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EQUAL PARTNERSHIP BLOG

(株)イコール・パートナーシップのブログです。

オーランド~マイアミ視察旅行/Vol.2

2007-04-01 19:58:14 | Weblog



今回リサーチしたのは下記住宅開発地域とリタイアメントコミュニティ及び介護マンションです。
オーランド近郊
アクティブ・リタイアメントコミュニティ「ビレッジ」TND開発「ボールドウイン・パーク」
自立・介護の両方を持つ都市型高齢者マンション「ルセラン・タワー」
オーランド~マイアミ
リゾート型TND開発「ウインザー」ここは乗馬クラブやヨットが係留出来る住宅もあり
かなり高級な住宅地というより別荘地でした。ニューアーバニズムの住宅地「アバコア」
マイアミ近郊
小規模リタイアメント・コミュニティ「エメラルドパークリタイアメントセンター」
高級有料老人ホーム「クラッシックレジデンス・バイ・ハイアット」
そして、マイアミ市内にあるアールデコの建物群。

注:TND開発というのは、全体の町が半径600Mを単位にこじんまりまとまっており
生活行動範囲は徒歩で行き来できるよう歩道のネットワークで構成され
住宅と店舗や業務、工業などの用途が有機的に混合立地するよう計画されてる
アメリカの住宅開発をいいます。

今回はその住宅地の美しい庭と外壁にデコレーションしてるグリーンの特集ですので
住宅をお持ちの方やこれから住宅を検討されてる方は是非参考にしてください。
上記の写真は庭や玄関にいたワンちゃんです。

★グリーンデコレーション★

■歩道と家の間には必ず芝生と植栽が植えてあり
 芝は統一ですが植栽は家によって違えてあります。







串刺しにしたようなグリーンがかわゆい♪







敷地境界に面したフェンスの下部コンクリート部分を見てください。




アップで見ると蔦をキレイに貼り付けた感じにしています。




何もしないとこんな感じで味気ないのがよ~くわかるでしょう。




門扉の脇に子犬の水呑場を作っている家がありました。
こころに余裕がありますねぇ~♪
ここまでは、「ボールドウイン・パーク」の住宅地。




ここからは、「ウインザー」の住宅地。シンプルな植栽。
1階窓下部分までの植栽をスクエアにシンプルにカットしただけですが、
敷地目いっぱいに建てる場合は余りデコレーションしない方がモダンです。




■アジアンテイストの門扉とその塀のグリーン。




中庭にはプールもありました。







■コロニアル風バルコニーのグリーン。







■玄関両脇のスクエアーにカットされた小さなプランターも可愛いです。




■そして私が一番気に入ってる外壁のシンプルなグリーンデコレーション。
 よくあるアイビーとかではなく、つつじのはっぱを大きくしたくらいで触ると硬いし
 綺麗に蜜集し、当然定期的にトリミングしてメンテナンスしてると思いますが
 感動するくらい綺麗でした。公共施設や商業施設の外壁にグリーンを
 施す方法は日本でもありますが、こんなにシンプルで綺麗にデコレーションしたのは
 見たことがありません。リゾート型超高級住宅地「ウインザー」にありましたが
 アメリカの場合、高級になればなるほど手のかかる素材や手法をとります。
 外壁の仕上げもコテ塗りか板貼りしかここでは認めないとデベロッパーが言っておりました。
 ここが、日本とは違いますねぇ~。本物の金持ちはメンテナンスにお金をかけるんですよっ。
 私も住宅を作ったら外壁をこんな風にしたいですが、うちの奥さんは都会派マンションタイプ
 なので多分むりですね~。でも、い~っぱい稼いで別荘を建てれば出来るかもです。。。










アップで見るとこんな感じ。下の植栽と同じ種類みたいでしたが。
聞けば良かったですね、失敗。







この塀のものはまだ密集してませんでした。
途中みたいで下に進入防止柵みたいのがありました。




塀部分のグリーン。




駐車場の塀にもありました。




■最後に「ウインザー」の敷地導入部分の並木道。そして何と敷地の中には
 乗馬クラブとゴルフの打ちっぱなしコースもあります。遠くに見えるのが
 その回りに張り付いてる住宅地。あいにくの雨でしたが、
 リゾート地の中に住宅があるんです。もう、スケールが違いすぎます。。。






















オーランド~マイアミ視察旅行/Vol.1

2007-03-01 20:36:28 | Weblog

今回は、アメリカにおけるリタイヤメント・コミュニティ(高齢者住宅)や自立・介護
都市型高齢者マンションとリゾート型TND開発町づくりの視察が目的の旅でした。
初回は真面目に視察の感想なので退屈だと思いますが、
次回以降アメリカの美しい住宅や庭の写真をレポートと共に記事にしますので、
皆さんの住宅の参考に出来たらと思います。
下記の写真は、オーランド近郊TND開発ボールドウイン・パークの住宅街です。




