名言の深海

名言とその著者への接近。

老人の支配 シェイクスピア

2005年09月29日 | シェークスピア
老人が支配するのは奴に力があるからではなく、
こちらが大人しく忍従しているからだ。

     (シェイクスピア「リア王」)



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「リア王」
シェイクスピアの4大悲劇の一つ。
老王リアが王国を3人の娘に分配した後の
悲劇が描かれる。世界文学史上でも壮大かつ
複雑な感情を呼び起こす大作で、上演不可能と
された時期もある。

黒澤明はリア王にモチーフにして、日本を舞台に
「乱」を撮った。リア王を題材にした過去のいかなる
映画・演劇よりもシェークスピアのテイストを表現したとして、
欧米映画界に衝撃を与えた。



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乱 [Blu-ray] 黒澤明

治癒されない貧乏 モンテーニュ

2005年09月27日 | モンテーニュ
財産の貧乏を治すことはやさしいが、
精神の貧乏を治すことはできない。

    (モンテーニュ「エセー」)



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「エセー」
人間の性質や行動などにたいする多様な思索を
くだけた気ままな文章で綴った。
やがて、西洋で「エッセー」という散文芸術を生み、
初期ジャーナリズムの文体にも影響する。

日本においても、短文・断片的な文章形式で心の赴くままに
自らの感懐や見解を綴った「随筆」というジャンルが古来より
発展している。近代以降になると、西洋のエッセーの影響を受けて、
より知的思想的な考察に重きを置いた随筆作品が増えることになった。



エセー〈1〉モンテーニュ

自殺を空想する慰め ニーチェ

2005年09月25日 | ニーチェ
自殺を思うことは強い慰藉剤である。
これによって数々の悪疫が楽に過ごされる。

   (ニーチェ「善悪の彼岸」)



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「善悪の彼岸」
ニーチェ後期の作品。
キリスト教、道徳、民主主義など、
あらゆる既成秩序の中に人間を矮小化する装置を
読みとったニーチェは、その破壊を試みる。



善悪の彼岸 ニーチェ

荒れるがままに ゲーテ

2005年09月22日 | ゲーテ
ひそかに清く自己を保存せよ。
自分の周りは荒れるにまかせよ。

  (ゲーテ「温順なクセーニエン」)



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「温順なクセーニエン」
1797年に発表された風刺短詩集。
ゲーテとシラーの共作となっている。
名言の大御所ともいえるゲーテの言葉は
この風刺的な詩集から引用されるものが多い。

シラー 1759‐1805
ドイツの作家。
自由・理想主義的な作風の戯曲を多く残す。
スイス独立をモチーフに、息子の頭に乗せたリンゴを
射抜くテルの英雄的行為を描いた戯曲「ウィリアム・テル」は、
シラーの作品が原作になっている。



ゲーテ格言集

有から無へ フィッツジェラルド

2005年09月15日 | 名言記事
彼は「散財する」という言葉の意味をはっと悟った。
それは文字通り空へばらまくということなのだ。
有を無に変えることなのだ。

    (フィッツジェラルド「バビロンに帰る」)



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フィッツジェラルド 1896‐1940
アメリカの小説家。
空前の繁栄を誇った20年代のアメリカにおいて、
虚無的、享楽的な世相を反映した作品で一躍
流行作家となる。しかし、1929年の大恐慌に
よって世情は一変し、急速に忘れ去られていった。

近年、村上春樹がフィッツジェラルドについて
言及することが多く、彼を経由して日本の読者が増えている。
村上春樹が翻訳したシリーズも出ている。



バビロンに帰る フィッツジェラルド

空腹 アベ・プレボー

2005年09月07日 | 名言記事
パンに不自由しながら人は恋を語れるでしょうか。

        (アベ・プレボー「マノン・レスコー」)



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アベ・プレボー1697‐1763
フランスの小説家。
聖職者となるが修道院を出奔。イギリス・オランダを放浪し、
生活に困り偽手形を切って投獄されることもあった。
その後、かつての上司の取りなしで恩赦を得ることができ、
聖職者に復帰して執筆活動を続けた。

「マノン・レスコー」
プレボーが放浪時代に書いた小説。
本能のままに生きる娼婦型の女性と、その女性を
一途に愛する破滅型の青年を描いた。
この作品は「一貴族の回想」という小説の最終巻に
あたるが、読者に強烈な印象を与える傑作だったため、
この一編が独立して評価される。
プッチーニによってオペラ化もされた。



マノン・レスコー アベ・プレヴォー

おだやかに口にする言葉 カロッサ

2005年09月06日 | 名言記事
自分自身の体験と思索によって到達した考えは、たいがいの場合
われわれはおだやかに慎み深く口にするものである。

        (カロッサ「美しき惑いの年」)



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カロッサ 1878‐1956
ドイツの詩人、小説家。
医業のかたわら文筆活動を続ける。苦悩の中にあっても人間性への
信頼に貫かれた作風は、ゲーテの精神をもっとも引き継いだもの
として多くの読者を得た。



美しき惑いの年 カロッサ