浜名湖は秋らしい色になってきた。
モイラは、3歳で弊社に来た。チェコスロバキア生まれの骨量がある子だ。来た時から耳血種という病気だった。耳が汚れ、かゆいために首を振りすぎて、耳の皮下組織に血液が溜まる病気だ。内出血が大きくなったものと説明された。洋梨の大きさ位に両耳が腫れていた。耳の穴は塞がってしまい、尚更、耳中が汚くなってしまう。木俣動物病院に入院して手術をしていただいた。溜まっていた血液の量は500ccもあった。慣れていないところに来て、すぐに入院、手術は精神的につらかろうと思ったが、あまり気にしない性格らしく、すぐみんなと仲良くなった。最近は、耳の穴がきちんとある。
わんこを家族にする場合、写真や実物を見て決めるのは、普通だと思うが、ブリーダー間では、父方、母方の血統とOFA検査結果などの書類だけで決めることが多々ある。同じ両親で、同じ時に生まれても千差万別なのに、7桁もする金額が動く。これは、おかしいと思っていたが、実力のない自分は、未だにその壁を乗り越えていない。モイラが来た時に病気だったことを青島に詰られた。青島は当然のことを言っているし、自分も腹立たしく思った。こんな想いを弊社出身の子を家族にする方たちには、させたくないと思い、正直にその子の状態を伝えてきたが、今日あるブリーダーが、ブリーダーは大変だから辞めるので、残しておいた子犬を譲りたいという話が来た。メールもインターネットもできないから写真はない、見に行って確認したいが、スタッフの休みが入っていて難しい。血統はアメリカ系の良い血統だ。どうしたらよいのだろう。ブリーダーは「残しておこうと思っている犬だから当然すばらしい」と言う。そのまま伝えて意向を聞くことにした。矛盾していることを行っている自分に腹が立つ。