《ステキなおばあちゃんと、美しい環境》
ルセランタワーはオーランドにある都市型自立介護マンションで、
3年前から手掛けている介護マンションにちかく、居住者の老人の部屋の中を
見せてもらえたことは非常に有意義でした。

一昨年北欧デンマークを旅行した際、偶然知り合った80歳になる一人暮らしの
おばあちゃんの部屋を見せてもらった時もルセランタワーのおばあちゃんと同じ様に、
日本ではインテリアコーディネイターになれる位きちんと片付けられ、
自分が快適に暮らせるように工夫してコーディネイトされていました。

我々が訪れるから片付けたと日本人的には思うかもしれませんが、
デンマークのおばあちゃんがそうだった様に、突然訪ねても変わらないと思います。
何故なら人に褒めてもらう為に部屋をコーディネイトするのでは無く、
自分が気持ち良く快適に、そして豊かに暮らす為だからです。




一人で住んでいる日本の老人達はなかなかこうはいきません。
若い夫婦や若い人達の中にはインテリアもファッションと同じテイストに合わせ、
こだわりのあるライフスタイルを確立しエンジョイしている人達もいますが、
日本のトレンドを発信し続けていた「IDEE」という家具メーカーが
無印良品の良品計画の傘下に入った事でも分かる様にそれほど売れてなく、
また毎年開催される「デザイナーズウィーク」の表向きは
ジャパンファニチャーデザインの発信ですが、実際は家具メーカーの
セールスプロモーションの一環で、現状はまだまだ成熟しているとは云えません。

私は"歳を取るほどオシャレが必要„だといつも思っています。
思った通りルセランタワーのお年寄りの半分くらいは食事の時にオシャレしていました。
今の若者にはあまり無くなりましたが、日本には普段着と余所行きがあり、
人に見られなければあまりオシャレする習慣が無かったせいかもしれませんが、
毎日を自分の為にオシャレし、少しキザと云われる位インテリアやファッション、
そして生き方を含めゴールドに輝く生活をして欲しいと思います。




この事は今回視察したアクテブ・リタイアメントコミュニティ「ビレッジ」の様な
大規模な開発は難しいとしても、これからの高齢化社会に向けて、
日本でも残り4分の1の人生を楽しく快適にする為のリタイアメントコミュニティに近い
環境が出来た時、アメリカの様な一見美しい環境
(一見と書いたのは滞在して表層と同じ様に美しく生活出来るかどうかを実感していないので)
を維持していく為に大切な事だと思います。

ハードとしての環境を完成させる事はお金とデベロッパーの情熱があれば出来ます。
しかし維持する為には整理されたオペレーションシステムも必要ですが、
そこに住む人の気持ちが美しい環境を作り出す筈です。
家の前の芝を手入れし、四季折々の花を咲かせ、
自分の家だけではなく周りの環境に配慮し調和をとる事が、自分も楽しく
気持ち良く生活する事に繋がり、そして隣人や環境に対する思いやりのある心が芽生え、
豊かな人生に繋がっていく事だと思うからです。

今回視察したアメリカの住宅街はクラクラするほど美しく、
死ぬ迄に一度は住んでみたいと思うような処ばかりでした。
アメリカの住宅開発は確かに美しくはありますが、目に見える形だけ取り入れるのではなく、
内面に潜んでいる“豊かな人生„を送る為のシステムを学ぶ事が重要だと思います。
それは日本の歴史や文化に基づいたコミュニティと界隈(コミュニケーション出来る距離感)
そして明確な四季をもった美しい日本の自然をどうランドスケープに取り入れ、
日本人のもつ情緒や形である自然に対する繊細な感受性で
真に日本人が美しいと思える環境を構築する事だと思うのです。

例えば、新しく造る住宅街区のメインストリートには桜の並木を、
各住戸の庭には梅や桃の木を植えて、春になったら花が吹きほころび、
また山側の街区には秋になると山吹、橙、茜、紅柄、金茶、緋色など
黄色から赤へとグラデーションし美しく紅葉する木を植える等、
コミュニティに皆が共感し共有できる環境とその環境を通したイベントを作る事で、
未来の中にも過去がある“レトロフューチャー„を表現する様な事です。




