本屋にいくと、つい、タイトルで、本を買ってしまう。「アホノミクス完全崩壊に備えよ(浜矩子 角川新書」、「エコと健康の情報は間違いがいっぱい(武田邦彦 廣済堂新書)」を手に取り、その隣に三島由紀夫の「美しい星」があり、またその隣に平積みで、田中経一の「ラストレシピ」が目に入り、わずか1分ほどで4冊を買ってしまったのだった。勘というよりもこれは衝動である。
そしてすでに3冊は読み、「美しい星」はこれからである。
「ラストレシピ」は「満漢全席」に対抗して、それを越える「大日本帝国食菜全席」を作った男と埋もれてしまったそのレシピを探すストーリーである。204種の新作料理を春夏秋冬に分けて作る男が残したレシピをさがしだす一種のミステリー小説であり、料理小説でもある。ところが随所にでてくる料理でおいしそうなものがないもはどうしたことだろう。作者は「料理の鉄人」というテレビ番組を手掛けた人である。ところが料理の味の想像よりも、ストーリーを追っていくことのほうが面白くて特急で読んでしまった。感じとしては漫画をひとつ読んだ、というものだった。深くずーんと来ず、文に美しさがあるでもなく、不可解な言葉や、唸ってしまう言葉があるわけではない。
今の時代を象徴しているといえば言えるものだが。その点では、「スクラップ&ビルド」のほうが若者とお祖父さんの関係をめぐった小説はさすが「芥川賞」だと思った。
「ラストレシピ」の作者もエンターテイメントとして書いているだけで、自己表出をいかにするかとは思っていないのだろう。
ところで、今年の大収穫は、Steven Johnsonの「世界をつくった6つの革命の物語」であった。
僕は、ガラス、氷、音、光、清潔、時間という視点から歴史を見ることに驚いた。正直、目からウロコが落ちる思いだった。歴史教科書がいかにひとつの視点にすぎないこともよくわかった。名も無き人の偶然や無謀な振る舞いや挑戦が積み立てられて、あるときに、歴史の面を作っていく。
今年も残り少なくなった。毎日、牡丹と芍薬と、木瓜と万作の成長具合を見ている。
さて三島由起夫の近未来小説である、と思っていたら、今日また本屋で、「痛みが消えるソルフェジオ周波数 CD ブック」というのがあって、ホントかよ、と思い、購入し、三島の前にこれを読み、聴くのである。