をCeul Darieuxと言い,彼はドローンのオペレータでした.

Darieuxが覚醒してまず直面した問題は「何を食べるか」でした.重量やスペースの節約のために,船上にはまったく食物が積まれていませんでした.本来ならクルーは覚醒後に小さな温室バルブを展開し,そこで食用植物を育てる手はずになっていました.しかし,このバルブに光と熱を供給するためには恒星光を必要としていました.要するに,どの星からも遠い深宇宙空間ではこの温室バルブは全くの役立たずでした.生きるのに必要不可欠な水も有りませんでしたし,何より船内の酸素も欠乏し始めていました.何もかもが全く思わしくありませんでした.アステロイドは船の中枢まで甚大な被害を及ぼしていて,重要なシステムは殆ど破壊されていました.貨物庫は特に酷い打撃を受けていて,破壊された瓦礫と小惑星の破片で酷い有様でした.

これらの数々の死活問題に,Darieuxは自分のエンジニアリング技術を駆使して立ち向かいました.彼はまず,燃料タンクを改造することから始めました.目的地で減速するために,船には推進燃料が積まれていて,これらは幸いにも無事でした.液体水素と液体酸素で満たされた燃料タンクをいじることは爆発の危険も伴って非常に危険でしたが,彼は根気強く,そして注意深く作業を進め,遂にこれらを抽出して反応させることに成功しました.つまり,当面の水と酸素を確保したのです.次に彼は船の中に散乱していたあらゆるガラスの破片と金属片を溶接し,巨大なレンズを作り出しました.これにより,どうにか小さな温室バルブ1基分の熱と光を遠い遠い星々から集めることができました.バルブ1基で彼一人が食べて行くには十分でした.また,温室バルブを有機肥料分解タンクとも連結して,とりあえず有機サイクルを生み出しました.すなわち,彼はどうにか自分ひとりが生き延びていけるだけの小さなエコロジーサイクルを作り出したのです.

当面の生命の危険を回避すると,Darieuxは次に船の針路を調整する必要に迫られました.アステロイドの衝突により船の針路はほんの僅かにズレたに過ぎませんでしたが,果てない宇宙空間を亜光速で進む船にとって,この僅かなズレは最終的にOuperia星系を数十億キロメートル以上離れて通り過ぎてしまうであろうということを意味していました.燃料は無事だったものの,船の推進システムは修理不可能なほど破損していました.このままでは,船は制御不能なまま宇宙空間を永遠に突き進むことになってしまいます.時間が経てば経つほど,船は目的地から外れていくことになるので,彼は新しい推進システムを作り出すことに早々に見切りを付けました.Darieuxはもっと巧妙な方法を選んだのです.彼は装備されていた戦闘ミサイルを船の一番装甲の厚い部分に揃えて向け,発射角,爆薬量,衝突速度を慎重に計算した上で一度だけ発射しました.こうして爆発の衝撃により,彼はどうにかして船を正常な航路に向けることができました.彼は当初,完全に元の航路に戻すまでの弾道計算を行ったのですが,それを完璧に実現するにはミサイルの弾数も足りず,船体装甲もまた耐えられないだろうことを直ぐに理解したのです.

こうして,出来ることをやり尽くしてしまうと,Ouperia星系まで数十年にも及ぶDarieuxの永い旅が始まりました.彼はこの年月の大部分を,貨物庫に散らばっているがらくたを用いて作れるドローンをデザインすることに費やしました.不幸中の幸いと言うべきか,衝突したアステロイドには大変貴重な鉱物 "megacyte" が豊富に含まれていました.珍しい性質を持つmegacyteは複雑なロボット工学の実現と高度なドローン製造に極めて有益だったのです.
長い旅路の中,無重力空間での生活からDarieuxは独創的で斬新なドローン製造手法を編み出しました.また,原材料にも限りがあったにも関わらず,彼が狭い船の中でこの間に設計したドローンの性能は大変優れていて,実際,彼の設計したドローンの素晴らしい性能は今なお,越えられてはいません.