ニュータウン「アバコア」のデベロッパー、DIVOSTA HOMESの説明と案内を
してくれたアイリーンさんが何気なく云った一言が心に残っています。
『私もここに住んでいます。』
セールスの為でもあるかもしれませんが、キイワードはこれだ!!と思ったのです。
大切な事はまず“ここに自分も住みたい„と思える環境を提案し、
情熱をもって作り上げていく、その事が後に出てくる様々な難しい問題を
解決する秘訣だと改めて実感しました。

デザインとはただ見た目が美しいだけではなく
"生活し使いこなしてはじめて完成される„ので、
自分が自信を持って奨めることのできる住宅作りが必要だと思うのです。

今回に限らず海外旅行や視察で感じる事は、
新しい発見や感動はもちろんありますが、それと同じ様に日本を外から見つめ直し、
忘れがちな日本の良さを再認識できるという事です。
この体験は非常に貴重であり、それをこれからの自分の仕事にどう活かしていくか、
その思いを胸に抱きつつ6日間の旅を終えました。











倉俣史朗

2007-02-01 20:22:40 | Weblog

少し前の日経アーキテクチュア11-13号、巨匠の残像に
一般の方にはなじみがないと思いますが、今は亡き日本が誇る
インテリアデザイナー倉俣史朗さんの記事が出ていたので、
初めて会った(面識は無いので正確には、見ただけ)時の事を思い出しました。




インテリアデザイナー内田繁さんがデザインした
六本木のBAR(名前は忘れました)で飲んでいたら、三人連れが座りました。
ビッグテーブルの隣り合わせだったので話がよく聞こえ、
『イスラエルの仕事を頼まれているけど、
最近行き詰ってどうしたら良いかわからなくなってきてねぇ』
顔を見ると雑誌でしか知らない倉俣史朗さんでした。

インテリアデザイナーの仕事を始めて5年、私はデザインする事に
悩んでいました。でも、こんな偉大な人でも私と同じ様に悩んだりするのか
と思うとすご~く気が楽になった事を思い出したのです。

商業施設のデザイナーの作品は建築などと違い、
長くて10年、短ければ3年位でリニューアル、
又は商売にならなければ半年でなくなる場合もあります。
倉俣さんの作品も現存するものは数店舗。
といっても淋しい事ですが、家具を除いて倉俣さんらしいのは皆無です。

一般の人に知られているのは、家具だとMOMAの収蔵品にもなった
代表作「ミス・ブランチ」や映画「スニーカーズ」に登場する、
エキスパンドメタルで製作した「ハウハイザムーン」の椅子です。
店舗だと昔のイッセーミヤケなどですが
特に西武B館1Fにあった黒に塗装したエキスパンドメタルで店全体を作った
イッセーミヤケの店は谷崎潤一郎の“陰翳礼讃 ”を思わせ、
それはそれは美しかったです。

そんな歴史に残るようなインテリアデザイナーなのに
倉俣さんの明確な著作は無く、作品が掲載された雑誌も
全てインタビューして編集したものなので、
何を表現したかったのかほんとのところは分かりません。
只、浮遊感とかトーメイアクリルを多用したので、
モノの存在感を消す事で自由に対する願望を
表現したかったのではといわれています。

私は初期の「ミルクボーイ」から晩年最後の作品「ラピュタ」
迄で実際店を見て感じた事があります。

トーメイガラスやアクリルを使うのは、モノの形を消す事で、
主役はデザインされたモノそのものではなく、
あくまでそれを使う人である事を表現したかったのではと思ったり、
建築部材の安価なエキスパンドメタルや壁面の下地材に
使用するOSBを仕上材に使うのも、
普段目にする表層の内側に隠れているモノも
大切である事を伝えたかったのではとかです。

そして、ポストモダンの旗手イタリアのデザイナー、エットーレ・ソットサスに
誘われデザイン運動であるメンフィスに参加した後、
強化ガラスを両側にはさみ、3層の中間に入れたガラスにひびを入れた
“クラックガラス”は、割れた瞬間を表現して
はかない命の美しさを感じさせてくれました。

又「ミスブランチ」ではバラの花をトーメイアクリルの中に埋め込んだのは
形よりそのモノの内側に潜んでいる”こころ”を
表現したかったのではないかと思っています。

同時期フランスのデザイナー、フィリップ・スタルク
(アサヒビールスーパードライのホールの屋上に火の玉がのっかっている
建物をデザインしたので、一般の人にもなじみが深いと思います)
がNYのホテル”ロイヤルトン”で壁面に穴をあけ、
そこにバラの花を挿して表層を華やかに装飾したのとは対象的に
何かを足していくのではなくバラの花をトーメイアクリルの中に内包する事で
日本人独特とでもいうべき”引き算”の表現を実現しました。

