名言の深海

名言とその著者への接近。

予期しない質問 ロック

2005年07月27日 | 名言記事
借りものの概念と、教育で植え付けられた偏見をもとにして、
ありきたりの筋道に合った話をする大人よりも、子供たちの
予期しない質問から教えられることが多いと思います。

    (ロック 「教育に関する考察」)



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ロック 1632‐1704
イギリスの哲学者。
イギリス経験論を代表する哲学者の一人で、「17世紀
に身を置きながら18世紀を支配した思想家」と評される。

ロックの前提とした人間像は、合理的な主体であり、
自律的な個人であった。この前提は後世において
文学・哲学・精神医学などの領域から激しく批判されることに
なるが、政治・経済をはじめ多くの領域では今なお前提とされている。



教育に関する考察 ロック

眼前になくとも ベーコン

2005年06月13日 | 名言記事
海のほか何も見えないときに、陸地がないと考えるのは、
けっしてすぐれた探検家ではない。

    (ベーコン「学問の進歩」)



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ベーコン 1561~1626
イギリスの政治家、哲学者。
人間の生活を豊かにするのが学問の目標であるとして、
学問の大革新を企てる。帰納と演繹の総合、分類と細分化、
学問の共同作業など、その後の西洋科学・哲学の発展に重要な
影響を残す。



学問の進歩 ベーコン

好機を逃がすもの ホッブズ

2005年06月06日 | 名言記事
小心は人びとを優柔不断にし、その結果として、行動を起こす
最大の好機をうしなわせる。

     (ホッブズ「リヴァイアサン」)



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ホッブズ  1588~1679
イギリスの政治思想家。
国家主権の正当性を社会契約説によって基礎づけることで、
近代政治学の創始者とされる。教会にたいする国家主権の
優位を説いたために、キリスト教社会の当時において
激しい非難の中、不遇のまま世を去った。



リヴァイアサン〈1〉 T. ホッブズ

自由の重荷 ドストエフスキー

2005年04月27日 | 名言記事
良心の自由ほど魅惑的なものはないが、
これほど苦しいものもない。

    (ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」)



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「カラマーゾフの兄弟」
ドストエフスキー最後の長編小説。
カラマーゾフと4人の息子をめぐるおぞましい
家族劇をとおして、神と人間の問題に迫る。
この小説は20世紀に生きる人間の諸問題を
凝縮しているとされ、驚嘆をもってむかえられた。



カラマーゾフの兄弟1 ドストエフスキー 亀山訳

きまり文句 ギッシング

2005年04月03日 | 名言記事
人々は、お金で貴いものは買えないという。
そういうきまり文句こそ、貧乏を経験したことのない
なによりの証拠なのだ。

   (ギッシング「ヘンリ・ライクロフトの私記」)



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ギッシング 1857~1903
イギリスの小説家。
19世紀ロンドンの下層貧民の悲惨な生活を赤裸々に
描写した。しかし当時の読者の趣味に合わなかったため、
生涯人気を得ることがなく、不遇のまま病気で死去した。
日本では明治以来、多くの英語学生に愛されている。


「ヘンリ・ライクロフトの私記」
ギッシング44歳、死の2年前に書かれた。
57歳のライクロフトが、過去の貧困時代を懐かしみながら、
世間の喧騒から離れて読書に明け暮れる安息の日々を綴る。
死ぬまで生活に追われ続けたギッシングが、人生の願いのすべてを
注ぎ込んだ美しい佳作である。



ヘンリ・ライクロフトの私記  ギッシング

極楽と地獄 ゴーリキー

2005年04月01日 | 名言記事
仕事が楽しみなら、人生は極楽だ!
仕事が義務なら、人生は地獄だ!
  
   (ゴーリキー「どん底」)



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ゴーリキー 1868~1936
ロシア、旧ソ連の小説家、劇作家、社会活動家。
強い主人公による社会の不正・不条理の攻撃、
人間の擁護をめざすロマンティシズムなどに作風をもつ。
代表作の「どん底」は黒澤明も同名で翻案した映画を撮っている。



どん底 ゴーリキー

否定への怖れ ヘーベル

2005年03月22日 | 名言記事
ええそうです、という言葉を聞きたくてたまらないけど、
いいえ、という答えもまた大いにありうるとき、
質問をするのはたいへん勇気のいることだ。

    (ヘーベル「ドイツ炉辺ばなし集」)



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ヘーベル 1760~1826
ドイツの詩人、聖職者。
科学、宗教、日常道徳などを平易な語り口で表現し、
民衆の啓蒙に寄与した。



ドイツ炉辺ばなし集―カレンダーゲシヒテン ヘーベル

近代の欲望 ボードレール

2005年03月14日 | 名言記事
人生とは、病人の一人一人が寝台を変えたいという欲
望に取り憑かれている、一個の病院である。
   
     (ボードレール「パリの憂愁」)



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ボードレール1821~67
資本主義勃興期のパリに生き、都市生活者の憂鬱と退廃、
そこからの脱出願望などを題材にした詩人。
散文詩というジャンルを文学として確立した。



パリの憂愁 ボードレール

もてなし ブリヤ・サバラン

2005年03月13日 | 名言記事
だれかを食事に招くということは、その人が自分の家に
いる間だじゅうその幸福を引き受けるということである。

         (ブリヤ・サバラン「美味礼賛」)



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ブリヤ・サバラン 1755~1826
フランス革命期に国民会議議員として活躍するが、
恐怖政治の際には、ドイツ、スイス、アメリカに亡命する。
亡命先ではコック見習いやバイオリン弾きなど様々な職業を経験。
帰国後は法曹界に復帰し、死の前年に「美味礼賛」を刊行する。

「美味礼賛」(味覚の生理学)
それまであまり考察されることがなかった味覚について、
総合的視点から検討した。これによって、フランス美味学の
祖として歴史に名を残す。



美味礼讃 ブリヤ・サバラン