今の世は一般人にも情報があまねく行き渡り多少の天変地異にも驚きません。私も数年前の獅子座流星群の天体ショーは息を呑む思いで楽しませてもらいました。あの感動は生涯忘れられない体験になりました。
日付も変わった深夜の2時か3時頃だったと思います。蒲団の中でも気になっていたのか、何となく目が覚め一人夜の街を散歩しました。見上げた夜空に白い光跡を残して次々に星の欠片が流れていく様は、神秘というより神の存在すら感じさせるものがありました。これ以来天体ショーに嵌り○○流星群が来ると知ると夜中でも起きるようになりました。
天体ショーにも色々あります。日食、月食さらに彗星の接近と様々です。現代の我々はそんな異変の理由も知ってるし、さらにはそのスケジュールまで調べる事ができます。だから皆既日食にも慌てる事無く対応しています。それが原因で天地がひっくり返らない事を知ってるからです。しかし知識も情報も無い昔の人たちは違います。
天体ショーの中でも派手なのが彗星の大接近です。時間も長いし毎日の変化も分かります。明治時代の末にハレー彗星が地球に接近しました。この彗星は76年周期で太陽の周りを回るから過去に何度も騒ぎを起こしています。当然色んなデマも流されました。次の一文もその代表の一つです。
フレンマリオン氏は・・・(中略)・・・尾の内に含まれる水素が地球の空気中に存在する酸素と化合すれば、人類は皆窒息して死滅する。もしまたこの反対に空気中の窒素が減ずる場合には人類はいきおい狂気の極に達し、踊ったり跳ねたりして、ついにやはり死滅せねばならぬはずだと述べた。・・・・(中略)・・・・ハレー彗星の太陽面経過が我が国の真昼間に起こる以上、欧米の各国にあっては、この現象があたかも夜間に属する勘定。したがって欧米地方は裏側ないし横側から包まれるるわけで、頭上から直接に遣らるるのは我が国をはじめ、アジアの東部、豪州、マレーの方面のみといわねばならぬ。
大阪朝日新聞 明治43年5月19日
しかしこんなデマにも庶民は強かったようです。結局大騒ぎしたのは一部の知識人や報道関係者だけだったらしい。多くの一般大衆は勿論知ってはいたがそれに関係なく日常を送ったそうです。そんなどうなるかも分からない事を心配するより今日の糧を気にかけたんでしょうね。
関東や東海地方の大地震が話題になって久しい。私の親戚や知り合いもこの地方に多くいます。それどころか日本の中枢は殆どこの地域に集中し人口比率も高い。しかし誰も避難移住しません。その時に考えようと思ってるんでしょう。昔から庶民は強かでしぶとかったんですね。
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