つまり人のこころと云うか、“精神”をデザイン
モダンデザインのもつミニマムで冷めたいイメージを
禅のこころでもあり、茶のこころでもある“あたたかな静けさ”を感じさせ
こころに響くデザインを具現化させてくれたのです。

理屈を超えたところに到達した感がある倉俣史朗さんの事を
私ごとき凡人が解説するのはおこがましいし、そんな単純な事でないと
お叱りをうけるかも知れませんが、そんな風に感じていました。

又、気が付く人はほとんどいませんが、恥ずかしながら私のBLOGの
右上にある卵から薔薇の花の代わりに♡がヒラヒラ舞っているのは
「ミスブランチ」に対する私からのオマージュでもありました。。。

ミスブランチの収蔵美術館は、
ニューヨーク近代美術館(MoMA)、パリ装飾美術館、
ヴィトラデザインミュージアム(ドイツ)、サンフランシスコ近代美術館などですが
興味があるお方は是非、美しすぎて儚くもある
“あたたかな静けさ”を一度感じてください。
日本ではミスブランチの肘掛の曲線が違うプロトタイプが
事務機のメーカー「コクヨ」の本社に置いてあるそうです。
ちなみに、「ハウハイザムーン」はhhstyle.comで販売してますが
値段は約88万円だそうです。ちょっと手がでませんねぇ。。。

下の写真はミスブランチと私が持ってる倉俣史朗さんのスケッチ集
「スターピース」です。この他にクリスマスプレゼントで友人M氏から
絶版になった自筆のサイン入り初期の作品集を貰う事になっています。







幸せのラブスプーン

2007-01-01 19:56:10 | Weblog




1年前の事です。私はある病気にかかりました。
入院する事が決まり、その話をある友達(Kちゃん)に話すと
入院してる間退屈しないようKちゃんが続けてるBLOGを毎日
更新する約束をしてくれました。

手術も無事成功し食事もやっと少し食べられるようになった時、
ハートの形をしたアレッシィのスプーンの記事が書いてあり
時間をかけてゆっくりゆっくり食べなければならない私は、
もしこのスプーンがあったら味気ない食事も楽しく
食べられるし、そして、そしてカワユイ看護婦さんにも自慢できるので
「このスプーンほしい~!!」と書き込みしました。

術後の経過も良く手術から12日後の7月2日無事退院でき
7月25日快気祝いで高層ビルの夜景が一番きれいな
新宿パークハイアットにあるニューヨークグリルで
Kちゃんに食事をごちそうになりました。
その時、ハートの形をしたアレッシィのスプーンを2本
プレゼントしてもらい、そして物語は始まったのです。

2005年10月3日は忘れられない日になりました。

その日大阪に住むKちゃんは出張で東京に来たので
ご馳走になったお礼にレストランを予約し、前から今度会う時
持ってきて一緒にたべよーと思っていたので、
頂いたアレッシィのスプーンを持参しました。

「デザートの時このスプーンで食べたいので出してもらえませんか?」
一瞬戸惑いの表情を見せたもののお店の方は快く引き受けてくれました。

「ところで何かの記念日ですか?」

考えてた訳ではありませんが、とっさに私の口から
「えぇ実は10年目なんで・・・・・・。」

その時、隣のカップルにお店から誕生日のお祝いに
ケーキのプレゼントが出てきました。
後でケーキなんか出てくるとシャレにならないし、
夫婦に間違われるとKちゃんに悪いなーと思い

「うそ、うそ、うそですよ!彼女からお祝いに貰ったもので・・・。」
とほんとの事を言いました。

その後、無事念願叶いカワユイアレッシィのスプーンで
美味しいデザートを食べ楽しい時間はあっという間に過ぎました。

食事のあと、Kちゃんも顔見知りというかKちゃんに想いを寄せてる
マスターがいるショットバー『天使のわけまえ』に行くことになりました。
貰ったスプーンの事、そしてレストランで10年目の記念日だと
ウソを言ったことをマスターに話をしてたら突然
「オメデト~」と祝福の声がしました。
隣を見ると、うら若き女性6人の集団でした。
10年目まで聞こえ、そのあとの話は聞こえなかったようで
もう一度「おめでとうございま~す」と言われました。

「ありがとう。ん~、でも違うんです。」

Kちゃんとは仕事で知り合い、15年くらいになります。
かなりの美人で、女性ならだれでも羨む職業と生き方をしてる
ステキな女性で、かなり年下ではありますが尊敬してます。
でも、今まで一度もそんな風に思った事も、見られた事ありません。
嬉しい反面こんな自分と夫婦に間違われて悪いな~と思う気持ちの方が強く
6人の美しい女性達に、ある病気で入院しハートのスプーンを貰ったまでの
いきさつ、そしてレストランでの事を話しました。