アステロイドの衝突事故とミサイルの爆発が原因で失速していたゲート構築船は,当初のスケジュールから遅れること10年,ようやくOuperia星系内に突入しました.Darieuxは,数年に渡ってただこの時のためだけに,船を減速させるための幾つかの手法を発明していました.主な原理は,星の重力を利用したスイングバイによる減速です.船の推進システムは壊れたままでしたが,Darieuxはすでに姿勢制御スラスタの幾つかを復旧させることに成功していました.彼は残っていた燃料を残らず注ぎ込んでスラスタを吹かし,星系内をジグザグに航行しながら,惑星や月に近づくたびに重力を利用して徐々に速度を落としていきました.時には手作りのシールドで船を保護しながら惑星の大気圏に突入することすら行いつつ,ゆっくりと減速していったDarieuxは,こうして再び深宇宙に飛び出していってしまう事をどうにかして防ぎました.

このとき既に,Darieuxは老齢に達していました.彼の痩せた肉体は余りにも長い間無重力状態にあったために衰えていました.それでも彼の心はまだ強く,目的地に到着してもなお,不屈の闘志を燃やしていました.アステロイドの衝突事故の際に必要だったことは生き延び,Ouperiaに到達することでしたが,しかしOuperia星系に到達したからと言って助けが来るわけでは全くありません.彼の運命は彼自身で選び取らなければならず,彼が再び人類とまみえるために出来ることは,たった一人でスターゲートを構築することだけでした.

スターゲートを構築するための資材や機器は,殆ど見分けが付かない程に破壊されていました.Darieuxはまず,資材を生産するロボット達を増やすために,ドローン工場をゼロから考案し,設計し,構築するところから始める必要がありました.彼は活動拠点を主恒星と小さな褐色伴星の軌道共鳴地点に位置する大き目のアステロイドに定めました.Darieuxはわずかな彼の忠実なドローンだけを頼りに,このアステロイド上に小さなドローン工場を建設しました.それからおよそ5年の歳月の後,彼は数々のドローンを駆使して,遂にたった一人でスターゲートを建設することに成功したのです.

もちろん,これはEVE史上でも最難関を切り抜けた個人の偉業の一つに違いありません.Darieuxがこれを為しえたとき,彼は既に白髪,しわしわの顔,震えるようになった手...実に80歳になっていました.

すっかりボロボロになったゲート構築船が,ふいにワープアウトしてきた時の,Villore星系のスターゲート管制センタの驚きと喜びを想像して下さい.半世紀以上前にとうに失われたと思っていた同胞が,輝かしい偉業を達成して帰還したことは直ぐに全国民の知るところとなり,Darieuxは一躍世間の脚光を浴びる英雄になったのです.彼はまた,50年以上に渡ってこつこつと作成した秀逸なドローンのブループリントを元に「CreoDron」社を立ち上げました.残念なことに,彼は帰国後数年で亡くなりました.半世紀以上に渡る無理な航海により,彼の肉体と内臓は限界に達していて,クローニングを施すには余りにも脆弱過ぎたのです.

けれども,Darieuxの偉業は今日でも輝きが衰えることはありません.CreoDron社はEVEの世界で最大のドローン製造企業であり,彼の生み出したドローン設計は今なお業界最先端にあり続けています.
彼が人類に遺してくれた偉業を称えるために,かつてのOuperia星系は,今では「Old Man Star」と呼ばれているのです.


--------
訳者蛇足:
対向地点すら必要としない「恒星間ジャンプドライブ技術」がEVEの世界で実用化したのはつい最近のこと.(これの簡易版がRecon shipが生成するCynosural fieldってアレ.)
それまでは「ワープするための向こう側」を作りに行く最初の一隻は大冒険だったというお話.Amarr帝国とかでは以前に送り出したゲート構築船がまだ沢山あって,今も遠方宇宙に向けて航行中だという設定になっている.

実際のOld Man Star星系は都会Highsecに隣接するLowsecの一つでもあり,Domain:Mai星系なんかと共にPvPerの腕磨きの場として利用されていたりもする.

# CA着.暫く忙しくて更新できません.