「ところで、そのハートのスプーン今もってるけど見ます?カワユイんだから」

「え~、見たい見たい!!!」

ジャ~ン「これで~す」

「うわぁー、カワイイ~」

更に調子にのり、Kちゃんとの事色々話ました。
「彼女とは誕生日が同じ2月で、私がバレンタインデーに生まれた事もあり
10年以上プレゼントの交換もしてるし、死ぬまでする約束したんです。」

「えぇ!!!ほんとにぃ。うらやまし~。私もそんな人ほしぃー」
「ほしぃ~ほしぃ~」

カウンターには私達2人とその美しい独身6人の女性達
(あとで分かった事ですが看護婦さんでした)の他に2組いた筈なのに
私達の盛り上がりにいたたまれなくなったのか、いつの間にか私達だけになっていました。
余りの気持ちの良さにみんなにお酒をごちそうしました。
「カンパ~イ♡」

私は、もうこのまま死んでも好いくらい楽しい一日を過ごすことが出来ました。
そのお店には名前の通り“天使”がいたのです。

次の日、前の晩の楽しい時間を思い出し1日中にっこりしてました。

そして、その余韻は又次の日も・・・・・。

流石に4日目は現実に戻りましたが、この幸せは3日間続いたのです。

Kちゃんがくれたハートの形をしたアレッシィのスプーンは
“3日間の幸せな時間” を私にプレゼントしてくれたのです。

この事が『一客のコーヒーカップ』に続き又デザインを見つめなおす
きっかけを作ってくれました。

ハートのスプーンをデザインした『ミリアム・ミリ』という
女性のデザイナーは多分こう考えたと思います。

最近愛されていないんじゃないかと不安に思い始めた恋人や
倦怠期に陥った夫婦がレストランでデザートを頼み
出てきたデザートの皿に、このハートのスプーンが添えられてきた時
最初に出会った頃の楽しい思い出やときめいてた頃の自分を思い出し
少しでもやり直すきっかけになるのではないかと・・・・・。

“デザイン”はそれがある事により楽しくなったり心が豊かになる為に
必要な事です。デザイナーは“モノ”に想いを込め形にします。
その作り手の心と使う人の気持ちが一体になったとき
初めて“モノ”を通して心が通じあう事になります。

大きな幸せは、喜びも大きい替わりに失うとダメージも大きいです。

小さな幸せは、3日間しかもちませんが一生心に残り、失う事はありません。

私達デザイナーは大きな幸せを作る事は出来ません。
しかし、心さえあれば私が感じた3日間の幸せのように
小さな幸せを作りだす事は出来るのです。

この事は勿論デザインだけではありません。
どんな仕事でも人にとって必要だからある訳で、心を込めた仕事は
必ず使う人に伝わる筈なので、どんな事でも“こころを込めて”する事が
大切だと思います。

大袈裟ですが、私はこの病気のおかげで様々な事を学びました。
まず、一番つらい時の見守ってくれる家族がいる事の幸せ。
どんな時でもあきらめない強い自分のこころを持つことの大切さ。
有名で権威のあるお医者さんより、信頼できるお医者さんに出会う大切さ。
病気になった人に対する時の接し方。
そして、見守ってくれる友達がいる事の喜び。などなど

まだまだ私はやりたい事はいっぱいあるし、必要としてる人もいる筈です。(多分??)
だから悔いの残らない様、生きているか分からない明日より(ホントに末期じゃないですからね^^)
“今日”を全力投球で生きようと思います。
だから“病気もまんざら悪くない!”です。

ミリアム・ミリがデザインしたこの『ラブスプーン』は、小さいけれど
私のこころに大きな財産を残してくれました。


最後に、ラブスプーンを頂いたあと昨年11月フィレンツェに行ったとき見つけた
もっと小さくてかわいいティースプーンの写真です。
この時日本ではまだプロトタイプしかありませんでしたが
最近アレッシィのショップで売ってました。







一客のコーヒーカップ

2006-12-01 19:53:47 | Weblog

独立してインテリアのデザイン事務所をはじめたのは、ん十年前の春。
週1ペースで大阪出張が多かったその頃、帰りによく京都に寄りました。
清水寺の、三年坂にあるお土産屋さんの一番奥の一角に
回りの陶磁器とは一味も二味も違う、作家さんの作品があり
一目見た瞬間、私は“恋に落ちて”しまいました。




深見ちえさんと云い、ご夫婦で窯を持つ清水焼の前衛作家さんです。
ご主人はシャープでモダンな切れ味の良い作品にくらべ
ちえさんは、曲線を使い、やさしく包み込むような作品で
妻折りの小皿とコーヒーカップが展示されていました。
そのコーヒーカップを一目見た瞬間、
今まで経験した事の無いドキドキした気持ちになりました。

それまでの私は、しらけ鳥とよく云われ、何を見ても
感動が薄く、女性以外ドキドキした事なんて無かったのです。
そんな私が、清水焼の青白磁に恋をしたのです。
その当時、1客1万5千円のコーヒーカップを衝動買い出来るほど
裕福では無かったのでその日はそのまま帰りました。
しかしです、しかしその夜“夢”を見たのです。

次の大阪出張帰り、勿論京都で下車しました・・・。。。

そのちえさんの作品で、コーヒーを飲む時感じた事が、
私のデザイナーとしての生きかたを明確にしてくれました。
お茶を飲むように、コーヒーを飲むのです。
つまり、他のコーヒーカップと同じ様につまむところがあるにも関わらず、手にとった瞬間
器の下に左手を添え、右手で包み込むようにして、コーヒーと器を嗜んだのです。
欧米的なものを、日本の“こころ”で表現するという、
シンプルではありますが、初めて“モノ”の内側にある、作り手の気持ちを感じました。
“大切なものは、自分の手の中に包み込んで表現する”と云うメッセージと、
持てる力を8分で表現し、後の2分は作り手と使う人がこころで感じ合う、
侘び寂の世界のような、『日本の美』をです。
最初は、美しさに一目惚れし、使ってこころにふれた訳です。




この作り手のメッセージを感じた事が、デザイナーとして
自分の自信につながり、独立に不安を抱いていた私に、
決断をあたえたのは間違いありませんでした。
そして、自分も“モノに想いをこめて”メッセージを発信し続けていこうと
その年の春、自信をもって独立したのであります。

昨年久々に京都に行く機会があり、三年坂にあるそのお店に寄って
ちえさんの作品がないか聞いたところ、
残念な事に、現在作家活動はされていないとの事でしたが
ご主人の、深見陶治(ふかみ すえはる)さんは以前のような
男っぽい堅さがなくなりましたが、繊細でやさしい作品作りをされていました。

春の気配と共に、ちえさんの作品をもう一度見たいと想っています。。。

※最近青山にあるALESSIのお店で、これに良く似たコーヒーカップを見ました。
 多分、外国人のデザインだと想いますが、でもそれは似て非なるもので
 手にとった感触はまったく違うものでした。




ビジュアルコミュニケーションツール-1

2006-11-01 19:05:06 | Weblog

今年の初めから2ヶ月に一度、ある企業の社員を対象に
スケッチの講師をしています。
私は、そんなに上手い訳ではないので上手な人に教える事はできませんが、
下手な人には教える自信があります。
何故なら、下手だった自分がプロとして、何とか通用する方法を実践し
マスターしたからです。^^

CGやCADが主流になり、プロでも絵の描けないデザイナーが結構います。
パソコンで表現することは今や必要不可欠ですが、
こころで感じたイメージを、すばやく表現できるスケッチも大切です。
要は、両方とも必要なのです。アイデアを山のようにエスキースした後、
パソコンの機動力でプレゼし細部をスケッチで確認しながらCAD化する。
“こころ”にあるデザインを、クライアントから職人の方まできちんと同じ様に
理解してもらう事が大切です。

実際の仕事の中で実践してる事を講習してますが、
内容の一部を載せようと思います。

この中で、私は不得意なことは習慣にすれば克服できると云っていますが
自分に置き換えると、企画書はそれなりに描けますが、文章がすご~く苦手です。
それなら人に言う以上実践しなければと思い、その企業の社員と一緒に
克服しようと思ったのがBLOGを始めたきっかけです。

私のBLOGを見ている方には、デザイナーを目指す若い学生諸君や
デザイン関係の方がいます。デザイン関係以外の方でも、
参考になるかどうかわかりませんが、是非どうぞ。でも、ちょっと長いのであしからず。




★上の写真は1回目の写真です。
 建築やデザイン関係の仕事をしてる方は誰でも『先生』と呼ばれます。
 20代のヒヨッコでも、現場に行くと業者からも先生と呼ばれるので
 決して偉くはありません。あの姉歯さんでも、最初は姉歯先生と呼ばれ
 てました。 最後は、呼び捨てでしたが・・・。


Ⅰ、スケッチ講習の目的について。

コミュニケーションツールとしてのスケッチをレクチャーし、
フリーハンドで考えられる、フレキシブルな発想の訓練と自分の考えを相手に
正確に伝えられる表現力を身に付けることで、
クオリティが高く無駄の無いモノ作りを指向する事が出来ます。
そしてこれはもちろん趣味としてではなく、デッサンより『クロッキー』を主体に、
すばやく描く表現力を身につけ、あくまでプロフェッショナルとしてマスターすることです。
そして、いくら上手でも時間がかかるのはいけません。
プロは時間が勝負なのです。話をしながら、
“こころ”に感じたイメージを、すばやく『フリーハンド』で描けるようになる事です。


Ⅱ、何故スケッチが必要なのか?

1、ソフト面から考えると。
 
私は自分にとっての仕事をこう考えています。

アイデアやデザインを考える時、使う人の気持ちで夢を見ます。
スキルは、その夢をカタチにする為に必要な事です。
私にとっての仕事とは、夢を見続ける事で叶う喜びでしょうか。


芸術とは違う商業デザインは、自分の好きなものや得意なものだけを依頼され
る訳ではありません。
 
必ずお金を出すクライアントがいて、そのクライアントの考え方を整理しなが
ら方向性を決めて行く訳です。
 
その場合、
使う人の夢を→自分の夢だと思って考えます。
スケッチと云うスキルは、自分の心⇒つまり考え方や想いを伝える為の手段です。

■デザインや設計業務だと、図面やパース&コンセプト作り。
 
■施工業務だと監理力や図面。
 
■営業だと言葉(会話力)やコンセプト作り。

になると思いますが、聞いたり、読んだりする他に、
見てわかってもらう手段がスケッチだと思います。

2、ハード面から考えると。

“モノ”作りに携わっている我々は、考えたモノを自分で製作するのではなく、
色々な人と協力し合って作り上げていかなければならないので、自分のデザイ
ンや考え方を正確に伝える、間違いの無い伝達方法が必要です。


言葉 書類 図面 そして老若男女、性別、国籍、ジェネレーションに係わらず、
誰でも分かり合えるものが、スケッチであると思います。

この 言葉 書類 図面 + スケッチがバランス良く表現出来ると、読んだり
聞いたりして理解するのではなく、
見て理解してもらう事が出来ると思っています。

一時、商業施設ではVMD(ビジュアルマーチャンダイジィング)視覚的効果
による商品化政策と云うのがありましたが、
スケッチの効果は視覚的効果による対話。
つまりビジュアルコミュニケーションだと思います。
MACなんかクリエーターに支持されているのは、この事が大きいと思います。

若い頃設計監理をしていると日常茶飯事なのが、図面で指示したり、
ちゃんと言葉で伝えたとしても、全然違うものが出来たりする事があります。
その時は作り直してもらう訳ですが、お互いに自分が正しいと思うし、気分が
悪くなったり頭にきますし、喧嘩になる場合があります。
いやいや直したものは、心を込めて作らないのでいつまでたっても
引渡しが完了しません。
そんな事を繰り返す内、何とかその行き違いを解消する方法がないかと考えました。
 
図面が分かりづらい時は納まりをスケッチで描くとか、打合せの書類にも
間違い易い所をスケッチを描いて相手に渡す事で、カナリ解消する事が出来ました。
何処が間違い易いかは図面を書いている時必ず分かります。

この事はクライアントに対するプレゼンテーションでも同じです。

お互いのイメージをビジュアルで確認しておかないと、出来てからこんな
イメージじゃないとか、ちゃんと言った筈だとかになり易いです。

イメージ全体やメインの部分は、3Dとかパースでプレゼしますが、
細部については、案外言葉だけで伝えたりしている様に思います。
クレームは日常的に使用する機能や細かい部分の方が、えてして多いものです。
ちょっとした事でも、その場でスケッチを描いて確認し合うとかしておけば、
トラブルは限りなく“0”に近くなります。

よくあのクライアントは細かくてうるさいとか、あの業者は頭が悪くて
理解力が無いとか云う人がいます。判っているなら対応の仕方を最初から
考えれば良いので、頭が悪いのはその本人だと思います。

それよりお金を出して使う人が、キチンと理解する様にする事が重要だと思うのです。

この事から、スケッチを描くにあたり一番大切なのは、“思いやりの心”
つまり、 人やモノに対する愛情の深さじゃないかと思っています。
きちんと相手に伝わるように、こころを込めて描くことなのです。
だから、もし上達しないのなら思いやりの心が足らないと思ってください。


Ⅲ、どうしたらスケッチがうまくなるか。

スケッチがキライな人に教えても、いやいややらされると思いながら描くと
上達する訳がありません。
じゃ、きらいだったり下手な人が上達する為にはどうしたら良いかと云うと、

結論は、毎日必ず描く事です。そして描く事が好きになる事です。

じゃどうしたら好きになるかと云うと、毎日描いて上手くなれば自然と好きになる筈です。
だからキイ・ワードは毎日描く事です。

昔から良く云うじゃないですか?不得意な事は習慣にすれば克服出来ると。
只やみくもに描いても効果はありません。
デザインに携わっているのならいざ知らず、特に営業の方が何でと思う筈です。
一番大切なのは、目標というか目的を明確にする事です。

スケッチがうまくなってどうしたいのか?という!!

■デザイナーやコーディネーターだと、クライアントにデザインを正確に伝えて
  夢をカタチにしたい。

■コーディネーター やバイヤー だと、わかり易い資料作りで間違いの無い
 効率の良い仕事をしてトラブルを0にしたい。

■現場監理だと、施工業者に難しい納まりを正確に伝えて無駄な間違いを無くし、
  効率の良い仕事をしたい。

■営業だと、クライアントの考えをすばやく整理して、
  誰でも分かるコンセプトを明確にして効率化を計る。

という様な事です。

毎日描いていると、ある時、対象となるモノの性質というか表層の内側にある
本質みたいなものを感じる筈です。
これはよーく観て描き続けた人にしかわからないと思いますが、
そこからが始まりだと思います。

目でみたモノを心で表現出来る様なモノです。


それ迄は徹底的に模写してください。

昔、ルーブル博物館で画家を目指す若い学生達が、毎日毎日、自分の好きな画
家の前で模写していました。
多分学生達は表層を模写し続ける事で、その画家の内面を感じ取る迄描き続け
たと思います。

目に見えるものを描くとか、模写するというのは基礎としては大事な事ですが、
只それだけでは喜びや楽しさにはつながりません。

何かを感じ、自分らしい描き方をしたいとか心を伝えたいと思う様になった時
から、スケッチを描く事が楽しくなる筈です。
つまりオリジナリティのあるスケッチを目指す事です。

アイデアやデザインというのは対象物の中に必ず答えがあります。


それが分かれば必ずデザインは出来ます。
雑念というか邪念を捨てて無垢になれば本質が見えて来る筈です。
そうすると一回のプレゼで決まります。

対象となる“モノ”をよく見る事なのです。


NHKのTVで『プロフェッショナル』という番組があります。
その中で、パテシエ杉野英美も言っていました。
『あたり前の事を積み重ねると特別になる』 いつも、私もそう思っています。

才能のある人だけがプロフェッショナルになれるのではありません。
普通の人でも“夢と情熱”があれば大抵の事は克服できると思います。


そして私は毎日描けと云いましたが、どの位の時間とかどの位の量を
描けとは言っていません。

忙しいからとか、用事があったからとか、出来なかった理由を弁解する人が
いますが、時間の無駄です。
出来ない理由を正当化するより出来る方法を一つだけ考えてください。

何故なら1日に○を1つだけでも良いのですから。たったの1秒です。


要は習慣にする事が大事です。そして好きなものだけを描いてはいけません。
心に感じたアイデアを相手に伝えるためのスキルなので、色々なもの
を沢山描いてください。大げさになりましたが、
要は、2ヶ月に1度の講習だけではほとんど効果はないと思います。
マスターしたいのであれば簡単な事です。

“毎日描く事なのです。”



★以上が第1回目の実習に入る前に話した、私の考え方です。
 実習は下記7つのカテゴリーに分け、その実際の仕事上のシーン別スケッチ
 の描き方を具体的に教えています。

①アイデアやデザインをクライアントにプレゼンテーションする場合の
 エスキース及びスケッチ。
 (デザイナー・設計・現場監理)

②クライアントと打合した場合、確認の為の打合議事録資料としてのスケッチ。
 (デザイナー・設計・営業)

③インテリアコーディネーターの家具買付け控のスケッチ、
 リフォーム等既存家具確認の為のスケッチ。
 (インテリアコーディネーター・デザイナー・バイヤー・営業)

④実施設計及び施工図のフリーハンド詳細の作成方法。
 (デザイナー・設計・現場監理)

⑤FAX等で詳細を打合する場合の収まりとしてのフリーハンドスケッチ。
 (デザイナー・設計・現場監理)

⑥設計監理及び現場監理の引渡等のチェックリスト作成の中のスケッチ。
 (デザイナー・設計・現場監理)

⑦考えを整理する為のコンセプトチャート作成及びフリーハンドの企画書作成。
 (デザイナー・営業)
 
気が向いたら、その内容を記事にしたいと思います。
寺山修二の『書を捨て街へ出よう』じゃないですが、若者よ“PCを捨てスケッチを描こう!”
長くてすいませ~ん。 お付き合いありがとう♪